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エンジニア採用の基本の基本-自社の魅力をどう設計するのか?-

あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、2021年になりました。昨年はコロナに始まりコロナに終わった1年だった(感染は未だ続いてますが)という印象ですが、今年はその中にあっても新しい挑戦をしていきたいなと思っている次第です。

さて、今日のテーマは、エンジニア採用を進める上で、どのようにして自社の訴求ポイントを設計していくのか、ということを書いていきたいと思います。採用ブランディングの方向性の設計とも言い換えることもできるかもしれません。
※採用ブランディングについて、詳しくは以下をご参考ください。

ダイレクトリクルーティングでも、エージェントさんから紹介を受ける上でも、自社の魅力をちゃんと洗い出し、誰に何を伝えていくか?ということは採用活動の成否を握る極めて重要な点です。
こう書くと、もしかしたらとても当たり前のことだと思われるかもしれませんが、自ら自社の魅力を言語化することは意外に難しかったりします。

弊社は多くの企業様のエンジニア採用をご支援していますが、そこでの特徴として、プロジェクト開始時のキックオフミーティング~初期の設計に時間をかけて実施させていただいています。しっかり時間をいただいてクライアントからヒヤリングし、魅力を洗い出して、訴求ポイントの設計をしていくわけですが、ここでのアウトプットが弊社がお手伝いをしていて、強く喜ばれることが多いんですね。

・これまで強みだと認識してなかったところを強みだと認識できるようになった
・自社の強みを整理してもらえてストーリーで語れるようになった
・市場の観点から訴求ポイントが策定され、焦点がはっきりした

などといったお声をいただけることが多いので、今回は弊社がどのように訴求ポイントを探索し、定め、設計しているのか、全体像を公開をしていきたいと思います。

前提として、「強み、魅力は何か?」という問いは避けた方が良い

どういうこと?ってなると思うんですが、まあこの記事を読んでくださってる勉強熱心な人事の方だと、当然そんな問いは自問自答されていて、既にそれを求人やスカウトに書き出されているんだと思っていて、その上で悩まれているのだと思うんですよね。

従って、その問いをし続ける以上、従前の答えの枠から出ないと思うので、
事前準備として、一旦そういう問いの仕方は忘れていただくことから始めた方が良いかなと思っています。
弊社がヒヤリングする時も、強みは何ですか?という問いは設けていません。それが適切に言語化できるなら、そもそもうちに依頼する必要ないですもんね。

訴求ポイント洗い出しのプロセス

さて、では本題に入ります。

まずはどういう形で訴求ポイントを作っていくのか、流れを記載します。

プロセス1:自社のことを事実や事象ベースで洗い出す
プロセス2:自社が欲しい人を定める ペルソナを作る
プロセス3:洗い出した事実・事象が強みになるか、ペルソナごとに検討して、訴求ポイントとして策定する

マーケティング領域の用語に馴染みがある方だと、STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)と言ったら伝わりやすいかもしれませんが、そういうマーケティングのフレームワークに近似するものを採用市場バージョンでやっていくイメージになります。

以下順に流れに沿って説明していきますね。

プロセス1:自社のことを事実や事象ベースで洗い出す

まずは自社の魅力を洗い出す必要がありますが、前述のように魅力は何か?と問う代わりに、様々な観点から自社のことを言語化していくステップが必要です。

例えば弊社はプロジェクトが始まる際には以下のような形で、長めのヒヤリングシートを作ってまして、職種別でも聞いていくので最低でも80項目くらい質問を設け、各観点でクライアントの情報を洗い出していきます。

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観点の例をご紹介すると、

・ミッション、ビジョン、バリュー
・解決したい課題
・創業ストーリーや経営チーム
・市場や事業の規模や成長可能性
・事業モデル
・過去現在未来の事業展開
・ビジネスプロセスで自慢できること
・KPIとして自慢できること
・メンバーの経歴や価値観
・技術スタック
・開発手法、開発体制
・チーム構成
・会社およびテックチームの文化
・テックチーム運営方法
・抱える課題
・制度、福利厚生
・過去の入社動機
・第三者評価
・オフィス立地 など

