高３の夏休みにうつ・ADHDと診断された息子。センター試験直前に親子で向き合って話をしたことをきっかけに症状が改善したが、勉強は間に合わず宅浪することに。共通テストは目標点達成。しかし慶應は睡眠不足で試験を受けて数学で失敗。これから早稲田対策をするとますます東大の勉強ができなくなるため早稲田受験をとりやめる決断をした。今回も日記から。

２月１４日（日）

タロー８時半起床。とてもいい感じ。また次に進める…と思ったが。
朝食の時テレビでビットコインの話が出て、タローは「やめて」と耳をふさいだ。去年の東大合格発表の日に持っていた仮想通貨をほとんど蒸発させてから、興味はあってもずっと封印して来たのだった。今仮想通貨のことを考えると勉強が手につかなくなる。すかさずダーが「弱いなー」と言う。受験期の今どうしてそんな言葉をかけるのか理解ができない。「だいたい受けないなら受験料もムダになったし、何で願書出したんだ。東大受ける人は早稲田も受けるだろうから、同じ問題が出たときに損しないように問題は見ておいた方がいいよ」と続ける。なぜそんな言い方するんだろう。これまで積み上げて来たタローのメンタルがガラガラと音を立てて崩れているのではないかと不安で仕方なかった。

食べて、洗たく物を干して、すぐ散歩へ。やはり投げかけられた言葉はつら
く、「衝突はしたくないけど、次に何かいわれたらメンタル立て直すのはムリだよ」といっていた。東大受験生の親は受験経験者が多く、どんなことをいわれたら嫌かわかっている人が多いから、それだけでも不利なのだと。

こんなにドタンバに来ての激震にヘトヘトだが、ダーに応援しようよと話す。
ダーにはタローが早稲田をやめるのも人にゆだねて自分で決めていないように
映っていたらしく、そのくらい自分の意志で決めてほしいといらだっていた。タローは自分で考えて悩んで迷って決めているのだが、伝わっていなかったよう。

バレンタインデーなのでお菓子でも作ろうと思っていたけれど、もうそんな余力なく、お店でチョコレートを買った。夕方まではダーもだいぶ不愉快そうにしていたが、夜はみんな元に戻り始めていて、ダーの話にタローも乗っかり、過しやすくなってきた。入浴後みんなにチョコを配った。

タローには早稲田をやめるにしても、明日の理科大の発表がダメなら受けた方がいいので、とりあえずは1年分の過去問を完結させるために残った英語をするように勧めた。タローは「そうだね」と言いったが、なかなか手がつけられない。やはり早稲田の英語は一番難しいという評で腰が上がらないようだ。

「11時には寝られるようにしようよ。今日はもうやめておく?」と声をかけると「今日やるよ」といって始めた。
12時近くに「おやすみなさい」と声をかけベッドに入る。すぐにダイニングでガタガタ音がした。終ったのかな。激沈だと眠れないのかな・・・とか考え出したら私が眠れなくて、ダイニングへ。ちょうど答え合わせするところだった。

「いやー難しい。これ日本語で読んでも理解が難しい内容だよ」といいながら「あー、いいんじゃない? いい感じだね」とつぶやいている。結果はとても良かった。単純な正解比率は81%。問題による重みづけがあっても70%はいっているだろう。120点満点で平均は50点という。前日やった他の教科も加味して計算すると、どうやら合格最低は越えているようだ。すごいなー。

「うーん、どうしようかなあ」と迷い出す。「でも去年横国に行ったときに、緑が多くてこんな所で勉強できたらいいなーって心から思ったんだよ。早稲田に行かないなら東大に対してなめてんのかって失礼になるからやっぱり受けないよ。明日の理科大がダメだったら、その時は他もダメだと思うから受けに行く」

自分の中でスッキリ決断できたからか、抗うつ薬はいらないという。毎晩飲むものとして日数分出しておいたが必要なくなった。ほっとしながらベッドに戻った。