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半導体製造の基礎の基礎 (3)

 読者の皆様は、半導体用シリコンの製造方法をご存知でしょうか? 『 #半導体製造の基礎の基礎 (1)』で説明する予定でしたが、忘れてしまいました。このように順不同での説明は、このブログの特徴です。そこで、 #ゲームブック 形式で、楽しみながら学べるようにしようと思いつきました。

 私は『ゲームブック』という言葉を知らなかったのですが、柴崎銀河さんが『ゲームブック』と書いていたので、Wikipediaで調べてみたら以下のような感じのようです。

Q1. シリコンインゴットの作り方を知っていますか?
(1) 勿論知っている。⇒ 半導体製造の基礎の基礎 (1)へ
(2) 知らないし、知りたくもない。⇒ Game Over
(3) 全く知らない。⇒ 以下をお読みください。

Q2. シリコンは珪石を還元して作られますが、還元とは何でしょうか?
(1) 勿論知っている。⇒ 3-3に進む。
(2) 知らないし、知りたくもない。⇒ Game Over
(3) 全く知らない。⇒ 以下をお読みください。

#還元は鉄鉱石から鉄を取り出す過程に似ています。鉄鉱石とコークスを燃やすことで、酸化鉄から酸素を取り除き、鉄と二酸化炭素に分けることを指します。

 珪石は、SiO2としての二酸化珪素の結晶のことで、つまり水晶と同じです。シリコン製造ではO2は不要なので、SiとO2に分けるのが還元です。珪石とカーボングラファイトという炭素の棒に電気を流し、アーク放電を起こすことで、SiとCO2に分かれます。

 このプロセスを経て、水晶は金属のような性質を持つ #金属シリコン になります。しかし、金属シリコンには不純物が多く含まれているので、半導体としては機能しません。この金属シリコンを溶解し結晶化することで、シリコンが得られます。ソーラーパネルに適したシリコンは6~7Nの純度ですが、半導体用には11Nの高純度が必要です。

このことを前回説明しましたが、覚えていますか?
(1) 読んでいない。⇒ 2.1に進む
(2) 覚えていない。⇒ あんたバカじゃないの!(ツンデレ説明の章へ)
(3) その説明なしで知っている。⇒ 4.1に進む
(4) 覚えている。⇒ 以下をお読みください。

半導体グレード・シリコン・インゴットの製造方法

 何時もアニメの話しばかりしているので、 #ドラゴンボール #スーパーサイヤ人ゴッド の話しをしていると思っている読者もいるかも知れませんが、ちょっと違います。 #グレートサイヤマン とも違います。

1. 珪石の採取:天然の珪石を採取します。珪石は地球上に豊富に存在する鉱石で、シリコンの主要な原料です。

2. 金属シリコンの製造:珪石を #アーク炉 で還元し、金属シリコンを製造します。この際、珪石から酸素を除去して、純度98~99%の金属シリコンを得ます。

3. 多結晶シリコンの製造:金属シリコンを化学反応させ、純度99.999999999%(11N)の多結晶シリコンを生成します。この工程では #シーメンス法 などが使用されます。

4. 単結晶シリコンインゴットの製造:多結晶シリコンから、 #CZ法 #チョクラルスキー法 )を用いて単結晶シリコンインゴットを製造します。 #多結晶シリコン を石英坩堝に入れ、溶かしながら回転し、 #単結晶シリコン を成形します。

5. シリコンウェハーの製造:単結晶シリコンを高速ワイヤーで約1mmの厚さに切断し、研磨してシリコンウェハーを製造します。このウェハーは半導体デバイスの基板として使用されます。

 以上が、珪石から #半導体グレードシリコンインゴット の製造までの基本プロセスです。

Q. シリコンインゴットからCPUができるまでのプロセスを理解していますか?
(1) 知っているが、EUV露光装置の詳細は不明。⇒ 100ポイント獲得 💰
(2) 知りたくもない。⇒ Game Over
(3) まったく知らない。⇒ 2.1に進む

EUV露光装置とは

#EUV露光装置 は、半導体製造の『露光』という工程で使われる装置です。EUVはExtreme UltraVioletの略で、極端紫外線を指します。この装置は13.5ナノメートルの短い波長の光を使用します。

 露光は、シリコンウェハーに電子回路のパターンを描く工程を指します。EUV露光装置はより精密なパターンを描くことができ、それにより半導体の性能が向上します。

 この装置は、2018年から使用が開始され、7nmノード以下の露光に活用されています。この装置の輸出制限が #米中貿易戦争 の焦点の一つとなりました。中国は20年以上前からEUV露光装置の研究開発を進めており、独自の技術を持っています。ほとんどの報道が、EUV露光装置はオランダだけで生産できると主張していますが、これらのマスゴミの主張は誤りです。

TSMCの最先端半導体製造に死角、途上国一国を上回る電力消費量
Betty Hou、Stephen Stapczynski
2022年8月26日 15:29 JST

EUV露光装置の運転には大量の電力を要することから、TSMCの電力消費は近く、人口2100万人のスリランカ全体の消費量を上回る見通しだ。2020年の同社のエネルギー消費量は台湾全体の約6%だったが、25年までに12.5%に拡大すると予想されている。

ブルームバーグ・ビジネスウィーク

 EUV露光装置は大量の電力を消費するため、現時点で台湾の発電量の約10%がこの装置の電源として使用されています。日本のような高い電気料金の国で、この装置を使うと生産コストが跳ね上がってしまうので、日本で生産するのであれば、非常に付加価値(利益率)の高い高額半導体製品を開発する必要があります。

米制裁下のHuaweiが開発、初の中国製5Gチップを分析
SMICの7nmプロセスで製造
米国TechInsightは、HuaweiがSMICの7nmプロセスによって、初の中国製5Gスマートフォン向けSoCを開発したと分析している。同社のレポートおよび関連報道が明らかにした詳細や、同社の今後について考察する。
2023年09月07日 10時00分 公開

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20年にわたってEUV露光の研究を行ってきた中国
 長春光学・精密機械・物理研究所は、すでに2002年には中国初のEUVリソグラフィ原理確認装置を開発、0.75nm RMSよりも優れた波面収差を有する2ミラーEUVリソグラフィ対物レンズシステムの開発に成功していた。その後も研究を続け、2017年には32nmプロセス対応EUV露光装置の試作に成功。その後、5nm向けEUV露光装置の開発が行われてきた。

 EUV光源は、長年にわたってハルビン工科大学で研究開発されており、現在は長春研究所と協業体制にあるという。EUV露光装置向けの超精密マスク/シリコンウェハステージは、清華大学の朱玉教授が率いるチームが2014年に開発し、長春研究所に納入したという。Huaweiの研究所も長春にあり、EUV露光装置の潜在的ユーザーとして、共同開発に参画し、開発促進に協力している模様である。

 2022年、そのHuaweiが中国国家知識産権局にEUV露光装置とその主要コンポーネントをカバーする特許出願(特許出願番号202110524685X)したことが露光装置業界を中心に話題になった。この特許は、波長13.5nmのEUV光源、反射鏡、露光装置、計測技術など、EUV露光装置の重要な構成要素をすべて網羅している。

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半導体・デジタル産業戦略
令和5年 6月
経済産業省 商務情報政策局

つづく…


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