2301114_更新：231118

今回は、３章でお届けしております。

生物の専門家ではない私が調べた内容になります。
最新情報で追記などがありましたら、温かいコメントを
お願いします！

１章　最近人気の「ハイブリッドドッグ」・「デザイナードッグ」
２章　遺伝子疾患を知ろう
３章　相棒たちとの付き合い方

3章.　相棒たちとの付き合い方

私は、猫派です。その要因の１つにサイズ的な飼い易さもあります。
相棒猫の”もも”は、頭からシッポまで約70cmです。具体的には、頭から胴までが約45cm、そしてシッポが約25cm。部屋飼いには丁度いいサイズです。　そして、この写真にようにコンパクトに丸くなったりします。

１.　重度の障害をもってしまった子犬たち　

　犬に対しても、増え続ける飼育希望者のニーズにこたえて室内でも飼いやすいように犬をより小型にしようとする動きが世界中で見られているそうです。　

　小型犬は日本と同様に海外でも人気が高く、そのため、ブリーダーたちはこぞってミニチュアサイズの犬種を生み出しています。しかし、その結果、重度の障がいを持つ子犬が生まれるなど新たな悲劇も起こっています。
　
　より小さいという個性を際立たせるためには、その特徴をより顕著に出す交配をすることが必要となります。具体的には、近親交配に近いことを繰り返すことで、他の生物と比べ病気の遺伝子も色濃く受け継いでしまっている訳です。

クラブハウスで第12夜(2023年11月14日）を放送中に、ルミさんも話していましたが、チワワが発生し易い疾患に水頭症があります。

　水頭症とは、脳の中にある「脳室」と呼ばれる場所で作られる「脳脊髄液」という液体が、脳内に過剰に溜まってしまうことにより、脳が圧迫され、機能障害が起こってしまう病気です。圧迫された部分によってさまざまな症状が出ます。

その多くが先天性（生まれつき）であると考えられており、生後数ヶ月から1年以内に発症するケースがほとんど。遺伝の可能性が高いと言われているものの、詳しいことは分かっていないそうです。好発犬種は以下の通りです。小型犬や短頭種に多く見られる傾向にあるそうです。

以下は、小型化への交配で起こった悲劇を伝えた2021年7月の記事。アメリカのMetoro誌「生まれつき目の無い犬　より小型を求めた無理な交配が原因か」の抜粋です。

この記事を紹介した獣医師の石井万寿さんは、このような小さいプードルは骨がもろく、すぐに低血糖を起こすなど健康面で問題を抱えた子も多いこと。そして、犬や猫をブリーディングするということは長い時間がかかり、慎重に行わないと「怪物」をつくり出すことにもなりかねないと、伝えています。

(石井　万寿美氏：「芸能人にも大人気「ハイブリッドドッグ」に隠された、「残酷すぎる現実」 | マネー現代 | 講談社 (gendai.media)））

・ヒトは、カワイイが好き

　”カワイイ”という日本語が全世界に広まったように、ヒトはカワイイものを無意識に求める傾向があります。それは、理想の相棒（ペット）と出会う時も同じです。それが、新種で希少価値となれば尚のこと、求める気持ちは普通だと思います。
そんな時に、今日お伝えした純血種、ハイブリッド犬の背景を思い出してください。具体的には、その犬種の特性を良く理解し、発病し易い疾患などもペットショップやブリーダーに確認して、納得した上で一緒に暮らされてください。

日本では「ブーム」としか表現の仕方がないような、特定の犬種への人気集中が見受けられるそうです。「テレビで見たから」「みんなが飼っているから」などの安易な理由で欲しがる方が少なくなく、爆発的な人気となった犬種は、繁殖の基本である「犬質の向上」を無視した繁殖が行われる傾向が強くなることがあるそうです。　

以下は、JKCの「繁殖の現状とこれからの問題点」より。

２.　生物のゲノム(全遺伝子情報）は2000年ころから始まった

まざまな生物のゲノム（全遺伝情報）が解読されるようになったのは、2000年ごろからと、未だ最近のことです。

・遺伝子検査と適切なブリーディング（交配）の提案

そのため、これから更に適切な交配についてエビデンスが増えることと思います。実際、ペット保険会社を子会社に持つアニコム ホールディングス株式会社の報告では、主にブリーダーに向けた遺伝子検査の提供と、その結果にもとづく適切なブリーディングの提案を行うことで『犬猫の遺伝病は確実に減らせる』ことが明らかになったと、2020年12月に報告を発表しています。

その背景は、『犬猫の遺伝病を生み出した人間の責任を考える』です。
どストレートな背景ですね。

　具体的な内容は、遺伝子検査と適切なブリーディング（交配）の提案です。当初、この取組に賛同するブリーダーやペットショップは少なかったそうですが、徐々に協力を得られるようになり、2020年12月の段階では月間8,000件近くの検査を受注するまでになりました。

以下の表で、これらの遺伝子検査と適切なブリーディング（交配）提案の結果、遺伝子疾患のリスクのある割合は低くなった事が示されています（コーギーの事例）。

・遺伝病フリーの子が判る検索サイト

また、アニコムは全国のペットショップから遺伝子検査済みのペットを探すことができる情報サイトを作成し、遺伝子検査と適切な交配の見える化をしているペットショップを紹介しています。

サイトは以下になります。

・犬の遺伝子研究は、ヒトの疾患発症や発症抑制のメカニズムが判る?!

