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一日一ノルウェー:1日目


2019年8月15日から9月29日の期間、奨学金を得て、ノルウェーとドイツを周る旅に出た。
これは毎日1日ずつ渡航中のことを思い出して書き連ねる、記憶の旅行記である。続けて全日程を書きたいので、30分で書ける量と質で軽快に。


2019年8月15日

 成田空港から発つ。
 前回のノルウェー渡航では、冬服が嵩張ったのでどでかいスーツケースで行った。そうしたら民泊のホストに出会うや否や「Are you kidding me?」と呆れられた。トラウマ的失敗を踏まえて、今回はバックパックと小型のスーツケース、機内持ち込みギリギリサイズのサブバッグで挑む。

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 母、妹、おばあちゃん、恋人、NHKの人が見送りに来てくれた。とても嬉しいけど、ただでさえ情報過多の空港で、すごい情報量だった。カメラに向かって意気込みを語ったり、おばあちゃんに恋人を紹介したりしたのだけど、なんだか自分じゃない自分が喋っているみたいだった。コーヒーを買ってきてくれた母に、恋人はカフェインがダメなんだと伝えたりもした。(私も控えている。)そういえば帰国の迎えの時は、ちゃんとカフェインの入っていない、タピオカほうじ茶ミルクティーを買っておいてくれていたから、さすが母、気が利きますね。


 カメラとPCが重い。手荷物の重量が超過していたので律儀に詰め替え、預け直そうしたけれど、別にそこまで厳密ではないらしく、CAさん二人、顔を見合わせて(別にいいよね)と示しあった。カメラとPCが厄介。バックパックから取り出して検査にかける。終わってから詰め直すのに、時間とスペースの余裕がないので集中して手早く。お見送りのみんなの方を見る余裕がなかったことを恋人に指摘された。ちゃんとエスカレーターで出国カウンターへ降りる時に手を振ったのだから、別にいいではないの。搭乗口前で一人になった時、少しほっとした。

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 タイ航空を使ってバンコクで乗り継ぐ。シートグルーというサイトでいい座席を調べて指定したので、2階の、幅広で脇に収納スペースのある席に座れた。しかも隣に人が座らなかった。機内食に蕎麦が出た。6時間くらいのフライトだったけれど着く直前にも軽食が出た。出されるがままに食べ消灯されるがままに寝る飛行中の私たちを、徹底管理をされている屋内栽培の葉物野菜に見立てて描いた落書きを、昔描いたことを思い出した。

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 正直まだノルウェーに行く実感は湧かない。ただものすごく胃につかえる物があって、ちょっと呼吸が苦しいし、それが到着後も1週間は続いた。でも窓から見える広すぎる空と意味を持たない形の雲たちを眺めていたら、なんでか安心して、泣いてしまった。

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お読みいただきありがとうございます。今日も生きます。