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だれか抱きしめてほしい

それは、肉体的にではなくて、そんなじゃなくて。病気のこと、家族以外に言わずここまできた。飲んでも飲んでもやってくる食前後の薬。一向に回復しない体。闇しか見えていない未来。

両親以外に、私を心配してくれるひとはいない。励ましたり、寄り添ったり、診察終わりコーヒー1杯差し出してくれたり、そんな人はいない。退院後に出会った人たちには、何も言わずにいるけど、自分から誘っておいてキャンセルせざるを得なくなったり、お店にまた来ますと言いながらいけないままだったりする。そしてどんどん足が遠のく。

「あの人、覇気なくて暗いな。」
「また来ると言いながらこないじゃん。」
そんな風に思われているんだろうか。思われているんだろう。

言いたい。知っていてほしい。

決して重くとらえずに、ポップに。頭の隅っこに置いておいてくれるだけでいいから。言い訳したいわけでも、同情してほしいわけでも、「大変だったね、えらいね、大丈夫。」って言われたいわけじゃない。けど、このまま、ひとり抱え込んで、生きていくのがつらい。ひとり、部屋に引きこもって、日々が、季節が過ぎていくのがつらい。

誰かに言ってみようか。そしたら心が軽くなる気がする。わたしが軽くなった分、相手は重くなるだろうか。離れていくかもな。分かってほしいわけじゃなくて、知っていてほしいだけ。元気な時は会いにいけるから。約束の日、どうしてもしんどくて、動けなくて、やもなく断ること。理由を知ってほしい。自己中かな。