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トレーニングのピリオダイゼーション(期分け)について理解する

トレーニングを進める上で役に立つ概念、ピリオダイゼーション。

仕事や勉強、なんでもそうだと思いますが、ある期間にどのようなことを目的にして時間を使うのかが明確になっていると、その成果や振り返りができて、次の期間につながりますよね。

同じようにトレーニングも期分けしてトレーニングを進めることで、より明確な目的をもって進めることができます。

今回はトレーニングを期分けするための、ピリオダイゼーションという概念について紹介された海外記事をご紹介します。

今回もTrainerRoadのHurleyさんの記事をご紹介します。

この方の記事は過去にもご紹介させてもらっていますが、アウトラインを簡潔に説明されていて大変分かりやすいです。

意訳、要約を行っていることを予めお伝えしておきますね。

それでは、ご紹介していきましょう。




ご紹介する記事


計画が練られた漸進的で体系的なトレーニングは効果的なものです。より速くなるためには体に目的とする刺激を与え、それに適応する必要があります。トレーニングのピリオダイゼーションはシーズンを異なったフェーズで区切り、トレーニングを最適化することが目的です。

キーポイント

  • ピリオダイゼーションはトレーニングのストレスをマネジメントし、鍵となる適応を促します

  • トレーニングは期間が設定され、漸進的に強度が高まるべきです

  • ベース期、ビルド期、そして専門期の各フェーズはあなたにとって必要な一般的な体力と特異的な体力の両方を高めるためにデザインされます


トレーニングをより効果的なものに

トレーニングをより効果的なものにするためには、端的にはトレーニング刺激を体にもたらし、それに適応することが肝心です。

一定の状態に保たれているホメオスタシスに刺激を与え、新たなホメオスタシスを獲得することであなたの能力を高めることができます。

ホメオスタシスに刺激を与えらえるのは、トレーニングがあなたの体にとってチャレンジングなものであるときです。

たとえば高強度のインターバルトレーニングによって体は刺激を受け取り、適応が進みます。

もちろん中程度の強度であってもトレーニング適応は起こります。

あなたの体が新しい刺激に対応できるようになることで、より高い身体的な適応状態が獲得できるのです。

そして適応状態が高まるほど、より高い刺激でないと体は反応しなくなります。

このことはずっと同じ強度のトレーニングでは効果がなくなることを意味し、言い換えれば身体能力を高めるには継続してチャレンジングなトレーニングを行う必要があります。

漸進的に過負荷を与えることがトレーニングの原則です

とは言うものの、常に過負荷を体に課すことは不可能です。

漸進的なトレーニングと並行してリカバリー期間を設けることで体の適応が起こります。

トレーニングを継続しているのにパフォーマンスが落ちてきたなと感じたとき、それは休息が必要なサインかもしれません。

休息とリカバリーはトレーニングにとって必要な要素です。


刺激-回復-適応のサイクル

トレーニングの基本は繰り返される刺激-回復-適応を繰り返すことです。

このサイクルを年間、月間、そして週間ごとにマネジメントすることがピリオダイゼーションの目的です。

体系化されたトレーニング計画は、生理学的な変化を促す十分な休息を提供しながら、負荷が過度になりすぎない適切なストレスを与え続けることを目的としています。

トレーニング計画は一般的な体力の土台を築き、目的とする専門的な体力を養うべきです。

一連のトレーニング計画を遂行することによって、良きタイミングでピークを迎えることができるでしょう。


ピークフィットネス

ピリオダイゼーションがストレスや回復、適応のサイクルをマネジメントすることが目的であるなら、そのゴールは目的の大会にフィットネスをピークをもっていくことにあるでしょう。

ピークフィットネスは漸進的で特異的な刺激の蓄積によってもたらされるものです。

ある特定の期日にあるピークを達成するためには、今までに蓄積してきたトレーニングストレスからの適応を最大限にする方策が必要です。

ピークフィットネスは直前にトレーニング刺激を減らして体のフレッシュネスを高めるテーパリング(トレーニングを間引くこと)によってもたらされます。

テーパリングの目的はパフォーマンスを調整するために生理学的、心理学的なストレスを最小限に抑えることです。

フィットネスのピークをずっと高く保つことは不可能で、ピークは長くても数週間維持できるにすぎません。



トレーニングサイクル

ピリオダイゼーションのトレーニングでは、3つのサイクル-マクロ、メゾ、ミクロサイクル-があります。それぞれがより小さな単位の集合体となっています。このことについて説明をしていきましょう。

