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母というひと-010


一番残酷な暴力とはなんだろう?
殴られ、叩かれ、暴言を吐かれること
直接的な身体の痛みを伴うものはもちろんそうだ。
残酷でない暴力などない。
比較なんてできない。

ただ、一度きりの暴力なら
支えを受け立ち直るきっかけを得られる人もいる。
難しいのは、密室の中で継続的に暴力を受け
心の奥まで打ちひしがれた場合だ。

親が不在の家で毎日のように繰り返される兄達からの暴力は
聞くだに凄まじいものだった。
祖母が行商の合間に帰宅して
子供達のために置いていく一月分の食べ物やお金はいつも不足して
それが兄達をイラつかせた。

気に入らないことがあれば殴る
お腹が空けば殴る
自分が決めたことに妹達が従わなければ殴る

それはきっかけがあって殴るのではなく
殴るために口実をたくさん増やしているような状態だった。
そして理性のまだ未熟な子供のこと
一発二発殴って終わり、というわけにはいかない。
自分達の気がおさまるまで殴り続けるから始末が悪い。

強い動物が弱い生き物を
時としてわざと殺さないようにいたぶるような
しつこくて力加減のない暴力だったと聞く。
それに耐えきれず、母の姉は中学生の頃には
家出して帰って来なくなった。
2人の兄の暴力はそれ以降
一番幼い妹、つまり母だけに向かうことになってしまった。

母はわずか5〜6才くらいの幼い頃には
心の奥の奥まで殴られすぎてぺしゃんこになり、
いずれ自殺願望を持つようになる…

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