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【シリーズ】エンジニア採用の基本の基本-エンジニア市場を俯瞰してみた-

エンジニア採用にお困りの会社様が依然として多くあるということを踏まえてエンジニア採用に関して、noteでシリーズ化していこうと思います。普段採用で関わらせていただく場合、どういったことをしているのか、ということも伝わる内容にしていければと思っております

弊社の記事のスタンスとして、明日から使えるHOWのみをライトに書くというよりも、なぜ?なに?といったもう少し抽象度が高いものも扱いつつ、採用の設計部分に寄与する、設計に関しての思考のヒントにしてもらう、その後にHOWも書く、そういう内容にしていきたいなと思っています。

そしてシリーズ初稿ですが、長くなったのでこの稿はエンジニア市場の全体俯瞰をしつつ、別途サーバーサイドエンジニアの全体像を記事にしたいと思います。

早速いきます。

なぜ今エンジニア採用が難しいのか?エンジニア採用が困難だと感じられる背景

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出所: 独立行政法人情報処理機構「IT人材白書2017」  

まず大前提として、なぜエンジニア採用って難しいのか?(特にWebスタートアップで)というところの整理から。

独立行政法人情報処理機構「IT人材白書2017」 によると、2016年は不足感は多少緩和しているものの、リーマンショック回復以降基本的には全体的にIT人材採用≒エンジニア採用は逼迫し続けていることが分かります。

需給バランスがマッチしていない、需要は増えてるけれども、人材が足りていないという構図

SIerが抱えるエンジニア数が国内で圧倒的に多い

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出所: 独立行政法人情報処理機構「IT人材白書2017」  

まず、供給側(つまり採用市場にでうるエンジニア)から見ていくと、IT人材の人数の想定として、その多くはSIerなどのIT提供側で雇用がされており、その数おおよそ88万人、そのうち受託開発ソフトウェア業に分類される企業で最も多い約61万人が在籍していると推定されています。

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出所: 独立行政法人情報処理機構「IT人材白書2017」  

もう少しデータを細かく見ると、IT人材と一口に言ってもコンサルから運用系まで幅広い人材をここではIT人材として定義されており、IT提供側のIT人材88万人のうち、実際にアプリケーションを開発するエンジニアは半分以下の約34万人、うち自立して開発業務ができる方でリーダー未満の方になると約15万人となっています。ここがまず想定される市場のボリュームゾーンとなります。

総務省調査によると平均的には転職率は5%くらいなので、仮に15万人×5%として、7,500人くらいが実際の転職市場に年間で出てくるイメージとなっています。

自社サービス開発経験のあるエンジニアは本当に少ない?

一方で、自社サービスを開発してきたと思われるエンジニア数を調べてみると、なかなか正解になるようなデータがなかったのですが、結論で言うとおそらく非常に少なく、データ上はIT人材数で2万人くらい、アプリ側開発者だけだと1万人に満たない市場だと推定されます。先の転職率をあてはめると、1万人×5%で年間でわずか500人?ということにはなります。(ほんとか不安になるくらい少ないですね。。)

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出所: 独立行政法人情報処理機構「IT人材白書2017」  

ちなみに、同じIT人材白書で、ユーザー企業が抱えるIT人材数が約28万人として紹介されてはいますが、これは自社サービス開発をしている人数ではなく、基本的には社内SEとして活躍されている方々の母数となっており、この28万人の中で自社サービス開発をしているボリュームゾーンを把握しようとすると、「情報通信業」に含まれる事業会社になるかと思います。

総務省の産業分類で考えると、「40 インターネット付随サービス業」がそれに該当するかと想定されますので、エンジニアリングに関わってそうな職種と業種を用いて、e-Statにて国勢調査(平成27年)から調査してみたのが以下の図です。

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出所:e-Stat  国勢調査(平成27年)から弊社抽出・作成

(参考にエンジニア以外の職種等色々入れてはいますが)上記は自社サービス開発のボリュームゾーンと想定される職種と業種を用いたクロス集計表になります。

自社サービス開発のボリュームゾーンとしては、Webサービス企業全般が属する「40 インターネット付随サービス業」と、最近のSaaS関係企業は「391 ソフトウェア業」の中のごく一部が該当する形かと思われます。インターネット付随企業行にて、職種列を見てみると「104 ソフトウェア作成者」が8,680人しかいないことが見てとれます。
※尚、表を少し補足しておくと、「G情報通信業」という分類は、分類の粒度として最も大きいものとなり通信業等を含んでいるのであくまで参考としての値で見ていただくもの、「301 ソフトウェア業」は前述のSIerなどが含まれている業種分類なので、左から3職種列を足すと65万人くらいになり、先のIT人材白書の値に近づくことが見てとれると思います。また、「392 情報処理・提供サービス業」はSES企業が含まれていると思われ、一定の雇用があることも分かります。

自社サービス開発エンジニアをとりあうスタートアップにはどんどんVCからお金が入っている

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出所:株式会社ジャパンベンチャリサーチ

次に需要側、つまり採用したい側の話に移ります。
上図は、単年度ごとの調達社数と調達金額の推移をグラフ化したものですが、調達額はリーマンショック回復以降、急速に伸びており、2018年は2012年比6倍以上の金額を調達するまでに至っています。また、調達社数としても2017年では2012年比1.6倍となっています。当然複数回調達をしている会社も存在しているので、それらは重複して加算されていると思うので、純粋に何社というのは言いにくいところですが、それなりの数のスタートアップが調達したお金によってそれなりの採用費用を払える受け手として市場に存在していると思われ、またそのような企業が引き続き増えている、というのが今の市場感です。

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出所: 独立行政法人情報処理機構「IT人材白書2017」  

参考に企業規模別のIT関連企業のIT人材充足具合の表を示していますが、いわゆるメガベンチャーが入っていそうな1,001名以上は他よりも充足気味である一方、「大幅に不足」「やや不足」の合計値が最も高いのが「31名以上100名以下」というシリーズA~Bくらいの会社が属していそうなグループであることが印象的です。

こういった受給環境の中で、調達済みスタートアップがこぞって事業会社でサービス開発をしてきた層を採用しようとすると、先の事例では年間で実際に転職する人たちは500人くらいという推定になっているので、それはもうそもそも超難しいチャレンジをしてますよね、ということになります。

とはいってもWantedlyやGreenを見ていると、エンジニアは転職活動しているし(活動そのものはして転職しない層とか、潜在層が最近は活性化されているとか色々想定はできますが)、うまくやれば採用できるかもしれない、そう考える人事の方のお考えはもちろん理解出来ますので、難しいことは分かった上で、ではどう対応していくかという基礎の基礎として次の記事に書いていきたいと思います。

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