「ホモ・サピエンスの涙」

※批評でもなんでもない映画観賞日記

ロイ・アンダーソン監督による「ホモ・サピエンスの涙」を観た。

上映時間78分と少々短めだと感じたが、映画の効能恐るべし。

ゆっくりと心に沈殿していき、心に根を下ろす作品になった、と思いたい。


この作品では、ただただ人間の営みや悲しみ、「脆さ」が丁寧に映し出されている。


毎日の生活での小さな出来事の中で、心情が移り変わる。時に悲しみ、時に至上の喜びを感じることもある。その豊かな心ひとつあれば、ある種の諦めのようなものをもって暮らしていけるような気がする。

人間はかくも孤独で、ちっぽけで、頼りないということをまざまざと見せつけられた。

アンダーソン監督の大きな特長と言える固定カメラで撮影された映像は、どこか俯瞰的な視点を観ている側(というか私)に与える。

それは宇宙から見下ろす感覚でもある。

出来事を批判するのではなく、ただ受け入れて優しく見つめている。

その視点を自分の中に深く植えつけていきたい。(今ままで何度も挑戦したが、人間は忘れる生き物であり、そして私は意思が弱い)

私自身つい身の回りのことや願望に固執し、思い通りに操ろうとしてしまう。それがいかに身勝手で傲慢であるかということは分かってはいるのだが・・・

全て善悪で判断しない精神を、この作品を観賞することで何度も呼び戻したいと思う。


街角のカフェにておじいさんが歯医者に

「全てが素晴らしい」

と言っていたシーンがよかった。

すべてが素晴らしいと魂から感じて生きていきたいなあ






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