この話の続きです。

2024年3月30日土曜日
さくらは朝から元気100倍。
「マダム、おはようございます！」　

マダムは開店準備の手を止めて、
「さくらちゃん、おはようございます！
今日は11時からお仕事お願いしますと伝えたはずだけど、1時間も早く来られたのね」
と答えた。

さくらは照れながら言った。
「はい。マダムに早く会いたくて、気づいたらこんな時間に来てしまいました」

マダムは、飛びきりの笑顔で、
「嬉しい。ありがとう。
私もさくらちゃんに会えるのが楽しみだったわ」

マダムはテーブルの上にある制服をさくらに手渡した。
「これに着替えたら、仕事を初めちゃいましょう」

さくらは、は～いと返事をして、更衣室に向かった。

さくら、制服姿で登場。

マダム大絶賛。
「さくらちゃん、ものすごく似合ってる！」

さくらはウキウキしながら、言った。
黒のロングワンピースに白のエプロン姿。
「ありがとうございます。メイド服って一度着てみたかったので、嬉しいです」

マダム
「ところで、さくらちゃんは、天気予報は毎日見てる？」

さくら
「はい。今日は降水確率10%の晴れでした」

マダム
「天気予報って、助かるわよね。
雨が降りそうな日は洗濯物を部屋干しにして出かけられるから」

さくら
「私は、常にカバンの中に折り畳み傘を入れて、いつ雨が降っても困らないようにしています」

マダム
「そうなの、それが大事なのよね。
人生で起きる試練とは、雨みたいなものよ」

さくら
「ということは、雨が止むのと同じように試練にも終わりがあるのですか？」

マダム
「一時的には止むけれど、時を変えてまた降ってくる」

さくら
「できれば、雨の日は少なめで、晴れの日が多い人生がいいです」

マダム
「それもさくらちゃん次第よ。
今日のテーマを発表するわね。
土星が教えてくれる乗り越えるべき試練」

さくら
「それは惑星の土星っていう意味ですか？」

マダム
「西洋占星術から、生まれた時の天体の配置によって、さくらちゃんの試練が分かるの」

さくら
「そんなバカな！？」

マダム
「さくらちゃんのホロスコープ(出生図)を見ると土星が第4ハウスにあるの。
第4ハウスは『家』を示すのね。

さくらちゃんは居心地の悪い家を自分で選んで生まれてきた。

親に将来を過剰に期待されたり、厳しくしつけられたんじゃないかな？」

さくら
「当たってます！
父も母も、『最低でも大学は卒業して、年収1千万円以上は稼げる人になりなさい』が口癖でしたから。

昨日も家に帰ったら、『浪人して、受験勉強頑張りなさい』と言われました」

マダム
「それじゃあ、家に帰りたくなくなるわね」

さくら
「両親の価値観が古過ぎて、私、ついていけません」

マダム
「さくらちゃん、それでいいのよ。
あなたは18歳。もう成人なんだから、自分が進みたい道に進みなさい」

さくら
「マダム、ありがとうございます。
そう言って頂けて勇気が出てきました」

マダム
「さくらちゃんは、ただいま試練中なの。
試練を乗り越えた先には、想像できなかった新しい未来が待っているわ」

さくら
「私、試練に打ち勝って、望む世界に生きたいです」

マダム
「さくらちゃん、これだけは覚えておいて。
『神様は乗り越えられない試練は与えない』」

つづく