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アラフィフ再婚の親戚付き合い

私は子どもができないまま離婚し、40後半で再婚した。夫も再婚だ。
二人の両親とも高齢で、年相応のことはあるものの、今のところは幸い、要介護もなく元気だ。

若い頃に付き合った元・義実家と違い、夫も私もアラフィフで、もう「結婚は!?」「子どもは!?」のヤマは超えた。
親の側も、子の側も、お互いなんだか楽である。

それでも、正月などで団らんするとき、ちょーっとだけしんどくなる時がある。
親戚の誰さんがどうした、近所の何さんがどうした、という、こっちが全く分からない話を延々される、それはもう「遅れてきた者のハンデ」、割り切って笑顔で聞く。
(夫は「聞いてくれればいい」と言うけど、いちいち割って入って「えーっと、●さんは〇さんの叔父さんてことですか?へー、で?△さんとはどういう?」とかも、互いにしんどいだろう)

夫の親戚はとても多い。いまだ全体像が把握できない。
私は人に興味があるので、誰がどこでどんな人生を送っている、という話は好きだ。

だけど、私も本気で全体像を把握しようと思っていない上、義両親も夫も、きっと私に知ってもらおうと思っていない。
どっちでもいいって感じ。
少しだけ、心が削られる。

義両親も、ぽつねんとしている私に気付いていて、時々話を振ってくれる。
その、気遣われ方もちょっとしんどい。
「ご両親はお元気か」「小説の応募は続けているのか」
この二つでだいたい終わる。
もちろん私も大人だし、受け身では申し訳ないので、最近の自分――主に仕事――ていうか仕事――の話をするのだが、あまり膨らまずに終わる。

お義母さんは、私を「夫を支える妻」という存在として接する。
「●(夫の名)は朝ごはんを食べないから、メニュー考えるのが大変でしょう」とか言われる。
(実際は夫のが朝早く、用意しないのだが)

仕事の話ぐらいしかない、自分のふがいなさを差し置いて。
そして主語が大きいことを自覚しつつ、前の義実家と今の義実家、二つ(義母、義理の姉妹もみな専業主婦)を経験して思うこと。
働く女の話はあんまり、皆さん、興味ない。

うちの両親は、夫と四人で会うと、夫に向かって話をする。
仕事、旅行、子ども、スポーツの話題、何でも弾む。
ちゃんと夫がグループに入ってる感がある(前もそうだった)。
この違いは何だろうと思う。

こんなときに思う。私に子どもがいたら、向こうもこっちも、ホッとしてたんだろうなと。
もちろん、人は話のネタのために子どもを生むわけではない、けど、仕事でも、この人子どもがいるんだと分かったときのホッとする感じ――「子どもがいて、今は●歳で今は大学生です」の一言で、相手の表情がパッと明るくなる感じ――共通言語を見つけてホッとする感じは、何度も経験した。

「結婚していない」「子どもはいない」「ずっと働いている」などなど、自分の周囲とは規格外の女に接した時の、どう扱っていいか分からない、持て余す感じ。なんだか、勝手にこっちが申し訳なくなる感じ。

──なんで申し訳ないんだろう?

元・義実家のまた義理の親戚の中年女性(つまり、全くの他人)に、「あ、(子どもがいないから)まだ分かんないか」と言われたことがある。

「子育てに勝る幸せはない」とか。「親になってみて初めて分かった」とか。うん、きっとあるんだろう。だけど、私は誰にも迷惑をかけず働き、月々もう一部屋借りられるぐらいの税金を収め、新聞を読んで少子化問題を憂え、そこそこ幸せに生きているつもりだ。「子どもがいない」一点で、いつまで私は人として未熟者扱いなんだろう?

このモヤモヤは、夫に何度話しても分かってもらえない。
「親ん家行くのがしんどいってことなの?」
というまとめ方をされる。そうじゃない、でもじゃあどうなのかっていうところが私も説明できず、口をつぐみ、こうやって言語化して終わらない文章を書いている。
義実家に行く日に私も夫もなんとなくカリカリし、帰りに喧嘩になるのがお決まりになっている。

義両親とも本当にいい人たちで、ご高齢でもあり、会う日は親と息子の交流が目的であり、私は脇役でOK、と頭では分かっていても、夫が照れのせいか、親の前では別人のようにシラッとなり、会話をつないでくれようとしないことを責めてしまう。

責めながら、心の奥ではきっと分かっている。
男と女の問題、子どもいるいないの問題にしてるけど、結局は自分の社交性のなさなんじゃないの?
それに苛ついてるんじゃないの?
「まだ子どもいないから分かんないか」と言われたのは昔の話であって今の家族には関係ないのに、勝手に主語を大きくして被害者ぶってるんじゃないの?

その通りかな。でも、やっぱり、それだけではないとも思ったり。

書いていて少し見えてきたけど、夫にぶつけるのは違うな。
夫は、義実家に行って喧嘩した次の日は少し、優しくなる。
こないだは健康ランドで一緒にランチしたとき、自分の中華丼のうずらをくれた(中華丼のうずらだよ!)。

「夫婦なら何でも話し合って解決して…」と口では言えるけど、人間そんな単純じゃない。夫もいろいろ、アラフィフから転入生で自分の家族に入ってきた私に気を遣っていないわけはない。

アラフィフから始まる親戚づきあいならではの、ちょっとしたハレーションと捉えよう。焦らずに行こう。

再来月は、お義父さんの米寿のお祝い。控えつつ、私も楽しくお祝いしたいな。

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