こういった観点になりますが、このようなところを細かい粒度でまずは書き出していただくことから始めます。

正直ここまで書き出す必要があるの?とぃう項目もあって、企業によっては全然飛ばして良い項目もありますが、企業各々で熱量がある項目が出てくるのでそれをより深堀りするようなイメージですね。

全体の流れとして、

・行っている事業への納得性/ストーリーがあって、
・ターゲットに刺さる強みを保有し、
・ターゲットと親和性ある組織文化を持っていて、
・そう言うための根拠となるデータ・メンバー・プロセスがある

という構図を作りたいので、それをどういう道順で作っていくのかを考える材料として、網羅的に自社を洗い出していくイメージです。

スタートアップでも最先端の技術スタックや開発方法で開発を進めているという企業も決して多くなく、またプロダクトへの興味も持って欲しい、サービス志向エンジニアがターゲットになることが多いように感じますが、そうなると決して技術や開発方針だけでなく、エンジニアに伝わりやすいように、自社が解く課題やビジネスを言語化出来ているか、というのも結構重要だったりします。

プロセス2:自社が欲しい人を定める ペルソナを作る

自社のことを洗い出した後のステップとして、自社はどんな人が欲しいの?という求める人物像の設計をしていきます。

作成内容の大枠としては、

・どういうキャリアを辿ってきた人で
・その人はどういう志向性で、今どういうキャリア上のペインを持っていて
・次の転職では何がゴールなのか

こういったところを決めていく工程になります。

ここでの粒度は、ペルソナという言葉の定義通りにかなり細かく作るケースもあれば、もう少し大きめの粒度で作るケースもあります。
マーケティング業務と違い、採用業務は人間(人事)が人間(候補者)の経歴を見て、本当の意味で1to1のコミュニケーション(スカウト送信)ができるという点に違いがあり、実際の運用としてかなり細かく相手にあわせて訴求を変えながら運用ができるので、想定する人物像は複数パターン作っていくことを推奨しています。

また、ペルソナを作っていく上では、エンジニア市場に対しての解像度の有無が極めて重要になるので、このあたりは狙いたいエンジニア像に近い人やそこに知見がある人とディスカッションしながら決めていく必要があると思います。過去のブログで求める人物設計の参考になりそうな記事があるので、いくつか記載しておきます。詳しくはそちらのブログを見ていただけると嬉しいです。

また、ペルソナと訴求ポイントは各々が独立したものではなく依存関係にあります。つまり、こういう人が我々のペルソナの想定なので、自社のこういう事実を強みとして押し出そうとか、逆にこういう事実があるので、こういうペルソナにとっては強みになるのでこのターゲットにしようとか、そういう相互に関係性がある議論が必要になる性質のものですね。
従って、次項の訴求ポイント設計のフェーズに移りつつも、ペルソナの議論に戻ったりして、行きつ戻りつ最適な方向を決めていくような流れになります。

プロセス3:洗い出した事実・事象が強みになるか、ペルソナごとに検討して、訴求ポイントとして策定する

最後のプロセスとして、訴求ポイントを策定していきます。
端的には、これまでの流れを統合して、誰に何を伝えるのか?というコミュニケーションを設計していくステップになります。

プロセス2で定めた求める人物像のキャリア上の痛み・課題に対して、プロセス1で洗い出した自社の事実・事象を用いて自社はキャリアの痛みや課題を解決できる・ポジティブな環境だ、ということを伝えるための設計ですね。

これを細かく分けると更に2ステップに分かれるのですが、

(1)プロセス1で定めた事実・事象を採用競合と比較した上で、プロセス2で定めたペルソナの中で最も中心となるペルソナをイメージして、訴求したいポイントを設計する工程
(2)プロセス2で定めた細かいペルソナごとに適合させた訴求ポイントを設計する工程

の二段階を踏んで設計することがおすすめです。

(1)プロセス1で定めた事実・事象を採用競合と比較した上で、プロセス2で定めたペルソナの中で最も中心となるペルソナをイメージして、訴求したいポイントを設計する工程

