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てれび

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#クロサギ

初めて平野紫耀を見た日と翌日のメモ。

初めて平野紫耀を見た日と翌日のメモ。

「クロサギ」。第1話だけ観た。
わたしは平野紫耀に一切の先入観がない。なので直裁に語るが、かなり変わった役者で、そこが面白い。声も芝居もファニーで、二枚目じゃない。役柄的にメリハリはあるが、ダークネスもかなり浅漬け。

オリジナル「クロサギ」を演じた山下智久とは全くタイプが違う。ジャニーズの中でも異形。スタア性はほぼ封じられていて、演技アプローチはバイプレイヤー的、さらに言えば芸人が起用された時の

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無邪気で、用意周到で、屈託がなく、抜け目なく、あからさまで、謎めいている。「クロサギ」の平野紫耀について。

無邪気で、用意周到で、屈託がなく、抜け目なく、あからさまで、謎めいている。「クロサギ」の平野紫耀について。

「クロサギ」。2006年の人気作(山下智久主演)のリメイクだ。
父親が詐欺に遭い、一家心中に追い詰められ、九死に一生を得た少年が成長、シロサギ(詐欺師)を騙すクロサギとして、復讐の詐欺を繰り広げていく。
詐欺師のみを標的にする策略の痛快さ。一方で、家族を壊滅させた男たちを追い詰めていく主人公の絶望的リベンジが凝視される。
軽やかさの底辺に激情が仕舞い込まれた物語には、普遍性がある。詐欺の手口は年々

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平野紫耀とは【まえぶれ=前兆】のことである。2022年最高の映像体験「クロサギ」最終回の一瞬について。

平野紫耀とは【まえぶれ=前兆】のことである。2022年最高の映像体験「クロサギ」最終回の一瞬について。

最終回。31分。

佐々木蔵之介「わたしも殺しますか」

そのあと、平野紫耀は食事を終え、ナイフとフォークが皿に当たる音がする。

佐々木の台詞と、あの音のあいだに、平野が醸造した【沈黙】がはさみこまれるのだが、あのときの彼の左(向かって右)の口元の微かなひきつりが、とにかく豊穣だった。

じっと凝視しないとわからないくらいの、ひきつり。だが、わたしたちは確実に凝視する。なぜなら、彼の【沈黙】が吸

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