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MENA(中東・北アフリカ)専門家によるイラン解説 XIII

 日本では長年、イスラエル寄りの偏向報道が行われてきました。しかし、近年の日本のアラブ及び中東専門家の質の低下も注目に値します。

 青山弘之という名前の専門家が書いた記事を読みましたが、あまりにレベルが低くて驚きました。彼は独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)傘下のアジア経済研究所の出身者です。この研究所の出身者で、私の意見と一致しない人物に東京大学先端科学技術研究センター教授の池内恵がいます。

 アジア経済研究所は以前、研究予算不足により機能不全に陥っていましたが、現在では約150名の研究者がアジア、アフリカ、ラテンアメリカ、 #中東 ・CIS地域の研究に従事しています。イランから日本に掛けてアジアと見なすことは妥当ですが、CISはヨーロッパとアジアに跨るユーラシアの地域組織です。この地域には #ロシア #ウクライナ 、ベラルーシといったヨーロッパの国々と、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギスタンといった中央アジアの国々が含まれます。

#アジア経済研究所 という名称にもかかわらず、その研究範囲がアジアに限らないことは疑問です。意外と知られていないことかも知れませんが、アフリカ、ラテンアメリカはアジアではないのです。

国際連合によるアジア地域の分類

 このような研究体制の下では、質の高い研究を行うことが難しいので、名称を『世界経済研究所』として活動内容を見直すべきでしょう。アジアは広大な地域であり、日本、トルクメニスタン、チベットを一括りにして『アジア経済』と捉えることには意味がありません。世界経済のパラダイムシフトを捉える上で、 #BRICS の研究は価値ある課題ですが、アジア経済研究所には手の余る課題です。

 飯山陽は『イスラエルは「加害者」なのか』と題して、『反ユダヤ主義を仄(ほの)めかしたり誘発したりする見出しには、危険と責任が伴う。民主主義国家である日本のメディアはそれを認識し、自戒すべきだ』と主張していますが、以下がネタニヤフなどに対する国際的な評価です。

 ちなみに、 #飯山陽 #池内恵 #青山弘之 などが誤解している点、または意図的に情報を歪めている点について指摘します。国際刑事裁判所や、私が批判しているのは、 #ユダヤ 教や #イスラエル 全体ではなく、具体的にはネタニヤフ首相とその内閣による戦争犯罪行為です。それにもかかわらず、これらの批判を一律に反イスラエル・反ユダヤ主義とみなして、 #ネタニヤフ の戦争犯罪そのものを議論から排除しようとしています。

