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#25 我々とアスリート、ミトコンドリアはどう違う?

有酸素的にエネルギーを作り出してくれるミトコンドリアは持久系アスリートにとって大切な武器。

今回の論文では私たち一般人とアスリートで筋線維のミトコンドリアがどう違っているのかを検証しています。

アスリートのミトコンドリアはやはりアスリートだった。

そして私たちのミトコンドリアも、トレーニングでアスリートにできる。

そんな内容になっています。

是非、読み進めてみてくださいね。



ミトコンドリア

ミトコンドリアは体のほとんど全ての細胞が持っているエネルギー生産工場です。英語ではよく「パワーハウス」という表現が使われています。

ロードバイクなどの持久系の運動をする際には筋肉をたくさん働かせるので、筋線維にもたくさんのミトコンドリアがあります。

少し前の記事でもミトコンドリアをご紹介させてもらいました。より詳しく解説していますので、そちらもご参照ください。

このミトコンドリア、数が増えたり、大きくなったり、そしてエネルギーを作る効率が良くなったりと、トレーニングをすることで強くすることができます。

このようにトレーニングによって強くなるミトコンドリア。アスリートの最大酸素摂取量がものすごく高いのは、ミトコンドリアが強くなったことも要因の一つです。

アスリートは強靭なメンタルはもちろんのこと、体中のパワータンクことミトコンドリアの強さにもその秘訣がある。

であれば私たちのミトコンドリアとアスリートのミトコンドリア、一体どれくらい違っているの?を今回の論文は検証をしてくれています。


4つのグループに分けて比較

検証は4つのグループ、それぞれ6名の計24名のデータが比較されました。

Active:週に1-5hトレーニング、VO2maxは47-56、FTPは平均3.2w/kg

Well Trained:週に6-14hトレーニング、VO2maxは59-69、FTPは平均3.9w/kg

Hihg Trained:週に10-15hトレーニング、VO2maxは70-73、FTPは平均4.4w/kg

Elite Athlete:週に12-20hトレーニング、VO2maxは74-80、FTPは平均4.7w/kg

参加者の年齢は20代後半から40代前半ですので、Activeグループも一般的な平均からすると素晴らしいと言えます。

彼らの外側広筋(大腿四頭筋の一つ)の筋線維を採取して、ミトコンドリアを解析。今回の記事では多くの結果のうちの3つ(ミトコンドリアの数、ミトコンドリアの有酸素能力、そして脂肪代謝能力)に絞ってご紹介します。


ミトコンドリアもアスリートだった

検証の結果、私たち一般人をActiveグループとすれば、Elite Athleteグループとの違いは以下の通りでした。

  • ミトコンドリアの量:一般人の1.8倍

  • ミトコンドリアの有酸素能力:一般人の1.8倍

  • ミトコンドリアの脂肪代謝能力(有酸素能力の一部):一般人の2.6倍

さすがアスリートはミトコンドリアまでもアスリートな結果ですね。

四つのグループの違いも下の表に載せておきます。


おわりに

60-75%FTP強度(ゾーン2)のトレーニングは有酸素能力の向上を目的として行われますが、この有酸素能力に大きく関与しているミトコンドリアについて掘り下げた論文をご紹介してみました。

以前の記事でVO2maxは遺伝が50%、お母さま由来のミトコンドリアが大きく影響していることをご紹介させてもらいました。

ですので遺伝的なことを無視することはできませんが、私は今回の論文を読むことでよりトレーニングのモチベーションが上がりました。

なぜかと言うと、トレーニング時間に比例してVO2maxとミトコンドリアが強くなっていることが伺えたからです。

遺伝ももちろん影響するけれど、この論文の4つのグループの比較からはトレーニング状況が多いにパフォーマンスに関わっているのだなということが分かります。

アスリートは日々の鍛錬でミトコンドリアをもアスリートにしている。と言えそうですね。

たまにあるトレーニング倦怠期、そんな時には「よし、ミトコンドリア育ててやるか」と頑張ってみてください!

そして何より、脂肪代謝の機能まで高まることはダイエットにも効果的!トレーニングするほどに脂肪の代謝が加速するとなれば、減量へのモチベーションにもなりますね。


今回も最後までお読みくださりありがとうございました。

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また読みにきてください。


ご紹介した論文

Jacobs, R. A., & Lundby, C. (2013). Mitochondria express enhanced quality as well as quantity in association with aerobic fitness across recreationally active individuals up to elite athletes. Journal of Applied Physiology, 114(3), 344–350. https://doi.org/10.1152/japplphysiol.01081.2012

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