フリーライターの率直なハナシ [お金編]③未払いで苦しんだこと
ただただ残念な結果になった話です。
似たような思いをする人が1人でも減りますようにとの願いを込めて、書き残しておくことにします。
未払いが発生したのは、2022年半ばでした。
複数のユーザーの仕事をまとめて請けているクライアント(仮にA社とします)から、そのうちの1ユーザーに関して「今月分は支払えない」という連絡が入りました。「弊社への支払いが(トラブルにより)行われないので、仰倉さんにも支払えません」というのです。
支払い予定額は8万円強。細々とやっているフリーランスにとって、かなり手痛いマイナスでした。
未払いが発生した場合、どう対応すればいい?
未払いは、いかなる理由でも許されることではありません。
もしも報酬が予定の期日に振り込まれなかった場合は、冷静に対処しましょう。
A社の事案の後、支払い遅延があった際には以下の流れで対応しています。
支払いの手続きが正しくなされているかを問い合わせる
担当者のところで請求書がストップしていただけというケースもありました。まずは窓口もしくは担当者に、状況確認の問い合わせを。支払い遅延が明確になったら、内容証明を送る
法的な手続きに入ると伝えるだけで、すぐに振り込まれる場合もあるようです。法人でないから舐められているとは言いたくありませんが、その可能性はあります。内容証明を送り(個人でも送ることができます)、不安なら弁護士に相談し、回答が頼りなければ他の弁護士相談サービスも利用しましょう。
全ての弁護士が十分な知識を授けてくれるとは限りません。不安が少しでも解消される方向へ動くこと。ネットで調べて、その通りに対応ができるなら、即、実行を。請求書を作成する際に、回収保証をかけておく
あらかじめ請求書作成時に「回収保証」を付けておける請求書作成サービスもあります。保証を付けておくと、損害が発生した時に補填してもらえます。問題が生じてからでは遅いので、全ての請求書に付けておくのも良いでしょう。
他にも、請求1件から回収代行を依頼できるサービスなどありますから、使いやすいサービスを見つけておくこと。
文末に、頼れそうなサービスのリンクをいくつか掲載しておきます。
私はなぜ抵抗できなかったのか?
私がA社にどうしても抵抗できなかった理由は、3つです。
・A社への依存度が高過ぎた
・相談した弁護士が消極的な問いかけをしてきた
複数のユーザーの案件をまとめて引き受けていたこともあり、月の収入のうち3分の2を超える時も度々発生するくらい、A社の仕事を受けていた。これが大きな理由です。
相談した弁護士から「付き合いが深いクライアントですよね?戦えますか……?」と問われ、もしもを想像してしまいました。
(もしも揉めて全案件を引き上げられたら)と。
当時は離婚準備中だったため、これ以上収入を取りあげられたら身動きできなくなるという強い恐怖に襲われたのです。
これが3つ目の理由。1円でも多く貯めておかなければならない時期に訪れたトラブルに、すっかり萎縮してしまったのですね。
この時の弁護士の対応にも問題があると言わざるを得ません。
納品物を受け取ったクライアントには、報酬を支払う義務があります。それを告知する手立てを知らせることもなく、ネガティブな問いかけだけして電話を終えてしまったのですから。
上に挙げたように、内容証明を出すとか、回収代行サービスを利用するとか対処法はいろいろあるわけで、その方法を教えるくらいはしても良かったのではないかと今は思います。
余裕がなかった私は、弁護士という味方を得られなかったのだと感じ、「未払い請求は難しいものなのか」と絶望感を強くしただけでした。
数年来の付き合いで信頼を寄せていた企業でもあったことから、悩んだ末に、未払い分は諦めて今後の仕事で挽回しよう、と無理やり自分に言い聞かせることにしました。
それが間違った対応であることに気づいたのは、A社の仕事と向き合えなくなってからです。
最終的に、A社の仕事を全て終了
信頼を欠いたクライアントとの仕事は、想像以上にメンタルを削ります。
原稿を開くたび、A社の名前を見るたびに悔しさが湧き上がるようになりました。
何度も何度も、(全ては仕事の経験(糧)になるのだから、どんな思いでも乗り越えなければ)と自分のお尻を叩いてはみたのですが、A社の原稿作成だけ、2倍、3倍の時間がかかるようになっていったのです。
A社の内部も荒れていたのでしょう。ディレクターが短期間で次々と辞めていき、ライティングに関する業務がほぼ丸投げ状態になりました。
それをきっかけに、A社から完全に離れることを決意したのですが、ボリュームの大きな仕事の代わりを見つけるのは簡単ではありませんでした。
最終的には、同時期に親の体調が急激に落ちて対応に追われ始め、メンタルのエネルギーロスを避ける必要が生じたことから、状況に背中を押されて契約終了を申し出た形になったのですが、未払い発生からここまで、1年半もの時間がかかってしまいました。
未払いがあった時に考えてはならないことがある
未払いに対して、「そんなの請求すればいいじゃない」と言う人も少なくありません。けれど、付き合いが深いほど迅速に対応できない場合がある。相手を応援したいとか、大変そうだから我慢した方が良いのかもというような気持ちが湧く場合です。そして冷静に支払いを迫りづらい心理に陥る。
今回は全くその通りでした。
それまでの関係が良好だったため、状況を良い方へ考えたがる自分もいました。それが判断を鈍らせた。
だから、私からできるアドバイスの1つ目は、「どんな相手であれ、未払いが発生した時点で、互いの関係性や過去のやり取りは切り離して考えましょう」ということです。
未払いは、それまでに培った全ての信頼を打ち壊すレベルのトラブルです。金額の大小も問題ではない。
払うべきものを払ってもらうこと以外は、考えないこと。
担当者から泣きが入っても、同情を混ぜてはいけません。飲み込んで痛い目を見るのは自分です。
そして法律に則って手続きを進めましょう。
少し話はそれますが、業務開始前に契約書を交わさない業者も中にはいます。その場合は法律の遵守を突きつけられないので、決して仕事を引き受けないこと。どんなに良い相手に見えても、です。
断る行為は大変なエネルギーを使います。
でも、トラブルが生じた際に費やされるエネルギーは、その比ではありません。
法律の知識を身につけ、頼れる相談先を見つけ、味方を増やしながら、フリーランスとして胸を張って生きていこうではないですか。
※以下に、報酬トラブルや回収保証に対応している企業を各2社ずつ掲載しておきます。かなり多くの企業が同様のサービスを行っているので、いろいろ見て回って知識を深めておきましょう。
意図的に「飛んだ」業者の場合は、少額訴訟といった法的手段へ進まなければならないことも。
トラブル内容に応じたサービスを取り扱っている企業を的確に見つけてサポートを依頼することは、大切な初手となりますから、問題の根が深い時ほど慎重に進めてくださいね。
※報酬トラブル相談サービス取扱い企業
『フリーランス・トラブル110番』
『フリーランス協会』
※回収保証・回収代行サービス取扱企業
『請求書作成ソフト MISOCA 』(弥生オンライン)
『リコーリースの集金代行サービス』
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