【本16】ブルー・オーシャン戦略

硬い名前の本ですね。

ブルー・オーシャン戦略とは、競合がいない市場でビジネスをする戦略のこと。

戦略をどうやって考えていくか。
なかなか面白かったです。
経営だけじゃなくて、自分が所属している部署に置き換えて考えてみたり、色々と考えたくなりますよ!♪

☆本の内容☆
ビジネスで本質的に求められるのは、バリュー・イノベーション。
『顧客の価値づくり』

○ブルー・オーシャン戦略の基本フレームワーク
価値曲線(バリュー・カーブ)を使った「メリハリのある戦略キャンバス」を描くことが柱となる。
既存事業で一般に重視すれる価値要素の「何かを取り除く、減らす」「何かを付け加える、増やす」ことが最大のポイント。
もう一つが「市場の境界を引き直す」アプローチ。
ブルー・オーシャンで重視されるのは、既存顧客ではなく、その周辺にある潜在顧客市場を切り開くこと。

○他の戦略論との主な違い
①競争を戦略思考の中心に据えるべきではない。
戦略を立案する際に、顧客ではなく競争に重点を置くと、買い手にもたらす価値をいかに飛躍的に高めるかではなく、ライバル企業と自社を比較して相手の戦略的動きにどう対応するかに時間と注意を振り向けてしまう。
②業界構造は一定ではなく、変えられる。
市場の境界や業界構造は一定ではなく、企業の行動や信念によって変えられる。
③創造的な戦略を考察する能力は、計画的に引き出すことが出来る。
④戦略策定には実行手順を組み込める。
⑤戦略を編み出す手順は作れる。

変えやすい会社に体質を変えること。
長続きさせるための「人」の教育、目的の共有が必要。
人財を育てるための仕組み。(きちんとお客さんに対応できるような)

○戦略キャンバス
既存の市場空間について現状を把握すること。
競合他社が何に投資しているか、各社が製品、サービス、配送などの何を売りにしているか、さらには顧客はどのようなメリットを享受しているのか、などが理解できる。

業界の戦略キャンバスを大胆に塗り替えるためには、手始めとして、競合他社から代替産業へ、顧客から顧客以外へと視点を移すことが求められる。
価値を高めながら同時に低コストも追求するためには、既存のフィールドで競合他社と自社を比較して、差別化と低コストのどちらか一つを選ぶという、古びたロジックを捨てなくてはならない。

業界にとっての重要課題が何であるか、を見極める。
ひいては、業界の枠組みにとらわれずに買い手にとっての価値を組み立て直す方法が見えてくる。

○4つのアクション
Q1、業界常識として製品やサービスに備わっている要素のうち、取り除くべきものは何か。
Q2、業界標準と比べて、思い切り減らすべき要素は何か。
Q3、業界標準と比べて、大胆に増やすべき要素は何か。
Q4、業界でこれまで提供されていない、今後付け加えるべき要素は何か。

○アクションマトリクス
4つのアクションを漏らさず実現して、新たな価値曲線を描くことができる。

○優れた戦略に共通する3つの特徴
①メリハリ  ⇨  戦略プロフィールや価値曲線に鮮明に表れる。
②高い独自性  ⇨  価値曲線が独自の形状を示す。
③訴求力のあるキャッチフレーズ  ⇨  単に明快なメッセージを伝えるだけでなく、サービスの中身を正しく説明したものでなくてはならない。

○価値曲線を深読みする。
戦略キャンバスをうまく活用すると、先行きを見通すことが出来る。
価値曲線はその事業に、追求すべき大きな価値があるかどうかを教えてくれる。
価値曲線から独自性が見てとれないなら、他社の後追いをしているにすぎない。
内向きの戦略にとらわれているか、典型的な「イノベーションのためのイノベーション」である可能性が高い。

○市場の境界を引き直す
6種類のアプローチがある。6つのパス。
①代替産業に学ぶ。
売り手の立場になると、買い手が代替産業をどう比べて判断を下しているかを考えない。
だが、代替産業同士の狭間には、往々にしてバリューイノベーションの機会がある。
顧客がなぜ代替産業を選ぶのか、その理由はなにか、を考える。
代替産業との比較、選択をする際に、なにを判断のポイントにしているのか。

②業界内のほかの戦略グループから学ぶ。
③別の買い手グループに目を向ける。

一口に買い手といっても実に幅が広い。製品やサービスの代金を負担する「購買者」は、実際の「利用者」とは異なる可能性があり、場合によっては購買の意思決定を大きく左右する「影響者」の関与もある。
業界のこれまでの常識を疑い、どの買い手グループに目を向けるべきかを問い直すと、未知のブルーオーシャンにたどり着ける可能性がある。

