見出し画像

BRING THE NINJA BEAT

 真夏の空。
 コバルトブルーの海。
 照り付ける日差しと、ビキニからはみ出る褐色の肌、そして乳房。


 そこは東暁市海水浴場。
 毎年多くの若い男女で賑わう人気スポットである。

 しかし!

 そんな楽園も、一瞬にして惨劇のビーチと化す!

 今、サーフィン青年が不自然にボードから落下し、海中へと引きずり込まれた!
 また、別の場所でもドーナツ浮き輪でゆったり漂っていた麦わらサングラス女が突然、腰を折るようにして中央穴から海へ引きずり込まれる!

「な、何かいるぞ!みんな逃げろおおおお!」

 だが、そうして騒ぎになる頃にはもう20人以上が海の底に沈んでいた。
 騒然とするビーチ。我先へと陸に避難する人々。

 すると、まさにその時だった。

 海に潜む怪物が、ついに姿を現したのである!

 突如、飛沫をあげ海面から飛び出す水柱!
 しかもそれは1つではない。同時に10個の水柱が空に打ちあがったのだ。 
 そして、その一つ一つの頂点には、腕組をし、背筋を伸ばして直立する人影!!

 そこにいるのは顔を布で覆い、黒装束を着た———忍者である。


「忍者!?」


 しかし驚いている場合ではない。
 何故ならその忍者たちは音もたてず砂浜に着地すると、目についた人々を片っ端から殺戮し始めたのだ!
 彼らは手裏剣を投げ、刀を振り払い、狂風のようにビーチを駆けた。彼らの通った後には死体と鮮血の花道ができる。


 そして数分後には、忍者はどこにもいなくなっていた…。
 ビーチに残るのは、204名の惨殺死体のみ……。


 ———時は20XX年。


 このような「突然忍者が現れその場の人間を皆殺しにして去る」という現象は、今や世界中で発生していた。死者は100万人に及ぶとされており、人々は常に死の恐怖に怯える毎日であった。





「だったら俺たちの出番だろ」




 そこは首相官邸。
 今、その正面玄関に、7人の男女が現れた。

 そう。

 彼らは、いや、彼らこそが———

 この災厄を終わらせるため、政府によって全国から集められた最強の七忍であった。

【続く】

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?