 日本国内で #イラン #アラブ 諸国、イスラエルの問題を深く論じているのは、宮田律先生くらいです。宮田先生がnoteで記事を執筆していることには驚きました。

宮田律先生の著書

『イスラム政治運動 -台頭するイスラム主義と国際政治』(日本経済新聞社、1996年)
『中東政治構造の分析 -民族・イスラーム政治を考える』(学文社、1996年)
『イスラム世界と欧米の衝突』(NHKブックス、1998年)
『イスラム紛争の深層』(時事通信社、1998年)
『中央アジア資源戦略 -石油・天然ガスをめぐる「地経学」』(時事通信社、1999年)
『イスラム・パワー 21世紀を支配する世界最大勢力の謎』(講談社、2000年)
『イスラムでニュースを読む イスラム紛争の火種をさぐる』(自由国民社、2000年)
『完全図解 よくわかる「今のイスラム」』(集英社、2001年)
『現代イスラムの潮流』(集英社新書、2001年)
『物語イランの歴史 誇り高きペルシアの系譜』(中公新書、2002年)
『いま、なぜ「戦争」なのか? 謎解き世界同時多発紛争』(新潮社、2002年)
『現代イスラムの潮流と原理主義の行方』(集英社、2002年)
『「イスラム過激派」をどう見るか』(岩波書店、2002年)
『中東情勢のいまを読む』(岩波ブックレット、2003年)
『イラクと日本』(集英社新書、2004年)
『中東 迷走の百年史』(新潮新書、2004年)
『イスラム超過激派 戦慄思想の全貌』(講談社、2005年)
『中東がわかる8つのキーワード』(平凡社新書、2005年)
『軍産複合体のアメリカ 戦争をやめられない理由』(青灯社、2006年)
『イスラム石油戦争』(NTT出版・ライブラリーレゾナント、2006年)
『中東イスラーム民族史 競合するアラブ、イラン、トルコ』(中公新書、2006年)
『イスラムに負けた米国』(朝日新書、2007年)
『イラン -世界の火薬庫』(光文社新書、2007年)
『ドバイ発: アラブの挑戦 脱石油戦略は成功するか』(NTT出版、2008年)
『人物で読むイスラム世界』(日経プレミア:日本経済新聞出版社、2008年)
『紛争の世界地図』(日経プレミア:日本経済新聞社、2009年)
『南アジア 世界暴力の発信源』(光文社新書、2009年
『イスラム過激派・武闘派全書』(作品社、2009年)
『ドバイの憂鬱 湾岸諸国経済の光と影』(PHP新書、2009年)
『イスラム世界おもしろ見聞録』(朝日新聞出版、2009年)
『中東危機のなかの日本外交 暴走するアメリカとイランの狭間で』(NHKブックス、2010年)
『アメリカ・イラン開戦前夜』(PHP新書、2010年)
『激変!中東情勢丸わかり』朝日新書 2011
『過激派で読む世界地図』ちくま新書 2011
『CIAとビンラディン: 「9・11」から10年目の真実』ワニブックス〈plus〉新書 2011
『イラン革命防衛隊』武田ランダムハウスジャパン 2011
『過激派で読む世界地図』ちくま新書 2011
『激変!中東情勢丸わかり』朝日新書 2011
『イスラムの世界戦略 コーランと剣 一四〇〇年の拡大の歴史』毎日新聞社 2012
『「ユダヤ人とイスラエル」がわかれば「世界の仕組み」が見えてくる』ワニブックス|PLUS|新書 2012
『イスラムの人はなぜ日本を尊敬するのか』新潮新書 2013
『世界を標的化するイスラム過激派 「アラブの春」で増幅した脅威』角川oneテーマ21 2013
『イスラム潮流と日本』イースト新書 2014
『世界を動かす現代イスラム 日本人として知っておきたい』徳間書店 2014
『イスラム 中国への抵抗論理』イースト新書 2014
『アメリカはイスラム国に勝てない』PHP新書 2015
『イスラムは本当に危ない世界なのか』潮出版社 2015
『石油・武器・麻薬 中東紛争の正体』 講談社現代新書 2015
『オリエント世界はなぜ崩壊したか 異形化する「イスラム」と忘れられた「共存」の叡智』新潮選書 2016
『イスラム唯一の希望の国日本』PHP新書 2017
『ナビラとマララ 「対テロ戦争」に巻き込まれた二人の少女』講談社 2017
『トランプが戦争を起こす日 悪夢は中東から始まる』光文社新書 2017
『イスラム10のなぞ 世界史への招待』中公新書ラクレ 2018
『無法者が塗り替える中東地図』毎日新聞出版 2018
『ナショナリズムと相克のユーラシア ヨーロッパ帝国主義の負の遺産 』白水社 2019
『黒い同盟 米国、サウジアラビア、イスラエル 「反イラン枢軸」の暗部』平凡社新書 2019
『武器ではなく命の水をおくりたい中村哲医師の生き方』平凡社 2021
『イスラムがヨーロッパ世界を創造した 歴史に探る「共存の道」』光文社新書 2022
『地球を壊す人、救う人々 戦争と環境破壊連鎖の危機』薫風社 2023
『人口からみた宗教の世界史 ユダヤ教・キリスト教・イスラムの興亡』PHP新書 2023
『アメリカのイスラーム観 変わるイスラエル支持路線』平凡社新書 2024
『ガザ紛争の正体 暴走するイスラエル極右思想と修正シオニズム』平凡社新書 2024

つづく…

#武智倫太郎


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