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久しぶりに見かけた。えりあしだけでわかった


1番の青春時代、そばにいてくれた彼を
別れてしばらく経った頃、
駅のホームでたまたま見かけた。

後ろ姿だったのに、歩き方とか襟足の感じだけで
すぐにわかった自分に、笑ってしまった。


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中学から大学入学までの4年間
付き合っていた人がいた。
いわゆる初めてちゃんと付き合った人だった。

部活の後一緒に帰ったり、
卒業の時は記念にボタンをもらったり
学生ながら親に内緒でお泊まりをしたり
色んな初めてがあった。

同じ中学を卒業して、別々の高校に行ったけれど色々ありながらも長く続いていたし、
あの頃のわたしを支えてくれていた大切な人だった。


別れたのは、わたしが大学進学をして
彼が大学に落ちて浪人することになり、
環境が変わったことが1番大きかった。



別れて一年、
彼が他県の大学に受かったタイミングで会う機会があり、一瞬復縁したりもした。
だけど、やはり上手くはいかず
それきり大学4年間会うこともなくすぎて行った。

社会人になり、 
彼が小さな会社を立ち上げたと
友人から聞いていた。
障害のある人たちの、社会復帰の手助けになるような靴磨きの会社だった。


高校生の頃の彼では想像のつかない話で
大学で色んなことを学んで、大人になったんだなと思ったのを覚えている。


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あれは
お盆の暑い日で、


駅のホームまでの階段を降りていた時、
目の前に歩いている人の後ろ姿に見覚えがあった。


ちょっとゴワゴワした髪の毛に、短い襟足、
見覚えのある骨格。

〝あ、お盆だから帰省してたんだな〟
と一瞬でわかった。


つい声をかけてしまって、
そのまま同じ方向の電車に乗って
これまでの色々をぎゅっと圧縮して15分間でお互いに話した。



なんとなく避けていたインスタもフォローしあって、また帰ってきたらご飯でも、と言ってわかれた。



その頃、
彼には結婚をするかもしれない彼女がいて
わたしにも同じ会社に彼氏がいて、

彼には人生を賭けて立ち上げた会社があって
守る社員がいて、
わたしには新卒から入社して続けている会社があって、業績も残していて。


そんな話をたまに会って話したし、
たまにSNSで報告しあった。


彼は今、結婚して、会社も順調のようで
さらに店舗を増やし出展をしている。

SNSで頑張っている姿を見ると
一方的に元気やヤル気をもらっていて
自分も頑張らなくては、と思える。 


たぶん今会っても、
遠くからでも彼を見つけられるし、
後ろ姿でも彼だとわかるだろう。

でも好きとは違う不思議な気持ちだ。とおもう。


同志のような、
ずっと大切な人で
会えなくなってもどこかで元気に頑張っていてほしいな、と思える。


大切な時期を一緒に過ごした
絆のようなものがあるような気がする。


あのとき、
後ろ姿でもわかったよ、とは声をかけなかった。


久しぶりに会ったのに、
離れた後ろ姿でもわかってしまったことが
なんとなく悔しくて。

これだけはずっと秘密にしておくことにします。



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