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鹿狩りフラミニヤ―創作

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自然発生的に生まれた掌編や散文詩ともつかない「創作」寄りのもの、およびお題をきめて書いた習作をこのマガジンで販売しています。不定期的に更新され、原稿用紙で二百枚程度になったらひと… もっと読む
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#連載小説

プラネッツ 一、アダムとエヴァ

プラネッツ 一、アダムとエヴァ

   一、アダムとエヴァ

 ストーキング行為も今回で半年めへと突入した。
 大丈夫。
 マーヤが過去に姦淫の罪を犯したか如何は分からない。だが己(お)れのなかで彼女の処女性は円環を象る。恋愛などどうせ皆作り話みたいなものさ、異國人(エトランジェ)。
 東京都庁最上階付近の展望ロビーに至ると、文庫本(マーヤが描いた藁かごに眠る仔猫のイラストが表紙)をポケットにしまって、己れは望遠鏡にいざり寄る。原

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ルイーズと森の道(仮題)―前

ルイーズと森の道(仮題)―前

※無料

 世の中には幽霊を信じる者と信じない者とがある。ルイーズはその立場の上で、截然と前者の態度をとっていたが、それは単純な幽霊とは性質を異にしていた。もしも万が一、それについて踏み込んで話を聞くわけしりがいたものならば、彼はルイーズの身の周りに起こっていることについて卒然と感得させられ、理解を促させられていたはずだった。ルイーズの幽霊はルイーズ自身と切って離せなかった。そのルイーズの幽霊は人

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