④補完財や補完サービスを見渡す
往々にして、補完財や補完サービスには潜在的な価値が秘められている。
製品ないし、サービスの利用前、利用時、そして利用後のシチュエーションを想像してみることで、買い手がどのようなトータルソリューションを求めているかを見極める。

⑤機能志向と感性志向を切り替える。
感性思志向の業界は、機能向上には繋がらないが、価格上昇をもたらす、いわば余計な要素を多く盛り込む傾向がある。こうした要素を削ぎ落とせば、シンプルな、コストも価格も低いビジネスモデルを生み出し、顧客に喜ばれる。

⑥将来を見通す。
ブルーオーシャン戦略を築く際に参考になるトレンドは①事業に決定的な意味合いをもたらす、②後戻りしない、③はっきりとした軌跡を描く、という3条件を満たす。

○森を見る
戦略キャンバスを作成すると3つの効用がある。
①業界の戦略プロフィールが一目瞭然。業界各社の競争に影響を及ぼす要素、さらに場合によっては将来重要になりそうな要素が鮮やかに描き出される。
②競合他社(潜在的な競争相手も含む)の戦略プロフィール、つまり他社が何に力を入れているかが分かる。
③自社の戦略プロフィールあるいは価値曲線を通して、現在何に力点を置いているか、将来は何に力点を移すべきかが明らかになる。

○戦略キャンバスを描く
ステップ1:目を覚ます

よくある失敗は、競争の現状について見解の違いを解消しないまま「いかに変えるべきか」という議論を始めるというもの。
自社の価値曲線を描くと、変わらなくてはいけない、という意識が芽生える。
ステップ2:自分の目で現実を知る
自社の製品やサービスがどのように使われているか、いないかを直に確かめる。ブルーオーシャン戦略へとつながる6つのパスをたどる。
ステップ3:ビジュアル・ステラジーの見本市を開く
成果を披露する際中心とするのは、社外の関係者、つまりフィールド調査で出会った非顧客層、競合他社の顧客、そして非常に要求条件の厳しい顧客など。
1つの価値曲線に10分以上は費やしてはいけない。
10分以上かけないと説明できないようでは、おそらく複雑すぎて優れた戦略とは言えない。
聞き手側は5枚の付箋を手に、お気に入りの戦略に貼り付けていく。
断然優れていると思うものがあれば、それに5枚全てを貼ってもOK。
貼り終えたら、自分の選んだ戦略について語るよう求める。(フィードバック)
自分が選ばなかったものについても、その理由を話す。
自分たちが競争の切り札だと考えていた要素のうち1/3までもが顧客から見るととるに足らない事柄だと知る。
ステップ4:新戦略をビジュアル化する。
従業員みんながすぐ分かるように(理解できるように)コミュニケーションに工夫を凝らす。

○全社レベルで戦略をビジュアル化する。
事業ユニット間、さらには本社と各事業ユニットの対話を促す材料ができる。
事業ユニットが戦略キャンバスを披露し合えば、他事業についての理解を深められる。

○PMSマップ
パイオニア…かつてない大きな価値を提供する事業を意味する。
安住者…業界のごく標準的な価値曲線を示す。
移行者…パイオニアと安住者の間に位置する。

なぜイノベーションを重視すべきかと言えば、それが実現できなければ、競合他社との比較でしか上を目指さないという罠に陥ってしまうからだ。

○正しい順序で戦略を考える
・買い手にとっての効用…ぜひ購入したいと思わせる理由は?
・価格…多くの買い手を惹きつけて、十分な売上を得られるだけの価格は?
・コスト…目標水準に抑えるためには?
・実現への手立て…ハードルとその対策は?

○戦略価格の設定からコスト目標の達成へ
『価格マイナス方式』でコストを導き出す。

まずは戦略価格がいくらであるかを見極め、続いてそこから望ましい利幅を差し引いて、目標とするコスト水準を算出する。
※コストプラス方式ではない。

○ブルーオーシャンアイデア(BOI)インデックス
ブルーオーシャン戦略は効用、価格、コスト、導入といった手順で策定する。
これらの要素は一体となって市場での成功を確かなものにする。
・効用 ⇨ 比類のない効用はあるだろうか。この製品は何としても購入する理由はあるだろうか。
・価格 ⇨ 多くの対象顧客の手に届きやすい価格か。
・コスト ⇨ 目標コストを達成できるか。
・導入 ⇨ 導入の障壁にあらかじめ対処してあるか。

○ティッピング・ポイント・リーダーシップ
拡散ではなく、集中。
影響力の特に大きな要因に着目する。

・意識のハードル…現状に浸りきった組織
・経営資源のハードル…限られた経営資源
・士気のハードル…やる気を失った従業員
・政治的なハードル…強大な利害関係者からの抵抗

