――花粉のヤツめ。

　そう、ののしりたくなるような花粉たちのこの勢いったら。私は花粉症には縁がないままこれまで生きてた。いや、そう思い込んで生きてきたのです。でも、それは知らなかっただけのこと。毎年、春先になると鼻がむずむずしていた症状は、少なくとも高校生の時には自覚がありました。
　ただそれが「花粉症である」という知識がなかっただけのことなのです。

　ときはたち、私はみずからの見識を深めたことにより、かなしいかな……花粉症患者の仲間入りを果たしたというわけなのでした。
　

　知識は尊いけれど、時には足を引っぱられることもあるという一例ですね。いやこれは果たして例として正しいだろうか？　――まあいいや。
　そんな私は先日、「家からわりと近い場所にあり、普段からよく利用しているケーキ屋さんのカヌレがおいしい」、という知識を得るわけです。

　知識とは甘美なもの。機会をみて早くその店に行きたいとウズウズしておりました。おかげで仕事も育児も手につかないことはなはだしい（誇張あり）。この渇きを満たすためにはいちはやく行くしかない。カヌレに会いに行くしかない……と足を引っ張られまくり。

　そんな悶々とした日々を過ごすことしばし。
　本日、やっとカヌレを買いに行くことができたのでした。

　お店は幹線道路を曲がって、道なりにうねうねと進んだ道ぞいにあります。パティスリー「ＧＲＡＮＤＩＲ（グランディール）」。この辺では「シェ・シバタ」の方が有名ですが、グランディール推しの私的には、目の上のたんこぶのような存在です。

　カウンターはこんな感じ。

　ケーキとチョコレートに挟まれて、ひっそりおいてあるのがカヌレです。焼き菓子は別の場所に。せっかくなのでもう一枚。インスタ張れるって非常に便利ですね。人のふんどしで相撲を取っているような全能感。

　おいしそうなケーキでしょう。ここのケーキ好きなんですよね。おっと、今日はカヌレの話だった。危ない危ない。

　というわけで、どん！

もひとつ、どん！

　１個２８０円とちょっとお値段は高め。でもよくあるカヌレよりも一回り大きく、縦４センチ程度はあるのでそれも致し方ないかも。色もわりと濃い茶色をしており、硬派な印象です。

　さあ味の方はどうでしょうか。

　外はかなりカリカリ。中はしっとり。当たり前のようで当たり前じゃないこの感じ。カラメル部分が結構厚め。そのおかげでカリカリ感にかなり存在感があって食べでがあります。甘さも結構しっかりしており、さすがにケーキ屋さんのカヌレです。さすがのグランディール。私の推し。

　大変おいしゅうございました。

　――さて。

　いい加減、カルディのカヌレを買ってきたいんですけど、いつ行っても売り切れてるんですよねーあれ。はやく入ってきて欲しいなぁ。

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