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【保存版】ママも赤ちゃんも笑顔で「卒乳」する3つのポイント

「4月から保育園に通う予定だけど、母乳育児を続けたい。どうしたらいいいでしょうか」
「仕事復帰にむけて、母乳は辞めた方がいいの?」
「もうすぐ1歳になるけど、母乳やミルクはいつまであげていいのかな」
「トラブル続きなので母乳をやめたいけど、やめる時も乳腺炎に悩まされるのかと思うと、憂鬱です」

助産院では、4月からの職場復帰にむけて卒乳に関する相談が増えています。

生まれてからずっと、一日10回以上も行ってきた、「授乳」。
それが母乳でも、ミルクでも、混合でも、いろいろな思いが浮かんでくることでしょう。
「授乳を卒業する」ことは、お母さん(養育者)と赤ちゃんの関係性が、ぐっと変化して成長する機会です。
卒園式や卒業式のように、「こんなに大きくなったんだなぁ」と子どもの成長を感じたり、「あんなことがあって、大変だったけど、とっても良い時間だったなぁ」とそれまでの時間に思いをはせる時でもあると思います。

この記事では、お母さん(養育者)も赤ちゃんも納得して、「痛み」や「ツラさ」のトラブルもなく、スムーズに授乳を終える(卒乳)ための3つのポイントをお伝えします。


卒乳・断乳とは

(1)卒乳とは

子どもが自然に母乳を欲しがらなくなり、子ども自らが授乳をやめること
その時期は、子どもの性格やごはんの食べ具合、親の生活環境などによってさまざまです。1歳には卒乳する子もいれば、3歳以降も授乳を続ける子もいます。

(2)断乳とは

母親や子どもの都合により、授乳をやめること。「計画的卒乳」と呼ばれることもあります。いきなり断乳することは、母親にも子どもにも負担が大きく、計画的に準備をする必要があります。

ママも赤ちゃんも笑顔で「卒乳」する3つのポイント

1.卒乳の時期

(1)卒乳前に確認すること

「おっぱいをやめようと思ったけれど、赤ちゃんが泣いて欲しがるので、やっぱり授乳を続けよう」と決心がにぶることもあるかもしれません。
「職場復帰をするので、おっぱいをやめなきゃいけないと思っていたけど、やめなくても大丈夫だった」ということもあります。

実は、一度授乳をやめてしまうと、その後「また、授乳を再開したい」と思っても、難しい場合が多いのです。

授乳をしないで6時間以上経過すると、乳房の中に溜まっている母乳から「もう、おっぱいを作らなくていいですよ~」と指令を出す物質が出てきます。そして2~3日間授乳をしないと、母乳をつくる細胞は機能を停止してしまいます。その後、また授乳しても、母乳をつくる働きは復活しないといわれています。

「卒乳、やめておけばよかった」と後悔しないために、「おっぱいをやめよう」と思ったときには、次の3つについて、確認してみましょう。

①おっぱいをやめることについて、自分(母親)はどう感じていますか。
②なぜ、おっぱいをやめようと思いましたか。
 おっぱいをやめることで、何を期待していますか。
③子どもはおっぱいをほしがっていますか。

もしも、「”1歳すぎたから、もうやめた方がいいんじゃない”と言われたけれど、自分としてはやっぱり授乳をつづけたい」という気持ちがあるのなら、卒乳の時期をずらしてもよいでしょう。
また、「夜にぐっすり眠りたいから、断乳をしたい」というご希望をよく聞きます。しかし、必ずしも「断乳=夜通し眠る」とは限りません。無理な断乳をすることで、かえって夜泣きが始まることもあります。
卒乳をする際は、「卒乳したい」というママの気持ちも大切ですが、それと同じくらい子どもの気持ちも大切です。子どもは授乳に対して、また卒乳に対して、どう感じているでしょうか。まだ言葉での会話は難しいかもしれませんが、子どもの気持ちを確認することも大切です。

(2)卒乳を試してもよいタイミング

卒乳の時期は親子によってそれぞれで、「この時期までに卒乳をしなければならない」という時期はありません。
かつては「1歳すぎたら、母乳は水になる(栄養がなくなる)」と言われたこともあるそうです。産後1年以上たっても、母乳にはしっかりと栄養が含まれていますし、授乳には「栄養摂取」以外にも、心の安定や免疫力を上げるなど、良いことがたくさんあります。WHO(世界保健機関)では、2歳以上まで母乳育児をすることを推奨しています。
子どもが「もう、授乳をしなくてもいい」と思ったり、母親が「もう、授乳はおわりにしたい」と思った時が、卒乳のタイミングです。
「何歳になったから」とか、「誰かに言われたから」とか、「他の子はもう卒乳したから」などと、基準や平均と比べなくてもよいのです。

あえて卒乳の目安があるとしたら、「食事から、必要な栄養や水分がとれるようになってから」が前提になります。1日3食と、2回の補食(おやつ)をしっかりとれることや、哺乳瓶ではなくコップで水分を飲めることが大切です。

(3)卒乳を控えた方がよいタイミング

卒乳を控えた方がよいタイミングは、以下の5つです。

①子どもの体調が優れないとき
②母親の体調が優れないとき
③生活リズムが変化しているとき
④乳房トラブルがあるとき
⑤母親の気持ちに迷いがあるとき

職場復帰や保育所入所のタイミングで、卒乳を考える方も多いです。ですが、その時期は生活がガラッと変化して、子どもにもママにも心身のストレスがかかる時期でもあります。職場復帰と同時に卒乳を試みるのではなく、可能であれば保育所入所よりも前や、職場復帰して落ち着いたころに時期をずらすとよいでしょう。

