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季節のにおい

季節が変わるころ

家を出て、頬にあたる風が変わるころ

ふいに何かを思い出しそうになる

一体何を思い出そうとしているのか

あの頃の楽しい思い出

かなしい気持ち

懐かしいあの場所

もう戻れないあのとき


何かを思い出しそうになって、それをいつも辿ってみるけれど、いつも失敗に終わってしまう

わたしはどこにも辿り着かない


いつも

春が来るとき

夏が来る前

秋を感じたとき

冬の寒さを思い出したとき

大切な何かを思い出しそうになる


それは何だろう

どこだろう

だれだろう


「それ」にはいつも会うことが出来ないまま

季節の始まりが過ぎてゆく





「思い出しそうな感覚」

だけが存在していて

ほんとうは「それ」なんてないのかもしれない

それとも「それ」は大事などこかに閉まってあって

見つけることが出来ないようになっているのかもしれない

それはとても大切なもので

こことは違う場所にあるものだから


「私」が終わるときに

「それ」を見つけることが出来るように

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