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【虐待サバイバーなパートナー氏】気づいて、話して、イライラして、癒して。

パートナー氏は、いつも「外側」を気をやっている人だった。部屋の中にいても、ひんぱんに窓の外を見ている。隣の家まで30メートルほどあるけど、その家の玄関口にいる人に「強い視線」を放って、その人がはっと振り返るほどだった。

電車に乗って座席に座っていても、うたたねしない彼。いつも気を張っている。それはまるで、わたしからすると、いつスリや強盗などに遭うかわからないようなどこかの外国で、緊張しながら電車に乗っているような感覚。「なんでこんなに気ぃ張ってるんだろうなー」って思ってた。疲れるよねぇって。

でも彼にとっては、それが「通常」なのだ。「気を抜く」ということを、生涯かけて知らない。それは幼少時、いつ親の怒号や手が飛んでくるかもしれないという環境に長く置かれていた、というのを想像するのにたやすい。

でも彼自身、自分が「普通の人」とはまるで異なる世界に生きてきていたということにやっと気づいて。そしてそれから、少しずつすこしずつ変わってきている。「部屋の外、もうあまり見なくてもいいかなって思えてきた」って。

「あなたは自由にしていいのよ」
「自由・・・自由って言われても、どうしていいのか」

もう親元離れて30年以上たっているのに、彼は、本当の意味で自由ではなかった、ということなのかな・・・。心の中は常になにかにおびえ、なにもない外側を見張り、しなくてもいい我慢をすることが生きる支えとなってきていた。そのことに気づいてしまった。小さな子どもの頃からの、生き延びていく術だったのだ。大人になった今は必要ないけど、もうずっと、そのまま生きてきていたのだ。自分の半生はなんだったのか。隠しに隠してきた怒りがこみあげてくる。

「イライラが止まらないんだ」
「そうだよね。ずっとずっと、我慢してきたんだもんね。いいよいいよ、たくさん怒っていいよ。たくさん泣いていいよ」

とまどい、イライラし、身体はどっと疲れ、胸が痛む、と彼は言う。毎日まいにち、少しずつすこしずつ、解放してはいるものの、やっぱりかなりの疲労感があるみたい。

それはそうよね。あなたはほかの人の何十倍もがんばって生きてきたんだよ。がんばったんだよ。すごいよ。よく生きてきてくれたね。あなた自身に、やさしいことばをかけてあげてね。「よくやってきたね」って。





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