会社の採用市場に対するブランディングとして、どういうポジショニング(位置づけ)をとるのか、というより大きな方針決めになります。ポジショニングという言葉が分かりにくいところもあるかもしれませんので、少し説明すると、有名なものでは、ちょっと古いですがスターバックスのサードプレイス・第三の場所(家、オフィスとは別のもう一つの憩いの場)(参考 https://www.advertimes.com/20170525/article250955/)や、ハイボールのご飯と一緒に飲むウイスキー飲料(ウイスキーは元々強いお酒でおじさんが最後に飲むお酒、2軒目に飲むお酒の位置づけだった)(参考 https://natsuki01.com/position/)のようなものがあると思います。

これを、採用業務としても行う必要があって、主なターゲットだと想定する採用ペルソナの心の中で自社をどう位置付けてもらうのかを、ポジショニング設計(定義付け)する必要があります。

例えば、当時エンジニアのブラックホールと呼ばれていたメルカリさんは、日本にいて世界に本気で挑戦できる未上場ベンチャーとしてのポジショニングがあったように感じますし、最近上場されたグッドパッチさんはデザイナーがデザイナーとして適切に理解されリスペクトある場所、として採用市場のポジショニングがされているように感じます(正しいかどうかというよりも概念としてざっくり掴んでいただくための一例です)。

(2)プロセス2で定めた細かいペルソナごとに適合させた訴求ポイントを設計する工程

プロセス2において、求める人物像を複数パターン作成いただくことを推奨していましたが、複数のペルソナが想定されると、各々別のキャリア上の痛みの仮説が出てくることになるはずでして、その各々のパターンで訴求ポイントを設計できるようになります。

例えば、SaaSの系のスタートアップさんが、サーバーサイドエンジニアを募集するとなると、

・クラウド環境でのWebアプリケーション開発経験が3年~5年くらい経験があって、
・自社で用いている言語の経験もあったら嬉しくて、
・自社プロダクトへの理解や共感を持ち、自分の原体験とともにそれを語ってくれるような方がいたら良い

みたいなケースが多いのですが、こういう人ってどういうキャリアでしょうか?

すごく分かりやすいペルソナは同じようなSaaSスタートアップで同じような問題意識の元、同じような技術スタックで開発をしている人ですが、そんな人はまあ採用市場にほとんどいないので、別領域のSaaSスタートアップでもOK,メガンベチャー出身者でもOKと広がってくるわけで、じゃあそこでの訴求はどうすることが最適なのか、ちゃんと別々に考えないと刺さらないですよね、ということです。
ちょっと領域が違うSaaSスタートアップの方にスカウトを打つ時と、メガンベチャーさん在籍の方にスカウトを打つ時だと、今の悩みも違うことが想定されるので、その悩みに寄り添った訴求を作っていく形になります。
もしかしたらそれが解決したい課題かもしれないし、事業ドメインかもしれないし、チームメンバーの魅力かもしれないし、技術スタックかもしれないし、それらの組み合わせかもしれないわけです。

そういったことを深く思考していくことで、訴求ポイントの設計を行っていきます。その後は設計された訴求ポイントに沿って、求人やスカウト文章というより具体のところに落とし込んでいく、という流れになるわけですね。

ブランドは整合性が重要

さて、ここまで訴求ポイント設計の流れを記載してきましたが、最後に訴求の整合性について記載してこの記事を終えたいと思います。

求人やスカウトや採用広報の作成や情報発信を個別に頑張ってしまうケースが非常に多いのですが、会社HP含めて、全ての魅せたい方向が統合されているようにすることが、ポジショニング形成にはとても重要だと思います。成したいポジショニングの文脈を常に引きずりつつ、個別の情報発信も考える必要があります。

一つの方向性を定めれば、採用広報記事や公式HPも含めて、一つひとつその方向性からブレがないようにマネジメントを行っていただければと思います。

ということで長々と書いてまいりましたが、今日は以上です!

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