男親へのプレゼント、エンジェルサウンズ

１週間ほど前のこと。健診に行った後に「初めて心音を聞かせてもらえて感動した」と実家メンバーにLINEで報告したら、5歳の娘がいる弟から「お義兄さんにも心音聞かせてあげてね。実感湧くから」という返事をもらった。なるほど、さすが経験者・・・と思ったものの、「いやいや、そうしたくてもできないんだよ。コロナで病院の付き添い禁止だし。それに最初の妊婦健診の時、うちの病院は録音も録画も禁止って注意事項の紙を渡されたもん。無理だよ」と反発した。

でも、弟の言葉は妙に胸に残った。そこで自宅用の胎児超音波心音計「エンジェルサウンズ」をレンタルすることにした。

こんなグッズもあるとは知っていたけど、自分の安心のためなら無駄な出費をしないで我慢しようと思っていた。だけど、夫にも赤ちゃんが生きてる実感を共有するという目的ならお金を払っても惜しくないかもしれない。女の私は健診のたびに赤ちゃんの存在を実感する機会があるけれど、男の夫はそういう機会から疎外されている。弟の言葉が反復される。きっと弟は、６年前に奥さんの健診に付き添って、病院で赤ちゃんの心音を聞いた感動を今でも覚えているのだろう。よし、自宅で心音が聴けるエンジェルサウンズとやら、私が用意しようじゃないか。

・・なんて70％くらい決断しかかっていたタイミングで実家LINEに「こんなのがある。使ってみようかな？」とリンクを送ったらすかさず父親が「買ってあげようか」と言ってくれたので、遠慮０で甘えた。

エンジェルサウンズの推奨使用数週は12週から。私はちょうど今週から12週に入ったのでタイミングもばっちり。購入することもできるけど、正直ずっとはいらないものだし、たぶん胎動を感じるようになったら使わなくてもいいんじゃないかなと思ったので３ヶ月で申し込み。補償もつけて6300円。安くはないけど、親のお金だし（オイ）、夫と共有できる時間や気持ちを買ったついでに安心も買えたと思えば全然よし。

いざ天使の音を聞く・・・？

そんなわけで、実物が届いたのが３日前のこと。夫にはサプライズで用意していたので、開封した夫は最初「・・・？」という顔をしていたけれど、箱を凝視して胎児超音波心音計というピンクの文字を見つけると「これ。プレゼントって言うけど愛ちゃん自分用じゃんww」と笑ってきた。まあね。そういう側面もあるけれど、そうじゃないんですよ旦那。私はこの器具を用意した、その心のうちを夫に話した。

夫は、「俺、もう十分赤ちゃんが生きてるって実感してるよ。愛ちゃんのお腹は前より大きくなってきてるし」などと言ってはいたが、いざ私のお腹にクリームを塗りたくってエンジェルサウンズを試したら、いつまで経っても手放さなかった。私だって早く試したくてうずうずしているのに、赤ちゃんの心音を探してずーっとドップラーで私のお腹をぐりぐりしていた。

・・・がしかし、初日は全然見つけることができなかった。いい加減私もお腹を出しっぱなしにしているのが疲れてきたので、途中で諦めて次の日に再チャレンジすることにした。

命を知らせる天使の音

翌朝。

夫の帰りを待ちきれない私は、夫が出勤した後朝のうちに一人で試した。そしたら、あった！

おへその左下のあたりにシュワーンシュワーンシュワーンシュワーンという高速で動く機械みたいな音。これは臍の緒を流れる血液の音「臍帯音」。臍の緒はもちろん赤ちゃんのおへそに繋がっているので、赤ちゃんはその辺にいるはずだ。慎重に周辺を探すとトクトクトクトクトクトクという別の音があった。リズムが違う。シュワーンシュワーンよりずっと速い。パトカーのサイレンよりも速い。これだ。ドッドッドッドという激しめの音を想像していたからわかりづらかったけど、シュワーンシュワーンの後に聞いたら間違いようのない心臓の音だった。

生きてる！お腹の中で、私とは別の生き物が生きてる！心臓めっちゃ動いてる！私は猛烈に感動した。夫を差し置いて一人で聞いたことに少し後ろめたくなりつつ、夫にLINEで報告した。その夜、もう一度試して夫にも聞いてもらった。

やっぱり夫は、一度エンジェルサウンズを手にするとなかなか手放さない。でも音が聞こえたら、ヘッドフォンを私に渡してくれる。私のお腹にドップラーをあてて二人で赤ちゃんが生きてることを教えてくれる天使の音を必死に拾おうとしている夫と私。ああこれが幸せの図なのかもしれないなぁ。なんて、お腹丸出しで思うのであった。