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ママの話2【自閉症スペクトラムだったのか〜高校編〜】


どんなコミュニティに属する時でも
私のような人間は最初から失敗する。

中学の仲間と離れ、
高校生活が始まった当初は既に元同じ中学の仲良しグループが幅をきかせており、
自分の意見なんて言える空気では全くなかった。

「ぼっこちゃん?ぼっこちゃんでしょ?」


入学してすぐ話しかけてきたのは隣の席になったかのちゃん。
かのちゃんは幼稚園が同じで、習い事も一緒だった。


私「かのちゃん?びっくりした」


かのちゃん「うちのママもね、お姉ちゃんももうぼっこちゃんの話ばっかりしてるんだよ」



そう、明らかにぶっ飛んでいた幼稚園時代

皆が真面目に習字を書いているのに
ひとりぺちゃくちゃ妄想物語を語り、
みんなを失笑させていた黒歴史の習い事。
当時のメンバーの中ではほとんど伝説のKYとして記憶に残っていたのだ。


できれば忘れてほしかった。


でも幼稚園の頃の同級生で、私を忘れている人って中々居ない。
それほど壊滅的に空気を読んでいなかった。



かのちゃんは肌の色が真っ白で目が大きい、
とても目立つ顔立ちをしていて、
小さい時から可愛かったが、高校生になってより一層綺麗になった。

クラスの女子集団はそんなかのちゃんに目をつけ、
無視したり陰口を言うようになった。


全く周りが見えていなかった幼少期に比べ、
私は徐々に自分という人間が周りからどう思われているのか
よく分かるようになっていた。
周りが見えない自閉症スペクトラムも、
ある時期が来たら周りを見るようになるのだろうか?


不思議ちゃんで、
大人しくて害のない子。
高校生なのに幼稚園の子みたいで、難しいことを考えられない。 

ただひたすら目立たないことが
自分の身を守る術だった。
だからかのちゃんがいじめに苦しんでいても
声をあげることひとつできずに、
ただかのちゃんと話すだけでも敵意を向けられるのではないかとビクビクしていた。


ただビクビクして過ごしていたら
すぐにターゲットは別の人に変わり、
高校1年生の1年間は10人ぐらいが代わる代わる無視される。
まるでルーレットのようで、ターゲットになるはっきりとした原因なんて特別なかった。
登校した朝突然に誰かが無視をされはじめる。
目立つことも無く、地味すぎることも無く、
私のいたグループは、いじめのターゲットになった子達の駆け込み寺のようになっていた。 


ひとりひとりと話せば
結構いい子が多いのに
集団になるとやな奴になる。
当時の私は何も考えていないようで、
割と俯瞰してひとりひとりを分析していた。

グループ化して無視をして
ターゲットの順番がくる。
ターゲットから解放されたら
何事も無かったように笑って過ごす。


彼女たちは昨日無視された友達と、
なぜ今日は普通に笑うことが出来るのだろう?
人間って嫌だな。

本当に人間って嫌だな。


そんな気持ちの表れだろうか。
その時期にどハマりした映画が
「バトルロワイヤル」。
中学生が最後の一人になるまで武器を持って戦い合うという残酷な映画。
メールアドレスまでバトロワにして、登場人物の名前や役者のことまで徹底的に調べ尽くし、
映画のセリフもすべて完コピしていた。
授業なんて全く聞かずに 
映画のセリフをひたすら紙に書く。


周りはひいているのに
映画の良さを自分勝手に語りまくるような
本当に迷惑なオタクとして開花した。


映画の本編も100回は見たし、メイキングも特別編も見尽くした。
親もさすがに当時の私のことは
なにかしでかすのではないかと
かなり心配したらしい。


ただグロいシーンはやっぱり苦手で
くるとわかったら思いっきり顔を背け、見ないようにしていた。
そこまでするなら見なきゃいいのに。


なぜそんなにバトルロワイヤルにハマってしまったのだろう?
いじめばかりするクラスメイトに対する敵意?


あの頃の気持ちは
大人になった今ようやく分析することができる。



私は命懸けで生きたかったのだ。
自分を隠し、無難なポジションで
皆に合わせて過ごすこと。
面白いと思っていないことでも
ヘラヘラ笑わないといけないこと。

いじめばかり続くクラスで
本当に嫌だったのは
ターゲットすら回ってこない存在意義のない自分。


自分を隠すということが
自閉症スペクトラムの私にとっては思った以上にストレスで、
高校生活は毎日毎日苦しかった。











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