◆マクロサイクル

マクロサイクルは1シーズン全体といった大きな期間についての概念です。

よって1シーズンのトレーニング開始からゴールとなるイベントまでの期間を指し、その長さは様々ですが、例えば28週間のマクロサイクルなどです。

マクロサイクルを通じてトレーニングストレスを高め、回復させることによって持久的な適応を促します。

ベース期、ビルド期、専門期

マクロサイクルは、単にトレーニングストレスを高めることだけを意味しません。

マクロサイクルはベース期やより専門的なトレーニング期といった異なるフェーズを含みます。

各フェーズ(期)は目的とするレースや大会でピークフィットネスがもたらされるように特定の能力セットの向上を目指すものです。

マクロサイクルはベース期、ビルド期、専門期といった分類がなされます。

紹介記事内より引用


◆メゾサイクル

メゾサイクルはマクロサイクルを4-6週間ごとに分割したもので、ブロックと呼ばれます。

典型的な4週間のブロックでは始めの3週間で体に過負荷をかけ、4週間目にリカバリーを行います。

メゾサイクル内では週が変わるごとにTSS(トレーニングストレススコア)などによって管理されるトレーニング負荷を徐々に高めていきます。

紹介記事内より引用

メゾサイクルに沿った負荷設定の注意点

メゾサイクルはそのブロックが進むごとにトレーニングストレス(TSS)を必ずしも増加させる必要はありません。

実際、そのような計画は体の回復-適応のキャパシティーを超える可能性があります。

この点については、フェーズについてご紹介する際に説明していきましょう。


◆ミクロサイクル

ミクロサイクルはマクロ、メゾ、ミクロサイクルの中で最も小さいサイクル単位で、一週間のトレーニングプランなどを指します。

トレーニングは日ごとに変化や強弱をつけるものですが、ミクロサイクルは一週間のトレーニングのリズムを調整するための概念です。

例えばスイートスポットベース期(TrainerRoad内の名称)では、各ミクロサイクル内で火曜、木曜、日曜日にスイートスポットトレーニングを行って、水曜日にエンデュランス、土曜日に乳酸閾値(LT)、そして月曜日と金曜日はレストといったようにミクロサイクルは似たようなテンポで実施します。

このような週の構造をミクロサイクルと呼びます。



トレーニングフェーズ(期)

目的を明確化する"フェーズ"

全てのメゾサイクルはベース期、ビルド期、専門期といった各フェーズの目的に関連付けられるように構成されます。

そしてこの3つのフェーズが1つのマクロサイクルとなります。

これら3つのフェーズは、あなたが目的とするイベントに向けて一般的体力、それに専門的体力のより高い適応を目指すものです。

マクロサイクル(1シーズン)の内で、あるフェーズから次のフェーズにトレーニングが移行するとき、トレーニングの内容はかなり異なるものになります。

そのため、各週に蓄積されるTSS(トレーニングストレススコア)などで測られるトレーニング負荷は増えたり減ったりを繰り返します。

たとえば130TSSのトレーニング負荷は65-75%FTP強度2.75時間分に相当しますが、同じ130TSSである150%FTP強度での15秒インターバルを30分内で繰り返し行うワークアウトとは明らかに目的が異なり、体へのストレスも異なります。


◆ベース期(Base Phase)

早く、強いサイクリストを目指すには、まずは基礎作りが大切です。

筋のストレングス、そして基礎持久力の土台をまず始めに築かなければ、より高い競技特異的な能力を得られることはありません。

そのためまず始めのステップであるベース期に基礎を築くことから始めます。

ベース期の組み立て方には2通りの方法があります。

まず1つ目は低強度で長時間行うパターンで、この方法では週に10-20時間のトレーニング時間が必要となります。(ロングスローディスタンス、以下の記事も参考にしてください)

2つ目の方法はより時間的な効率を重視したスイートスポットトレーニングで、より強度の高いワークアウトで構成されます。

スイートスポットトレーニングの方法では、週に5時間ほどのトレーニングによって適応を目指します。

私たち(TrainerRoad)ではほとんどのサイクリストへベース期にはスイートスポットトレーニングを勧めています。(以下、この方法をスイートスポットベース期と呼びます)

スイートスポットベース期は2つのメゾサイクルのブロックで構成されます。

各ブロックは6週間で構成され、筋持久力とFTPの向上に焦点を当てています。

これによってより高いピークを達成するために必要な土台を築きます。


◆ビルド期(Build Phase)

2つ目のフェーズはビルド期で、各ワークアウトは目的のレースや大会に向けた内容になります。

最も強調することはベース期と比較すると週ごとのトレーニング負荷が漸増され、よりレースや大会に即した内容になっていきます。

ビルド期は基礎体力を維持しながらも、特定の体力向上を意図しています。

もし目的とするイベントなどがない場合は、このフェーズをFTPの更なる向上という目的で組み立てることもできます。

ビルド期は最も重要なレースに向けた適応を目指すだけではなく、それよりも優先度の低いイベントについても考慮されたものです。

ビルド期はレースで必要なパワー帯(発揮時間、絶対値)を高めることに焦点を当てています。

特に短時間パワーやハイパワーの維持、またその両方について能力を高めることを目指します。


◆専門期(Specialty Phase)

専門期には全体的にトレーニング負荷(強度と時間のかけ合わせ)を下げ、レースに向けてコンディションを整えます。

それと同時にトレーニング内容はより大会に必要な能力に的を絞った構成になります。

専門期はトレーニング強度が強調され、トレーニング量は徐々に減らしていきます。

このような構成によってレースや大会に向けての準備を進めると同時に疲労の除去を促します。

専門期には体をトップフォームに導くためにテーパリングが行われます。

専門期は2つの4週間のメゾサイクルで構成され、このフェーズではクリテリウム、シクロクロス、グランフォンドなどに向けて、あなたのフィットネスの最終仕上げを行います。


これらフェーズやサイクルによって構成、計画された28週間ほどのトレーニングによって、レースや大会に向けてより効果的なトレーニングを行うことができるでしょう。



おわりに

ピリオダイゼーションで用いられるサイクルやフェーズという概念について、簡潔に説明してくれている海外記事をご紹介しました。

ピリオダイゼーションという言葉自体は様々な場面で使われており、線形ピリオダイゼーションやブロックピリオダイゼーションなど、色んな種類や呼び名があったり、今回紹介されているサイクルやフェーズの概念も異なることがあります。

そのため今回紹介されていた意味合いがどこでも通用する訳ではありませんが、考え方の基本として分かりやすく整理されていましたので、今回取りあげさせてもらいました。

またピリオダイゼーションの考え方のようにベース期から始まって、徐々に競技に向けて専門化させることでピークが作れるという考え方には否定的な意見もあります。

それについては記事を変えて、またご紹介できればと考えています。

今回も最後までお読みくださりありがとうございました。


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