ニホンザルの骨盤を解析すると、ヒトが出産する進化の過程が分かる!?京都大学が明らかに。
こんにちは、翼祈(たすき)です。
人類が今日まで生きていることには、数多くの先人たちの出産があったからです。
ヒトはなぜ、出産できるのかー?そのメカニズムを解明するには、ニホンザルの骨盤を解析すると、そのメカニズムを分かって来たといいます。
ニホンザルは死ぬまで子どもを出産することができますが、高齢に入ると出産のリスクを防ぐため骨盤が少しずつ変形し、子どもを出産しやすい身体に変化していくことを、自然人類学が専門の京都大学の森本直記准教授らの研究グループが発表しました。
森本准教授は「大人になっても骨盤が変形するのはヒトの女性特有の現象だと思われて来ましたが、ヒト以外にも霊長類は出産に関わる影響を受けて、加齢に伴い色んな形に骨盤が変形する様に進化した過程がある可能性も出て来ました」とニホンザルの骨盤の研究の意義を説明しました。
今回はニホンザルの骨盤から紐解く、人類の出産の進化の過程について迫ります。
ヒトの出産での進化の過程とは?ニホンザルから紐解く。
ヒト以外の哺乳類にはほとんどの動物に閉経がないといいます。ヒトの女性は出産することに備えて、赤ちゃんが産める年齢になるまでに骨盤が大きく成長していますが、閉経した後は二足歩行がしやすい様に、男性と同じ様な骨盤に変形していきます。
その反面、ヒト以外の骨盤の解析の研究事例は少ないことから、研究グループはなぜヒトにはこうした特性を持つのかを、ニホンザルと比べて解析しました。ヒトだと赤ちゃんの頭が大きく、出産に時間が要するといった、それ以外の哺乳類の動物と比較しても難産になる傾向にあります。
ニホンザルはヒトと同程度に難産になる傾向ですが、閉経は存在しません。実験では赤ちゃんから高齢期(18歳)のトータル39匹のニホンザルをCT撮影を行い、骨盤の形を解析しました。
すると、ニホンザルは子どもを出産できる様になる5歳以降も高齢期まで骨盤が変形して成長を続けていることが分かりました。さらに、若い大人のメスより高齢のメスの方が、産道の入り口が前後におよそ10%広くなっていることも判明しました。
ニホンザルは高齢でも出産ができますが、ホルモンバランスの変化などで、出産することへのリスクは上がります。産道が広いことで、それだけ赤ちゃん産みやすくなり、相対的にリスクを減らすことが可能です。
参考:<フロンティア発>ニホンザルの骨盤研究から「出産」進化の謎に迫る 東京新聞(2023年)
高齢出産のリスクを下げることにメリットがあるのはヒトも同じことが言えるはずです。それなのにヒトはどうして骨盤を変形させ、進化しなかったのでしょうかー?
「ヒトは集団行動をして子育てをしていくことで、高齢の女性は自分だけの力で赤ちゃんを出産するのではなく、閉経して自分の孫の育児に協力していく方が、効率良く子孫を残せたのではないかと思います」と、森本准教授は「おばあちゃん説」が有力な仮説だと語ります。
「私たちは『老化現象』にマイナスのイメージを抱きますが、閉経という『老化現象』にもきちんとした意味を抱くことを理解すれば、その様なマイナスのイメージも払拭することが可能なのではないでしょうか。さらに他の動物と比べることで、ヒトの出産の進化の秘密をもっと解き明かしたいです」と語りました。
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