うちのお父さん
うちのお父さんは最高の人なんです
優しいし、いつもニコニコしているし、私の話を聞いてくれるし、フットワークも軽い
誰とでも仲良くなれるし、夜はお酒を飲みながら昔話を何回も繰り返して楽しそうにしてる
家事も出来るし雑用や事務手続きとかも当たり前にやる
70歳手前だけど、男だからとか全くないと
普通の事のようにやる
運転が大好きで何だかんだ言って送迎してくれたりする
働く事も好きで、定年退職してから数年休んでまたバリバリ働き出した
バリバリ働いてるのに旅行や観劇、美味しいものを食べに行ったり、花がキレイな所に行って写真を撮りに行ったりと楽しく過ごしている
冬には孫を連れてスキーに行ったり
私の息子は中学生高校生とかになっても、私抜きでおじいちゃんと雪山に行ったりしてる
昔は怒ると怖い人だったけど、私が高校生くらいになったら本当に私の200%の味方で信じてくれていて優しいだけの父になった
母とも仲良しで二人であちこち遊びに行ったり
母の職場の送迎したり
その時の写真を家族のグループラインに載せて自慢してきたり
大好きで大好きで仕方がない人
世界一の父で、母との関係を見ていても理想の旦那さんだ
うちのお父さん、最高なんだよ、世界一のお父さんなの
って胸を張って言える
食べるの大好きで、ワインも大好きで、タヌキみたいだけど、本当に世界一、宇宙一
来年、キャンピングカーで北海道行こうって誘ってくれた
その父が、先日余命宣告された
3ヶ月だって
癌だって
もう、化学療法で少し延ばすしか出来ないんだって
あんなに元気で、やりたい事沢山あって、誰からも好かれて、妻の為子供の為孫の為って楽しそうに色々やってくれてたのに
もう、居なくなっちゃうんだって
大好きなのに
ニコニコ笑っていつもの座椅子に座って、ワイン飲みながら昔話をしていて欲しいのに
父の話をするのが、近い将来過去形になるんだって
一番辛いのは、大好きで大好きで仕方ない父が辛いと思う事
悲しいとか、残念とか、痛い、苦しい、嫌だって気持ちを持つ事が一番嫌なんだよ
お父さんにはずっと飄々と生きてニコニコして楽しくずっといて欲しいんだよ
あと、母が辛くなってるのも嫌だ
心配だし、仲の良い夫婦でお母さんにはお父さん居ないと駄目なんだよ
何にも出来ないよ?
お父さんが色々やってあげてたのに
親が辛いのが本当に苦しくて、辛いんだよ
これから二人でもっともっと旅行も行って欲しいし、美味しいものも食べて欲しい
あそこにお母さんと行ったんだよ、って写真見せて欲しい
時々実家に帰った時に何でもないダラダラした時間にニコニコしてる父が居ないと駄目なんだよ
家族皆をニコニコ見回してお母さんとか私とか妹に押され気味のお父さんだけど、お父さんが居るから皆楽しいんだよ
ずっと笑って脳天気に飄々として優しくて本当に人としても尊敬できる人なんだよ
お願いだからずっといて欲しい
私、あんまりワガママ言ってこなかったからこのワガママだけは通らないかな
奇跡とかは願いたくないんだよ
そんなキレイな事じゃなくて
現実は仕方ないってわかってるから、ただ嫌だって吐き出したいだけなの
嫌なんだよ、本当に嫌だ
大好きな人が辛くなるのを見たくない
こんな事になる前に、万が一親に何かあったらとか考えた事あるけど、現実は無理だね
旅行に連れていきたいとか前は思ってたけど、連れていきたい気持ちと最後の想い出作りの悲しい旅行とか嫌だとも考えてしまうし
大好きだよ、ありがとうって改めて言うのも先を考えての言葉に思えてしまう
退院したらふらっと実家に遊びに行って、今までみたくダラダラして、今までみたいな会話をしようと思ってる
癌の余命宣告は、突然の死よりやりたい事を出来たり後悔も少ないって聞くけど、まだわからない
今は本当に嫌だ、辛い、悲しい、嫌だ、嫌だ
お父さんに会いたい
別に会話しなくていい
実家でお父さんが座椅子座ってて、私はスマホ弄りながら寝っ転がって何て事ない会話したい
退院するまでに今より落ち着いてお父さんに会っても泣かない様にしてないと
普通に出来る様になってないと
私に心配かけてるってお父さん思っちゃう
大好きなお父さんはずっと居てくれるのだと思ってたのに
いつかはとはわかってるけど、まだだよ
まだお父さんとやりたい事沢山あるのに
お父さんもまだまだやりたい事、行きたいとこ沢山あるのに
友達に話しても、友達に申し訳ないし、旦那に話しても、自分勝手だけど、旦那が良かれと思った言葉も私には欲しくない言葉かもしれない、母とも沢山話したけど、母も辛いし全ては言えない
書いたら少しは何か変わるかなと思ったけど、まだ時間は掛かりそうだな
私が倒れてしまわないように、出来るだけ寝ようとして、食べれるようにならないと
こんなにも苦しいんだ
我が子を亡くした時に私はどうすれば良いかわからなかったけど、十数年して今普通に生活してる
思い出す時はまだ苦しくて、日々は思い出さないように心の奥に閉じ込めている
乗り越えるのは無理だろうな
そんな辛い気持ちや苦しい気持ちを閉じ込めて、でも、ひたすら私は私で生きていくんだろうな
そうやって父が過去の話になると想像出来るのも辛い
いつかは忘れる時間も増えて、普通に笑って生活するのがわかるから余計辛い
苦しいな
子供達が居てくれるから、その間は母として凛としなくては
奇跡が起きてとは言わないけど、余命宣告より何だかわからないけど延びて、さすがお父さんだったね、飄々と何だか脳天気にフラフラと粘ったね、って言いたいな
唯一の願いが、お父さんに痛い思いをさせないでください
それだけはお願いします
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