○意識のハードルを乗り越える
数字にしばられすぎると、組織のあちらこちらで敵意や疑念が芽生える。
みんなの目の前に厳しい現実を突きつけ、肌で触れさせることが大事。
現実を目の当たりにする、結果に触れる、感じ取るといったことを伴わないと、人はその経験に心を揺さぶられず、すぐに忘れてしまう。
数字が並んだだけの抽象的な資料を見せられるのは、この部類に属する経験である。

○経営資源のハードルを乗り越える
希少な経営資源を解き放ち、価値を何倍にも高めるうえでは極めて大きな影響力を持つ要素が3つある。
①重点領域(hot spot)
少ない経営資源を投入しただけで、業績が著しく向上する可能性のある活動。
②非重点領域(cold spot)
多大な経営資源を要するが、業績押し上げ効果には乏しい活動。
③資源交換(horse trading)
部門間でそれぞれの余剰資源を交換して、不足資源を補う試み。

今ある資源を適切に使いさえすれば、経営資源のハードルはすぐに乗り越えられる。
『以前からそのような習わしになっている』ことを、もう一度考え直す。

○士気のハードルを乗り越える。
変革への取り組みを大々的に行おうとはせずに、特定の分野に集中して行う。
従業員のやる気を高めるために、とりわけ効果の大きい3つの要素に力を入れる。
①中心人物
組織に強い影響力を誇る人。
中心人物とは周囲の心を動かす力にあふれ、尊敬を集める、生まれながらにしてリーダーの素質を持った人。
②金魚鉢のマネジメント
中心人物を金魚鉢に入れる。
彼らの行動を繰り返し、目立つように紹介する。
透明性と公平性を保ち、関係者をうまく巻き込むことが重要。
多面的な会議を開くと、その場で結果が判明して、責任の所在が誰の目にも明らかになる。

ただし、金魚鉢のマネジメントから高い効果を引き出すためには『公正なプロセス』を根付かせなければならない。
関係者すべてを巻き込んで、意思決定の根拠、昇進あるいは据え置きの判断理由などを説明し、どのような業績を期待しているかを明快に示すこと。

③細分化
細分化を通して組織の自己変革を促す。
目標を細分化する。壮大なビジョンを示すだけではない。
実現を目指し、さまざまな階層の職員が自分の仕事と関係づけて考えられるように。

○政治的なハードルを乗り越える。
①経営層の中からアドバイザーを得る。
②守護神に頼り、大敵を沈黙させる。
・大敵は誰だろうか。誰が戦いを挑んでくるだろうk。ブルーオーシャン戦略によって最も大きな損失を被るのは誰だろうか。
・守護神は誰だろうか。誰が一緒にスクラムを組んでくれるだろうか。戦略転換によって最も得をするのは誰だろうか。
一人で戦ってはいけない。上役も含めて、広くさまざまな人々を味方につけて、ともに闘うのである。

○実行を見据えて戦略を立てる。
企業が絶えず戦略を円滑に実行していくためには、組織の全員が戦略に共鳴して、何があっても後押しするとの気概を持つことが欠かせない。
行動の土台として何より重要なのは、組織の人々の姿勢や行動であり、そこに訴えかけることである。

経営トップから距離があって、戦略立案にじかに携わらなかった人々ほど、強い不安に駆られる。

○公正なプロセスは人々の姿勢や行動に影響する。
戦略策定プロセス ⇨ 公正なプロセス…取り決め、説明、明快な期待内容
姿勢 ⇨ 信頼と関与…「自分の意思が重んじられると感じる」
行動 ⇨ 自発的な協力…「義務を超えて協力しよう」
戦略の実行 ⇨ 期待を超える水準…みんなが進んで実行する

最初から従業員を巻き込んで!

○公正なプロセスを支える3つのE
関与(Engagement)
説明(Explanation)
明快な期待内容(clarity of Expectation)
〈互いに支え合う3つの要素〉

・関与
従業員に意見を求めたり、他者のアイデアや仮説に反論する機会を与えたりして、戦略の策定に関わる機会を用意する。
反論の機会を設けると、各人の考え方が研ぎ澄まされ、全体としてより良い発想が生まれる。

・説明
戦略を決めるに至った理由を関係者にすべて説明して、理解を引き出す。
仮に自分たちの意見が通らなかったとしても、説明を受ければ経営者の意図に信頼を寄せる。
説明はまた、心強いフィードバック・ループを生み出して、学習を促す効果も持つ。

・明快な期待内容
戦略が決まった後で、経営陣が従業員への期待内容を明快に述べること。
期待水準は高いかもしれないが、いずれにせよどのような基準で評価がなされるのか、実績が期待に届かなかった場合にはどのようなペナルティがあるのかについて、従業員にあらかじめ知らせておくべきである。

新しい戦略は何を目指しているのか、目標と途中のマイルストーンは何か、誰が何に責任を負うのか。


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