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ラマダンから学ぶイスラム信仰と生活様式

 現在、世界人口の約25%がイスラム教徒(ムスリム)であり、ムスリムの人口増加率は他の宗教を圧倒的に上回っています。この傾向が続けば、数年後にはイスラム教が世界で最も信徒数の多い宗教になることが予測されています。

 私は過去にイスラム経済圏やエネルギーに関する著書、論文、雑誌記事を多数執筆してきましたが、多くの日本人がイスラム教徒についてほとんど理解していないことに驚かされることがあります。

イスラム教に対する誤解について

 一般的な誤解として、 #イスラム教 #中東 #湾岸諸国 における過激な宗教であるという見方があります。私はエネルギーの専門家として、 #中東・北アフリカ諸国 #MENA )や #インド #インドネシア #マレーシア #ブルネイ などに頻繁に滞在しており、日本人の知人よりもムスリムの知人が圧倒的に多いです。SNSでの友人の比率は、日本人1に対してムスリムが300くらいになります。さらに、黒人、白人、中国人などが合わせて約200人以上いますが、私が知る限り過激なイスラム教徒やイスラム原理主義者は一人もいません。イスラム教徒は非常に温厚で、テロを支持するような人は見たことがありません。

 イスラム教徒の多くが、ムスリムが過激派と見なされることに違和感を持っています。この感覚は、オウム真理教が地下鉄サリン事件を起こした後、日本人全員がテロリストと見なされることへの疑問と似ています。多くの日本人はオウム関係者とは無関係で、テロを起こしたいと考える人を見つけることが困難なのと同じように、私のムスリムの知人の中から過激思想を持つ人を見つけることも困難です。

イスラム教の戒律についての誤解

 多くの日本人がイスラム教徒に対して抱いているもう一つの誤解は、イスラム教が制約事項が多く、戒律の厳しい宗教だというものです。しかし、実際にはイスラム教の戒律は比較的緩やかであり、例えば、 #ラマダン #断食 を守れなかったからといって罰があるわけではなく、忙しくて祈りの時間が取れなかった場合にイスラム教から破門されるようなことはありません。これらの戒律はむしろ努力義務として扱われます。ラマダンについても、多くの日本人が誤解しているような厳格な断食ではありませんので、今回はその解説を行います。

世界のイスラム教徒の人口

インドネシア:約2億2900万人のイスラム教徒。
パキスタン:約2億2000万人以上。人口の大部分がムスリム。
インド:約2億人のイスラム教徒。
バングラデシュ:約1億5600万人。ほぼ全人口がムスリム。
ナイジェリア:約1億人。アフリカで最もムスリムの人口が多い国。
エジプト:約1億人。大部分がイスラム教徒。
イラン:約8300万人。シーア派ムスリムが多数を占める。
トルコ:約8200万人。ほぼ全人口がムスリム。
アルジェリア:約4300万人。ほとんどがムスリム。
モロッコ:約3600万人。大部分がイスラム教徒。

ラマダンとは

 ラマダンはイスラム教の第9月にあたり、イスラム暦で最も聖なる月です。この期間中、全世界の成人した健康なムスリムは、夜明けから日没まで飲食物を含むあらゆるものの摂取を断つ断食を行います。この断食は自己粛清と霊的成長を促し、物質的な欲望や日常生活の快楽から一時的に離れて、神(アラー)への献身と感謝の深化を目指します。

 ラマダンについて理解を深めるため、日本人に馴染みのある例を挙げましょう。クリスマスや正月のように、ラマダンもまた家族や友人との絆を深める大切な時期です。映画などではクリスマス中のさまざまな出来事が描かれますが、基本的には家族や親しい人々との楽しい時間を過ごす期間と捉えることができます。ラマダンも同様に、家族団欒や親戚との再会を楽しみにする時期です。

ラマダンの意義

霊的な浄化:断食は心を清め、霊的な成長を促す機会です。ムスリムはこの期間、自己反省を深め、神との個人的な関係を強化します。
自己抑制: 飲食の制限を通じて忍耐力を高め、自制心を養います。
共感と慈善: 断食を通じて飢餓の苦痛を体験し、貧困に苦しむ人々に対する共感を深めるとともに、ザカート(慈善)やサダカ(喜捨)などの慈善活動に参加することが奨励されます。

ラマダンの実践

サフール:日の出前に摂る軽食で、これにより一日の断食が始まります。
イフタール:日没時に断食を破ります。多くの場合、水やデーツで断食を開き、その後、豊かな食事に移ります。
夜間の礼拝:ラマダン中は、通常の五回の祈りに加えて、特別な夜間礼拝(タラウィーフ)が行われます。

例外と配慮

 旅行中、病気の人、子供、妊娠中や授乳中の女性、生理中の女性、または健康に害を及ぼす可能性がある人々は断食を免除されます。これらの人々は、可能な場合、後日断食を補ったり、貧しい人への食事提供など、他の形で補償をすることが期待されます。

ラマダンの終わり

 ラマダンの終わりには、イード・アル=フィトル(断食明けの祭り)が祝われます。この日、家族や友人が集まり、特別な礼拝に参加した後、食事を共にします。喜びと感謝の気持ちを分かち合うこの時期は、特に子どもたちにとっては新しい服をもらったり、お菓子を楽しんだりする楽しい時間です。

#武智倫太郎

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