2020年6月に理化学研究所ら国際共同研究グループが、ある遺伝子型に従って犬を分類することで、犬だけでなくヒトの疾患発症や発症抑制のメカニズムを調べる研究モデルとなる可能性があり、獣医療だけでなくヒトの医療の発展にも貢献すると期待できると、発表しました。この研究は、科学雑誌『Scientific Reports』オンライン版（4月16日付）に掲載されたそうです。

背景は、その犬種に特有の特徴を強く引き出すために行われてきた近親交配により、発症する特定の遺伝子疾患。そして、その疾患の原因となる遺伝子の多くが、ヒトでも同様の疾患の原因になると考えられるため、犬をモデルとしてヒトの疾患発生メカニズムの解明になるのではと、考えた点でした。

今回の研究で、１つのSNPが個体差に及ぼす影響が、犬ではヒトよりも数十倍以上大きいことを明らかにしました。
SNPとは、集団のゲノム配列中で見られる一塩基の違い（個体差）のこと。SNPはSingle Nucleotide Polymorphismの略です。

今後の期待として、”本研究成果は、獣医療だけでなく、ヒトに対しての医療にも貢献すると期待できます。”と、記されています。

今後、ヒトの疾患モデルとしても、犬の遺伝子の研究は更に進みそうですね。

・それは、思い込みだった！遺伝子的には、犬種からの行動予測は難しい

犬種で説明できる個々の犬の行動の差異はわずか9％

　
　そして、遺伝子の解析は時に、”私たちの常識は思い込みだった！?”と、疑問を投げかける発見をもたらします。

　アメリカ科学振興協会 (AAAS)が2022年4月に発表した「種々の犬ゲノムの解析で、通説に反して、犬種からは行動予測が難しいことが判明」です。

研究結果によると、犬種で説明できる個々の犬の行動の差異はわずか9％。特定の行動特性と調査項目では、年齢や性別が行動予測の最適な判断材料であったとしています。調査では、どの犬種についても、その犬種にしかない行動も発見できなかったとも記しています。

この発表時に、「特定の現代犬種の特徴だと考えられている行動の大半は、オオカミから野犬そして飼い犬、最終的には現代犬種へという数千年にわたる進化から生じた可能性が最も高い」と述べています。

研究内容は以下になります。

研究チームは、犬種と行動の関係を解説する遺伝学的研究は全くないという所から、ゲノムワイド関連研究を使って、2,155頭の純血種と雑種において特定の行動特性を予測できる共通の遺伝的変異の探索を始めました。彼らはこのデータと、 飼い主から報告された犬の特徴と行動についてのオープンソースデータベース からの18,385件の飼い主調査を結び付け、飼い主が報告した各犬種で行動データを分析し、祖先犬種を遺伝子的に調べ出しました。

78犬種のデータを含むこれらの分析の結果、行動に強く関連する11の遺伝子座が特定されましたが、そのどれひとつとして犬種特有のものはありませんでした。犬の行動の中で遺伝的な要因から最も強く予測されるのは従順性 （犬が人間の指図にいかによく反応するか ）だが、これは個体差が非常に大きかったと報告しています。

３.　相棒たちとの付き合い方

・そして、個性を生かした新しい使役犬の役割へ

最後に、使役犬のお話を。

人気の愛玩犬と同様に、使役犬も時代に応じて改良も重ねられてきました。
使役犬とは、ヒトのために「働く犬」で「職業犬」とも呼ばれます。
ヒトと犬の歴史は古く、野生動物を捕らえて食料にしていた旧石器時代から、狩りの相棒として活躍していたといわれています。

　日本では、その旧石器時代の次の時代、縄文時代に犬が埋葬された遺跡が発掘されています。丁度この記事を書いている時に、愛知県田原市にある縄文時代遺跡「伊川津貝塚」で、縄文犬の墓とみられる穴の中に犬のアクセサリーとみられる加工された貝殻が発見されたというニュースがありました。

