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ヨーロッパ旅の記録〜Pragueへ〜

"2017年7月24日〜9月18日まで ヨーロッパ8カ国を旅した記録"

8月11日
ヨーロッパへ来てから最初に出会った仲間、それも愛すべき仲間たちと別れて、今日からしばらく一人になる。行き当たりばったりの旅は、次に行く街、泊まる場所を自分で決め確保しなければいけない。
次の滞在先はBrusselsの予定だったが、泊まらせてもらう約束をしている友人が旅に出ていて、戻るまで3日ほどあったので、Pragueに行くことにした。Zürichから飛行機で移動した。電車の切符や航空券の手配は全てインターネットでできてしまうのですごく楽だ。ヨーロッパ内の主要都市間だったら航空券も安い。
新しい街に着いたときは、まず空港から市街に出るにはどうしたらよいかを調べる。事前にインターネットで検索したところ、Pragueは空港から市街に出る直通の電車などがないということだ。バス、地下鉄を乗り継がねばならない。
チェコに着くと、何とも言えない不安な気持ちになった。その理由がわかった。公共の案内板が全てチェコ語だからだ。社会主義の名残だろうか、空港から市街へのアクセスや案内は観光客にとってあまり親切とは言えない。単語の一つも理解できないというのはこんなに不安なものか。しかし人に聞けば英語は通じるので、難なく市街に出ることができた。
Pragueはさすがに建物がきれいで街並みも雰囲気がある。ホテルは中心地にあって感じがよくリーズナブルでまずまずだった。荷物を置き早速街を散策。有名なブルタバ川、カレル橋へ行って驚いた。満員電車のような人、人、人。夏の一番いい時期に来てしまったらしい。景色は素晴らしいが人ごみは苦手なのだった。
チェコはビールが美味しくて水より安いと聞いていた。市街地にはたくさんのパブやレストランがひしめいているが、一人ではなかなか入りづらく、人の少ない裏通りの古そうなレストランに入った。こういった店の方が伝統的な料理が食べられると思ったからだ。チェコワインと肉料理をいただいた。家庭的な良いレストランだった。旅では、一人の食事はさみしい。周りは家族づれやカップル、友達同士の旅行者がほとんどだからなおさらだ。ホテルに戻って早めに休む。

8月12日
せっかくプラハに来たので、ピアノメーカーPETROFのショールームへ行ってみることにした。日本ではピアノプレップさんでいつも状態の良いPETROFを弾かせてもらっていたから、すっかりPETROF社のピアノのファンになっていた。プラハ市内のPETROF社は、日本で言ったら街の〇〇楽器店みたいな、本当に小さなショールームだった。グランドとアップライトが数台あり、全て弾かせてもらった。社のマネージャーのような男性に、「フルコンが弾きたいんだけど」と言ったら、本社工場に行けば弾けるよと、本社の人に繋いでくれた。人も対応も良い。PETROFはチェコを代表するピアノメーカーで、職人が手作業で一台一台作っている。国内にあるピアノはほぼPETROFなのではないかと思う。チェコといえばスメタナ、ドヴォルザークという大作曲家が生まれた国でもある。雄大なブルタバ川とボヘミアの深い森から生まれた音楽はどことなく懐かしさがある。ウィーンやパリとはまた雰囲気が違うが、ここも音楽の都だ。
PETROFの本社の人とメールでコンタクトを取る。明日は日曜で休みで、月曜なら見学できるとのこと。しかし月曜にはBrusselsに行くことにしていた。行き当たりばったりの旅だから滞在を延ばしてもよかったのだが、なんとなくこの街にもう一泊することに気が進まなかったので断念した。ピアノ制作現場も見たかったので残念だが、今回見られなかったのは次回があるということだろう。
Pragueは建物が美しい。歴史もある。ブルタバ川沿いの夜景は本当に見事だ。だがこんなに美しい夜景を一人で見ていると、余計にさみしさが募る。スイス、イタリアでの仲間との時間を思い出す。人が多いのもなんだか耐えられなくなってしまい、明日発とうと決める。旅にはこういう瞬間があるのかと、これも初体験だった。少しセンチメンタルなプラハ滞在となった。


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