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本:『そして、バトンは渡された』を読んで

わたしはよく本を買い、メルカリで売り、その売上金でまた本を買うという生活をしている。
こうすると、例えば定価1000円の本を買って700円で売ると実質その本は300円で読めたことになる。で、その700円でまた新たな本を買って、、、。
お得だし我ながら賢いやり方をしていると思っているけど、でも読んだ本をすぐ手放すのってもったいない!と思う人もいるのかもしれない。

だけど結局大事なことはちゃんと頭の中に入っているし、逆にいつまでも手元に置いていつでも読める環境を作ってしまうと、途端にわたしは読まなくなるので本はどんどん手放すようにしている。
そうやってどんどん本を循環させているけど、たまに10冊に1冊くらいの割合で、これは絶対に手放したくないという本に出会う。

それがタイトルにも書いた『そして、バトンは渡された』という本である。

これまでも何度も本屋で見かけたし、本屋大賞もとっていたからもちろん存在は知っていた。
なんとなくわたしは本屋大賞とかベストセラーとかを謳っている本を読むことに抵抗があるのでこれまで一度も買おうと思ったことが無かったのだけど、
その本が映画化される、しかも石原さとみが出演すると聞いて、すぐに購入した。
なぜならわたしは石原さとみのファンだからだ。
本を読み終えた今思うこと。石原さとみのファンでよかった。やっぱり本屋大賞をとる本は読まないとダメだ。世の中に評価される本は、やっぱりものすごく心を動かされるものがある。

この物語に出てくる主人公は何度も親が変わるが、みんなから愛され大切にされ、特に悩みを抱えることなく育ってきた。
普通だったらグレそうだし正気でいられなくない?と思ってしまうけどあまりにも淡々としている主人公がおもしろい。
葛藤とか苦悩とかそういうドロっとしたものがあまり描写されていない。あるのは主人公とその親たちの温かい会話ばかりだ。

もっと悲しくなったり、色々考えさせられたりするのかと思ったら、クスクス笑ってしまう。なんだこの愛おしい本は。

自分が知らない感覚と自分が知っている感覚が入れ混じって一気に読み進めてしまった。
久しぶりに本の物語にのめり込めた気がした。

名前とか血縁関係とかって薄々気づいてはいたけど、書類上では強いだけで生活をする上では大して関係ないんだなと思った。
一緒に過ごした年月もそう。
名前も血の繋がりも、過ごす年月も大したことじゃないのなら、なんだったら大したことになるんだろう?

その答えがこの物語に描かれている。最後の一文まで読んだ後に、このタイトルを思い出して、ああもう絶対にこの本を手放さないと決めた。

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