これからの使役犬たちの活躍の場として期待したいのが、
がん患者の早期発見につながるガン探知犬や、生活を支援するソーシャルドックへです。

ソーシャルドックとは、盲導犬、聴導犬、介助犬、そしてセラピー犬などになります。

それぞれの犬の個性を生かして、私たちに寄り添ってくれるそんな犬たちの
活躍する場が増えればと思います。

・犬の働き方改革！　ストレスフリーな環境で働こう！

そんな活躍の場を広げる為にも、犬たちがよりストレスなく働きやすい環境を考える必要があります。

　犬にも働き方改革！です

特に、その活躍を多いに期待したい病院や高齢者施設など公共施設では、よりヒトと動物がくつろげるハイブリッドな環境をつくることが必要です。

それは、これからの建物に求めてイイ！もの。そして、求められるべきもの！と、考えます。

　数年前の事ですが、建築系のイベント会場で講演していた”ファシリティドックで病院患者をサポートする「シャイン・オン！キッズ」”のパンドラ―さんが訪問する病院の建物について、こんな事を話されていました。
　ファリティドックのストレスを軽減するために、病院でファシリティドックがトイレをする時に、緑などでその姿を隠し落ち着いて用を足せる場所が欲しいといった内容でした。
　衛生面を気にする病院建築では、植栽を設置する土に含まれる細菌なども気にして、人口植栽を設置を求める医療関係者の方も少なくありません。
私は、図面を描かない建築士(ゼネコン勤めで設計部以外の配属）ですが、　図面を描かない無責任な点から言えば、「最初から、ソーシャルドックの受入れを考えて計画すれば、そんなに難しいことでは無いよなぁ～」と考えます。”最初から考えて計画すれば”、です。
　もっと、『ファシリティドックが来るのは当たり前！』という病院を増やしたいですね。

・相棒たちとの付き合い方

今回、ハイブリッド犬について調べて分かったことは
・犬は紀元前の時代から、私たちの生活を支え、共に暮らす相棒だった
・ヒトは相棒の活躍をより際立たせようと特定の交配を行った
・そこで遺伝子疾患を目の当たりにし、犬は人よりも遺伝的な影響が大きいことを知った

しかし、それらを知っても危険な交配を続けるヒトが居るという事実もありました。

　ハイブリッド犬が注目されて、約35年
　多くの生物のゲノム解析が始まって約23年
　と、まだまだ新しい分野です

　これからの世代で遺伝子疾患という時限爆弾を作らない為にも、”私たちは犬や猫の遺伝病を生み出した人間の責任を考える”必要があると、アニコムさん同様に感じました。

では、具体的にどうするか？

先ずは、ペットショップやブリーダーから購入する時に、
遺伝子検査や適切な交配を行っているかを質問することです。
そして、どんな病気が想定されるかなども質問し、回答を受け
納得した上で、一緒に暮らす相棒として迎い入れることと
考えます。

相棒と暮らす前に、”その付き合い方を考える”ことが
あなたを幸せにする相棒との出会いに繋がると思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

≪参考≫
●第３章
・　Techinsigth　【海外発！Breaking News】生まれつき目の無い犬　より小型を求めた無理な交配が原因か（米）Metro　2021年7月4日付：
https://japan.techinsight.jp/2021/07/iruy07061244.html

・チワワは水頭症に要注意。原因や症状、治療法について解説します_20231013：　https://petan.jp/chihuahua-hydrocephalus/
・犬の水頭症とは？　症状や治療法について【獣医師監修】_20221031：https://www.anicom-sompo.co.jp/inu/4904.html
・      チワワは水頭症になりやすい？初期症状や確率・原因や治療法等も解説_231107：https://ppnet.co.jp/pet-hoken/pet-insurance-comparison-656/
・芸能人にも大人気「ハイブリッドドッグ」に隠された、「残酷すぎる現実」石井 万寿美獣医師・作家
まねき猫ホスピタル院長‗20211228：　https://gendai.media/articles/-/85584
　
・JKC　繁殖の現状とこれからの問題点：　https://www.jkc.or.jp/certificates_and_breeding/guidelines/problem　
・
・理化学研究所_ゲノム情報に隠された進化の法則を探る_20220113：https://www.riken.jp/pr/closeup/2022/20220113_1/index.html
・アニコムホールディングス_犬猫の遺伝病撲滅に向けた取り組み状況について_20201209：
　https://www.anicom.co.jp/release/2020/201209.html
・ペットショップから遺伝子検査済みの犬を探す：
https://www.anicom-sompo.co.jp/hellobaby/result?kind=001&breed=d00115&dna=1&ui_campaign=mag8899&_gl=1*qgt0zg*_ga*NDg4NTM4ODAuMTcwMDMwNjA5NA..*_ga_Z1WB52F59P*MTcwMDMwNzkwOS4yLjEuMTcwMDMwODAxNC4wLjAuMA..

・理化学研究所_イヌの臨床検査値の大きな遺伝的寄与を解明_20200603：https://www.riken.jp/press/2020/20200603_1/index.html
・アメリカ科学振興協会 (AAAS)_ 種々の犬ゲノムの解析で、通説に反して、犬種からは行動予測が難しいことが判明_20220428：https://www.eurekalert.org/news-releases/950697?language=japanese
・      縄文犬のアクセサリー？加工した形跡ある貝殻2個発掘　愛知・田原：https://news.yahoo.co.jp/articles/c354494e37758e998ef9f923d5eeb485f4543354