仕事復帰と断乳については、こちらにまとめていますので、あわせてお読みください。


2.卒乳の方法

(1)計画的卒乳(=断乳)の場合

まずは、「母乳をやめる」日を決めます。その日の数週間前から、徐々に、1日の授乳回数と、1回の授乳量(=授乳にかかる時間)を減らしていきます。
乳房の中に母乳が残っていると、その残った母乳から「母乳が余っているから、新しく作らなくてもいいよ~」と指令が出されます。なので、意図的に乳房の中に母乳を余らせることが必要です。そのうちに、徐々に作られる母乳の量が減っていき、1日の母乳量が少なくなります。

(2)自然卒乳の場合

子どもが自ら母乳を飲まなくなるまで、授乳を続けましょう。子どもが「もういらないよ」と飲まなくなったら、無理に授乳する必要はありません。

3.トラブルを防ぐセルフケアの方法


(1)子どもに対するケア

子どもにとって授乳は、単なる「栄養と水分の補給」でありません。抱っこされたり、ママとやりとりをする中で、安心やうれしさ、あたたかさを得るものでもありまあす。「授乳をやめる」ことは、「安心や安堵感を感じる方法を1つ失う」ことにもなるのです。
卒乳前後はそれまでよりも、「抱っこして~」と甘えてきたり、わがままを言ったり、泣いたりすることが多くなるかもしれません。
子どもが抱っこや甘えを欲してきたときには、できる限りこたえてあげるとよいでしょう。

また、寝かしつけの時に授乳をしていた場合には、「授乳をしながらでないと眠れない」こともあります。その場合にはまず、抱っこやトントンなど、「授乳以外の方法で眠入る」ことに慣れる必要があります。
その際に、ママが抱っこや寝かしつけをすると、おっぱいを求めてずっと泣き続けることもあります。そんな時には、パパやご家族がかわりに寝かしつけをするのも効果的です。

(2)お母さんに対するケア

卒乳は、子どもの成長を感じる喜ばしい出来事です。
同時に、「我が子とのかけがえのない時間」が終わってしまった、という側面もあります。それまでの授乳期間には、幸せや温かさだけではなく、痛かったことや「ちょっとしんどいな」と感じることもあったのではないでしょうか。
卒乳の際は、ぜひ、その時に感じた気持ちを、母子手帳や育児日記などに書き記しておくことをオススメします。「この日に卒乳する」と決めた時に、授乳風景を写真や動画で残すのも記念になります。

断乳(計画的卒乳)の場合は、子どもが授乳を求めて泣き叫ぶこともあります。ママには「こんなに泣かせてしまって、申し訳ない」とか、「かわいそう」という気持ちが出てくることもあります。
ですが卒乳は「子どもから授乳を取り上げること」ではなく、「子どもがまたひとつ、成長すること」なのだと思います。子どもが泣いた時には「授乳がなくても大丈夫なように成長している途中なんだ」と思って、応援する気持ちで対応してみるのはいかがでしょうか。

(3)乳房に対するケア

自然に授乳回数が減っていって卒乳できれば、乳房トラブルはほとんど起きないでしょう。
断乳(計画的卒乳)の場合でも、短期間に授乳回数や量を減らした場合には、母乳がたまりすぎて乳房が張ったり、痛みが出たり、時には乳腺炎になることがあります。
乳房の張りがひどくて痛みがある時には、突っ張った感じが少し軽くなる程度まで搾乳をする必要があります。その際、「張り感がすっかり取れてスッキリするまで」搾ってしまうと、ママの体は「もっと母乳が必要みたいだから、たくさん作ろう」と余計に乳房が張ってしまうので、注意が必要です。

もしも、3~4時間毎など頻繁に授乳しているところから、1~2週間などの短期間で断乳を計画する場合には、助産師に相談しながら行うことをおすすめします。
まずはお近くの助産院に、電話でご相談ください。


幸せに卒乳するために一番大切なこと

これを読んでくださっているママには、「卒乳」に対して、いろいろな気持ちを抱いていると思います。
「もうそろそろ、卒乳したいな」
「せっかくだから、まだ授乳を続けたいな」
「仕事をしながらの授乳は、体力的に厳しそうだな」
どんな気持ちが湧いてきても、それは大事な気持ちです。

子どもも、言葉ではっきりと聞くことは難しいですが、同じくらいいろいろな気持ちを抱いているでしょう。
ママのおっぱいが大好きなこと、授乳はとても安心すること。
卒業してもいい状況だけれど、まだまだ、名残おしいこと。
それもとても大事な気持ちです。

子どもには「成長していこう」とするちからが、元来そなわっています。
その子自身のタイミングで授乳をおえて、食事から栄養や水分をとったり、授乳以外で寝入ったり安心したりする方法を身につけていきます。
親としてできることは、そのちからを信じて、その子と自分にとって丁度よいタイミングで「区切り」をつけてあげることではないでしょうか。

「ママの治療のために薬を内服するから、授乳ができなくなる」「体力的に夜間授乳がとてもツラいので、これを機に卒乳したい」など、ママ側の希望から卒乳の時期を決めることもあるかもしれません。
そんな時にも、子どもにまず相談や説明をして欲しいのです。
「言葉がわからない赤ちゃんだから」と思う必要はありません。
多くのお子さんを見てきたり、ご相談を受けてきた私の印象では、丁寧に言葉かけをしてから卒乳をするのと、そうでないのでは、卒乳への赤ちゃんの受け止め方や、その後の食事に対する向き合い方が変わる気がしています。

ママの気持ちも、子どもの気持ちも、どちらもとても大事なものです。
授乳は、親子の関係性からつむぎだされるものだからです。

卒乳には、双方の気持ち、体、状況を総合的に考えたうえで、どちらの気持ちも大事にできるやり方を見つけていくことが、大切になります。

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