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夫婦

ぽわんと幸せな気分を感じる瞬間は色々あるけれど、みんなは夫婦生活の中のどんな時にそう感じているのだろうか。

私は今朝、通勤電車の中にいる夫とLINEしてなんとも幸せな余韻が残った。

今度新しい掃除機を買おう、リビングのカーペットを買い替えようという相談をしつつ、お互いに「これはどう?」と商品のリンクを送り合っていただけなのだけど、それだけのことがなんとも楽しかった。お互いを見つめ合いながらも同じ方向を向いているというか、そんな感じ。

実は我が家に置いて、掃除機もカーペットも1年近くピリつく火種だった。

え、なんで?と思われるだろう。
赤の他人にはよくわからないところに地雷が転がっているのも夫婦という不思議な人間関係だけに起きる現象なのかな。

その詳細を書いて一体誰が読みたいねんという話なのでピリついてた中身は割愛するけれど、私たちにとっては掃除機の追加購入とカーペットの買い替えは仲直りの象徴だったのです。

私たちは衛生観念において嫌なところが違いすぎて、時々ピリつき、時に大げんかをし、長い期間にわたってやんやとやり合ってきたけれど、ようやく二人が歩み寄って調和に行き着いた・・・今朝のLINEの会話自体がそういう出来事でした。

それでぽわんと幸せな気持ちになったというわけ。

***


繰り返しになるけれど、夫婦って本当に不思議な人間関係に思う。結婚前には想像が及んでいなかったけれど、好いた惚れただけでは決して続けていけない。

例えば白雪姫は王子様と結ばれて、シンデレラも王子様から求愛を受ける。人魚姫も美女と野獣もみんな同じ。二人結ばれてハッピーエンド。そこで物語は終わるけれど、本当の二人の物語はむしろそこから始まるはずだ。

紆余曲折は結ばれるまでの話で、その後二人は末長く幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたしなんてそんなのあり得ない。共に暮らし始めたその日から、まだまだ無数の山あり谷ありがあるはずだ。

白雪姫もシンデレラも人魚姫も美女と野獣も死ぬ時に二人の歴史を振り返って総括したら「二人は末永く幸せに」とまとめられる夫婦生活を送ることができたのかもしれないけれど、もし童話に続きがあるのなら、絶対に夫婦生活で色々と紆余曲折があったはずだ。

なぜなら夫婦は生活を共にするということだし、人生を共に歩むということだから。

生活そして人生を共にするというのは、互いの舞台裏を見せ合うことと言い換えられるかもしれない。

心身ともにキレイなだけじゃいられないどころか、むしろ自分の最も醜いところを晒していることの方が多い気がする。

付き合い初めの当初はお互いに自分の最高コンディションを相手に見せることに一所懸命で、相手の最高コンディションに夢中だったとすれば、結婚生活では自分の最低コンディションをどこまでも相手に晒し、相手の最低コンディションを受け入れていくことから逃れられない。

最低コンディションの時こそ、その人の本質が現れる。
その時、自分はどうするのか。相手はどうするのか。

大げんかして顔も見たくないし声も聞きたくない時に、それでも避けられない相手とどう翌朝を迎えるのか。生活も人生も歩みを止めることはできない中で、困難にぶつかった時にどうやって乗り越え、関係を続けていくのか。

現実に目の前にいる相手を非表示にすることはできないし、ブロックすることもできない。電源オフにすることもできない。今日も明日も明後日も否が応でも続いていく。

夫婦というのは、無数の山あり谷ありを歩むその過程にこそ本質があるのかなぁ。

それはつまり、病める時も健やかなる時も喜びの時も悲しみの時も富める時も貧しい時も、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすというお決まりのフレーズに全てが詰まっている。

私たちは結婚式を挙げていないのでこんな誓いはしなかったけれど、もし誓っていたらこの言葉の意味する本当の難しさを知ることなくわかった気になって「はい、誓います」と私は言ったに違いない。

このフレーズをスルメのように噛み締めて、うーん深いなぁと思えるようになった今が私は好きだ。

そんな風に考えるようになった結婚4年目。

「11月25日は結婚記念日だね(私)」「そうだね、どこか食事にでも行こうか(夫)」と会話をしたら、結婚記念日は10月26日だったと気がついたのはつい先週のこと。月も日にちも合ってないw

「我が家の結婚記念日にボジョレーヌーボーは飲めない」が今年の教訓となった。これで来年は10月のうちに記念日があることを思い出すはず(?)

二人揃って結婚記念日をまったく覚えていないトンチンカンな夫婦だけど、1年目より2年目、2年目より3年目と少しずつ夫婦関係が醸成されていることを実感する。

フレッシュなボジョレーヌーボーもいいけれど、年代物の重厚なワインの方が深い味わいがあるのと一緒かもしれない。

新婚時代より今の方がずっと幸せで、年々熟成が進んでいるのが嬉しい。

とはいえまだまだ4年目。
これからも色々あるんだろうなぁ。

その色々に一喜一憂しながら進み続けよう。





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