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最近のオススメ漫画3本【ロスト・ラッド・ロンドン】【スポットライト】【ブランクスペース】

今年入ってからお財布のひもがゆるいせいか、いい『漫画』との出会いが沢山ありました。こいつらを紹介しないことには死ぬに死ねない、という決死の気持ちで筆をとっております。
……というのはもちろん言い過ぎですが、イキのいい作品なので皆さんにも読んでほしいのは本当の気持ちです。

そんな3作品をどうぞ。


①ロスト・ラッド・ロンドン(シマ・シンヤ)

ロンドン市長が地下鉄で何者かに殺害された。
偶然同じ電車に乗り合わせた、平凡な大学生のアル。
殺人事件の捜査にあたった、ワケあり刑事のエリス。
事件がふたりを引き寄せ、そして数奇な運命が廻り始めるーー。


この表紙のしり込みしそうなほどのスタイリッシュさ。
ここに臆さずに手を出してほしいところ。

表紙の印象のとおり、中身もやはり通常の漫画とはすこし違います。私の知っている範囲で言えば、オノナツメさんに近い感じでしょう。
舞台がイギリスという異国の地であり、キャラクターの造形も日本人ではないこともあってか、「サスペンス映画を見ている」という気分になります。技術のことはわかりませんが、カメラの置き方やカット割りなどもおそらく映画的なのでしょう。このまま映画になってもまったく驚きません。

・キャラクターがしっかりしていること。
・動機がしっかりしていること。

この二つを兼ねそろえたストーリーはすべからく面白いです。それを伝えるための技術もあるに越したことはありませんが、それは二番手要素であると思っています。
今作では、序盤からきちんと『自己の潔白を証明する』という動機が作られます。そして動機に基づいて行動するうちに、主人公および刑事さんの抱える様々な過去が少しづつ垣間見えていく。そうやって物語が重層的に広がっていく。

まるでシナリオのお手本のようですが、お手本どおりなんて狙ってできるものではありません。この作品がいかに優れているかという証拠と言ってもいいでしょう。

今のところ既刊は1、2巻。おそらくそれほど長く続くこともないと思うので、乗るなら今がオススメです。特に洋画のサスペンスが好きな人は一読の価値ありです。


②スポットライト(三浦風)

直前のアフタヌーンの四季賞で賞をとって、これでデビューとは思えない達者っぷりです。

卑屈でネガティブ、いわゆる“陰キャ”の大学生・斎藤恭平は、同じクラスの小川あやめに恋をした。彼女を遠くから眺めるだけの日々も一年が過ぎるころ、容姿端麗、ノリも抜群、絵に描いたような“一軍”男子・藤岡圭介から、クラスの花見の写真係を頼まれる。花見にはあやめも参加することを知った齋藤は、写真係を引き受けた。しかし、花見の本当の目的は…圭介があやめに告白することだった。青春の煌めきと痛みに揺れる大学生群像劇。

きれいな線で描かれる大学物で、雰囲気としてはまず私は今をときめく「ブルーピリオド」を思い出しました。ことあるごとに自分をのぞき込んで自省する、そんな様子にも近しい部分を感じます。

恋愛における辛さに、自省系の気持ち悪さを足して、怪しげなキャラを周りに配置したら出来上がった非常に内容の濃いなにか。そのくせ絵はすっきりしている。という清濁をあわせ持つ意味の分からない(誉め言葉)漫画です。

もう一つ思い出したのは、古い漫画ですが木尾さんの「四年生」でした。決してそのまま自分に当てはまるというわけではないけれど、主人公に向けられたその言葉のひとつひとつが読み手に向かって牙をむく。黒ひげもビックリなくらい刃を向けて置いて、まだまだついて来いとぐいぐいと読む手を引っぱる。

カワイイ顔して、中身はエグイ。

そんな稀有な漫画です。


③ブランクスペース(熊倉献)

前作の「春と盆暗」もいい作品でした。ちょっとだけ浮世離れした感じ。ああいうの好きなんです。

ある雨の日、女子高生の狛江ショーコは、同級生の片桐スイが不思議な力を持っていることを知る。
ふたりの出逢いをきっかけに、やがてひとつの街を巻き込んだ『空白』をめぐる物語が動き出す―――。

今作では、思い描いたものを具現化できる、そんな「少し不思議」な力がキーになってきます。同級生スイはそんな力を持ち、最初は他愛もないものを作りだしたりしていました。しかし次第にスイは心の平静を崩していき……

と、まあ不穏な話なのですが、この「不穏の忍び寄り方」がとてもリアルなんです。正面から急に来るわけではなく、じわじわとにじりよってくる。
それも困っているのは自分ではなく友達、というところもまたいいのです。お化けが出てくるわけではないけれどものすごく怖い。そういうホラーらしくないホラーって一番怖いですよね。世の中人間ほど怖いものはありませんから。

多分「異物」に対する扱いが上手いんだと思います。

冒頭でも前作についてちょっと触れましたが、前作の「春と盆暗」はもっと変な話でして。なんというかより、空想的といいましょうか。日常なんだけれど、日常じゃない。なんなら少し不条理と言ってもいい。そんな「異物」がまぎれ込んだ世界を、普通に描くのが上手いんですよね。

そういうものが大好物の私的には、前作もそして今作もとても楽しい作品でした。今作はまだ続いていますし、どうなるのか先が気になって夜も眠れません(誇張表現あり

前作はこちら。



◆まとめ

なんかホントいい漫画との出会い多いんですよ。
細かい解説は致しませんが、この辺が結構好きでした。


小説と違って漫画は積まなくてもいいので、どしどし読めて精神衛生上いいですホント。だから10年くらいは小説ほとんど読んでいなかったですからね。だから皆さんも私と一緒に浴びるように漫画を読みましょう。

で、困ったらこの3作品をぜひどうぞ。私基準には過ぎませんが、かなり好きな3作品です。1つだけ選べと言われたら「ロスト・ラッド・ロンドン」です。



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