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弱いのは甘えではなく、弱いからこそ強くなれる。

できるならば弱い人間でいたい。

そう思うのは甘えなのだろうか。強くいることは結構しんどい。仕事もパーフェクトにこなして、家庭では良き奥さんであり決してつらい事は人に見せないでいることが強さなのだったら、弱いままのほうがわたしらしい。
結果を出さないといけないプレッシャーもないし、ズボラのほうが楽でいい。手を抜くことは自慢できるようなものではないかもしれないけど、自分が許しているのならそれでいいと最近感じる。



数か月前、たぶんわたしは強い人だった。仕事もバリバリこなして自宅に帰れば家事もこなしてエネルギッシュに毎日を過ごしていた。白黒つける性格でどんな人にも思いをぶつけられる人だった。頭が固くて一度決めたら曲げることはできなかったわたしを嫌厭する人もいただろう。
それで構わなかった。芯の強い人が正しいと思っていたから。誰になんと言われてもポリシーを貫き通すのがわたしにとっては正解だった。間違っている人にははっきり注意し、教え方も厳しかった。少しでも自分と違う意見を持っている人がいようものならば、持論をいくつも並べて訴えていく。自分にとっては間違いで、正してあげなければと変な正義感を振りかざして。わたしが誰かを救っている。誰かの人生に影響を与えているという自己満足に酔いしれていた。
もちろん、自分にも厳しかった。結果を出せなかったら、なぜ出来なかったのかと責める。思うようにいかなければもっと頑張る。どんなに努力してもかなわない高いところに到達しようを必死に上っていた。



でもそれは”見せかけの強さ”だったのかもしれない。



今のわたしは1つのことも満足にできない。誰かの役に立つこともできない。家庭という小さな世界で生きている。1人の時間が長くなったことで自分を見つめなおすと本当は弱い事を気づかれないように虚勢を張って生きてきたのだなと思う。そんな自分はみじめでかっこ悪いなと今更ながら気づいた。今まで正しいと思っていたものは木っ端みじんに砕け散った。これからは何を信じていいのか、知らない道に迷い込んで道しるべもなくどっちに行こうか挙動不審になっている。自分の意見というものはなくなっていた。なくなったというよりは正しさとは何を指しているのかがわからなくなったということだろう。そんなわたしはどこに言っても思いを表出することに消極的になってしまった。それは数か月前とは違う自分になっていた。




わたしは復職に向けて、話し合いをしている。もう何度目かの面談を乗り越えた。多くのことを口に出せない自分には苦しい時間だ。度重なる質問に答えられない。どうしたらいいのか分からない自分がいるのだ。

他人のことなのに親身に考えてくれる上司から、職場を変えるのはどうかと提案された。すべて上司がセッティングをし、機会を設けてくれた。部長は日々業務に追われているにも関わらず、わたしに付き添ってくれた。一社員であって、仕事ができなくなったわたしに本当に親切にしてくれるのだ。今日もとある店に呼び出されて給与体制を説明してくれた。それも限りなく前の給料に近づけてくれて異例のものだった。

「本当は前の職場に戻ってほしいんだけど、あなたが決めることだから考えてみて」と言ってくれた。
こんなに面倒を見てくれる会社は今までなくて、働けないわたしにはありがたい事だった。

そんな優しさを、不安定なわたしはなにか忖度があるのでは・・・と疑ってしまう。人のことを考える余裕がないと自分のためのことしか考えられなくなってしまう。前も今もわたしは自分のことしか考えられない。狭い視野でしか見られていない。話していてそんなことを考えていた。



本当の強さは弱い人なのだと思う。人の痛みに寄り添い、違う思いに耳を傾けられる人と。見せかけの強さはいつかはぎとられる、わかりきったことにいつまでも縋り付いて、自分より大きいものに威嚇して吠える犬のように見栄を張っていた。きっと気づかれていたんだと思う、わたしだけが知らなかっただけ。他人のことは細かいところまで分析するのに、自分になった途端わかりきったつもりになっている。本当はこれっぽちもわたしを知らないくせに。主観いうフィルタ―にごまかされて曇ってしか見えない。人間って厄介な生き物だ。

どんなに醜くても、情けなくてもありのままを晒して、他人をそのまま受け止めてつつ譲れないものも持っている。多くの失敗や間違いで得た経験や知識の中で培ったことで心に突き刺さる言葉が生まれる。挫折があるからこそ困難を乗り越える力がある。そんなことを上司から学んだ。


わたしは弱いままでいい。これから経験を積んで本当の強さを身に付けるために。いつまでも弱いままでいたい。誰かの痛みに寄り添える人であるために。もう見せかけの強さはいらない、飾らない自分でいたい。



最後まで記事を読んでくれてありがとうございました!