この夏から管理栄養士として病院で働くことになった。私が働いているのは急性期の総合病院だ。患者さんの数は多く、診療科も多い。疾患の種類は多岐にわたるし、中には難病を患う人も少なくはない。未経験でこの病院に転職できた理由が、今でも全然分からない。自分の仕事のできなさに落ち込むことばかりだけれど、出来ないことは覚えていけばいいし、せっかくこんな所に転職したのだから、とことん嫌になるまでは経験を積ませてもらおうという気持ちで踏ん張っている。

どうして病院に転職しようと思ったんですか？この質問をこの5ヶ月で何回されたかわからない。私はもともと10年近く接客業に就いていたし、接客の仕事は楽しくて、我ながら向いていると思っていた。しかも臨床栄養学は私の苦手科目で、職場では内緒にしているが国家試験前に補習を受けたこともあるくらいだ。普通に考えて病院に転職する理由が分からない。

でもそのきっかけはとても簡単で
「看護師さんみたいになりたくなったから」だ。


私は5年くらい前にIgA腎症と診断され、人生で初めての入院を経験した。はじめての入院。はじめての手術。よくわからない被害者意識みたいなものと、不安があって、でも被害者みたいな顔をして過ごすのは病気に負けてるみたいで嫌だし、でも誰かに優しくされたい。理解してほしい。…みたいな。そんな気持ちで過ごしていた。その入院中、担当の医師や看護師さんに精神的にとても助けられた。いつも明るく声をかけてくれて、優しく気にかけてくれて。でもとてもナチュラルで。優しくされて嬉しい気持ちとともに、私も前向きに治療に向き合わなきゃという気持ちにさせられた。病院で働くのって大変だけど、尊いことだなと思った。生まれ変わったら看護師を目指そうかな……。

…いやまてよ。

私管理栄養士やん。病院で働けるやん！

これが、私が病院で働くことにしたきっかけ。だから私は、管理栄養士として栄養管理をするために働いているというよりも、栄養面を支える中で患者さんが前向きに病気と向き合えるように、誰かの気持ちの支えになりたい。できるかどうかは分からないけど、これが私の今の理想のゴール。

でもまずは、最低限の栄養管理ができるように経験と知識を蓄えていくぞ。

また新しい朝が来る。前向きでいられない日ばかりだけど、なんとか踏ん張っていこう。少しずつ、スモールステップで進んでいきましょう。