見出し画像

親不孝娘の思惑

50代ともなると、以前はそれほど 目立たなかった体の変化や体力の衰えが気になってきますが、それより気になるのが親の老いだと思います。

3年前、80歳になった母に認知症の兆候が出てきたと知らされました。
認知症は放っておくと進行すると言いますよね。
それは何としても阻止したかったので、実家にタブレットを送り付け、兄弟を巻き込んで週に一度の「家族ビデオ通話」を強行することにしました。「初期の認知症は話すことで改善できる」と本で読んだことがあったからです。

ただ、実行するのは大変でした。
最初の頃は、通話アプリに苦戦する両親と、忙しい兄弟からの激しいブーイングの嵐。
せっかく送ったタブレットを「こんなの要らない!」とポイッとされ
何度 心の中で舌打ちしたことか。

それでも半年ぐらい経つと、すっかり習慣化されて「今日は何時からやる?」と催促が来るように。
何より母の症状が目に見えて改善したのは驚きだったし、感動的でした。
誰かと話すって、それほどまでに大切なことなんだなと。

ビデオ通話を始める前の母は、認知症と共に鬱症状もあったようで、目がうつろでボンヤリとしていました。今では元気だった頃の母に戻り、表情豊かで憎らしいほど口達者です。

こういう話をすると、「親孝行ねえ」とか「感心ねえ」と言ってくださる方がいるのですが、そんなことは全くありません。

友人の中には介護経験者が多く、いろいろと話を聞く機会があります。
そのほとんどは壮絶で、親と仲が良かったという人でさえ「殺意が芽生えた」と真顔で言うのです。
私なんて今でさえカチンとくることが多々あるので、首を絞めないでいられる自信なんてありません。

これは世間から見たら、自分勝手で親不孝な考え方かもしれませんが、私は介護のために貴重な時間を奪われたくないし、神経をすり減らしたくもないと思っています。
だから可能な限り介護しないで済むように、親をボケさせない・弱らせないためのあらゆる対策を講じているわけです。
でもまぁそれが結果的に親のためにもなるので、こんな理由でも悪くないんじゃないかと思っています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?