見出し画像

*問題のようにみえるもの


淡路島で自然農をするようになってから、畑では様々な問題が起こった。

自然農を初めて2年目、耕さない畑の土はカチカチになった。
苗を移植するのにスコップが入らず、耕さない自然農で大丈夫なのか?と不安になった。

けれど、翌年頃からカチカチだった土がだんだんと軟らかくなり、
今では畑全体がフカフカの土になっている。
13年たった今でも畑を耕したことはない。

同じく2年目、10年ほど放置していた田んぼで米を作ることになり、草を全て排除し田植えした。
すると、その田んぼには芝がびっしり生えだした。
恐ろしく強い芝で、刈っても刈っても伸びてくる。
そして鎌では切れないほどの強さなのだ。私は芝に根負けし、草刈は全く追い付かず、田んぼは芝で覆われた。

当然稲は生長できず、分けつもできないままで、食べるどころか種を取るので精一杯だった。次の年の田んぼでも同じことが起こった。
とりあえず、稲の周りだけでも芝を刈ったが、やはり分けつは少なかった。

芝の性質を調べてみると、芝は日当たりの良い場所を好む。
芝をうまく生えさせるためには芝刈りした後の芝をそのまま置いておかず、避けておくこと、と書いてあった。

私は田んぼの草を刈り、その草を全て排除してしまっていた。
なんと、私は芝が好む環境をわざわざ作っていたのだ。
耕して、除草剤で草を抑える農法ならよいが、
手作業の、自然農では草を全て排除してはいけなかったようだ。



3年目、畑はアブラムシでいっぱいになった。
真冬だというのに、アブラムシはいなくならず、特にマメ科の植物にはアブラムシがびっしり付いていた。
けれど、だからといってアブラムシに殺虫剤をまくわけにいかない。
何とかアブラムシを好きになれないか、としげしげとアブラムシを眺めてみた。

エメラルドグリーンの綺麗な虫だった。
ただ、小さくて、たくさんいることで、気持ち悪く見えてしまう。
このままでは野菜たちが駄目になってしまうのではないか、と不安にもなる。
やっぱり何か、対策しなければいけないのか?牛乳を振りかけてみようか、手で取って殺してしまおうか・・・。

それにしても、無数のアブラムシ。どれだけの牛乳が必要なのか。
少し牛乳を振りかけてみたけれど、なぜかアブラムシは死ななかった。
牛乳を振りかけるのがアホらしくなり辞めた。

しばらくするとアブラムシの天敵であるテントウムシが増えだした。
テントウムシはどんどん増え、アブラムシを食べている。
けれど、アブラムシは減らなかった。
あー、このままウチの畑はアブラムシまみれなのか・・・と考えると嫌になってきた。

菜っ葉にもアブラムシがたくさん付いていたので洗うとアブラムシがたくさん浮いてくる。さすがに食べる気がしなかった。

小麦


その翌年の春、突然アブラムシが姿を消した。
どこにもいないのだ。あんなにいたのに・・・いったいどこへ消えたのか?
私はボー然と畑を見渡した。

後で知ったことだが、アブラムシは突然羽が生え、飛んで行ってしまうらしい。
そして、虫の大量発生は不自然な場所で起こるという。

じいちゃんは畑に化学肥料も牛糞も鶏糞もたくさん入れていた。
そのお蔭で野菜は大きく育ち、たくさん実を付けたが、栄養過多で不自然な土になっていただろう。

もしかすると、不要な養分をアブラムシが吸い取り、無くなったところで突然姿を消したのかもしれない、と思った。

アブラムシの原因はともかく、アブラムシが大量発生したことに私は問題視する必要はなかったようだ。


紫ケールの花


虫が大量発生したから殺虫剤をまく。そこは不自然になるから、また別の虫が来る。
だからまた別の殺虫剤をまく・・。

雑草が邪魔だからと草を排除しすぎると、さらに強い草が生えてくる・・。

野菜が大きくならないから、と必要以上に栄養分を投入すると虫が寄ってくる・・。
「起こっている事を問題視した私」が起こした行動は、新たな問題を引き起こすのだ。

小さめのキャベツ


土が固くなったのも、虫が大量発生したのも、畑が自然に戻るための過程であり、「問題」ではなかったのかもしれない。

それを「問題」と受け取ったのは私だった。

それが、問題なのか、自然な過程なのか判断できない時は、時が過ぎるのを待つことにした。

自然界は必ず変化するのだ。

少し忍耐は必要だけれども、いらんことをして新たな問題を引き起こすよりもずっと早く、確実に解決されると分かった。

自然農の畑では、野菜が全体的に小ぶりになる。

スーパーに売っている大きな大きな白菜やキャベツなんてできない。

けれど、この野菜の本来の姿はどれくらいの大きさなのだろうと想像してみる。

この小さな野菜は問題なのか、自然なことなのか?と。


このとまとはおおきいの?

この記事が参加している募集

この経験に学べ

SDGsへの向き合い方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?