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「光る君へ」うろ覚えレビュー《第7話:おかしきことこそ》

NHK大河ドラマの前に流れる「NHKプラス」の広告。
阿佐ヶ谷姉妹と呼ばれる人たち2人が登場する。毎回見るんだ。
隣に座っていた母が、阿佐ヶ谷姉妹は本物の姉妹ではないと自信ありげに言う。そうだよ。あたしは同意する。
すると彼女が
「でも叶姉妹っていうのは本当の姉妹よ」
と言い放つ緊急事態に陥ったので、驚愕したあたしが全力で訂正を試みてたんですよ。
そしたらば、ドラマの最初の部分がゴージャスなお姉様方のイメージと混ざっちゃって、気づいたらすでにオープニングタイトルぢゃん。
今回も最初からうろ覚えだ、NHKプラスめ。

本音で生きてる人々

華々しく貴族たちが生きていた平安時代。身分の高い者たちは、戦国時代のようにわかりやすく弓や刀で戦うことは少ないが、代わりに陰謀や策略でが張り巡らされていた時代だ。藤原兼家などを代表として、表と裏の顔を使い分けて、腹を探り合いながら生きている貴族たちは多かった。

そんな中、少ないが清々しいくらい本音で生きている人もドラマに登場する。それが7話でもよくわかったので、代表として2人の名前を挙げたい。

その1 花山天皇

寵妃だった藤原忯子が身ごもったまま子供ごと命を落とした。死の穢れを恐れた当時は、花山天皇でさえ自分の妻の死に目にさえ会うことを許されない。取り乱す天皇。

平安時代の男子にとって人前で烏帽子を被らずもとどり(まげのこと)が見えている状態とは、パンツ一丁くらいの恥ずかしかしいものだったらしい。だが、忯子の死を悲しむ花山天皇にとって、そんなん関係あらへーん。彼は乱れに乱れた。円融天皇と藤原詮子みたく政治的な圧力で結婚したのではなく、花山天皇はほんとに忯子を愛してたんだね。

嬉しそうに騒ぐバカ殿と家臣ではない。
寵妃の死に悲しみのあまり取り乱す花山天皇のつもり。

その後の花山天皇は、政治への積極性を失いすっかりやる気を失ってしまった。

「よしこに会いたいねん」

悲しそうにしてる花山天皇のつもりの絵。

なんて素直なんだ。
忯子の兄である藤原斉信でさえこんなに悲しんでいないのに。
ドラマ中一番自分に素直な人物じゃなかろうか。
エキセントリックなところのある天皇だが、憎めないじゃないか。

その2 藤原実資

誰になびくこともないのが実資だ。
右大臣家にも左大臣家にも天皇にも媚びず生きているのが心地よい。
彼は、アホではないので不満の全てを口にしていたわけではない。
人と絡む面倒な集いへの参加を避け、他人の批判は日記に書いた。
そう、内輪では不満たらたらの実資にうんざり顔の妻の桐子が「日記にお書きなはれ」と夫に言ったあの日記、のちに『小右記』と呼ばれることになった偉大な記録こそ、彼が書き続けた日記だ。

ただし『小右記』は、ドラマの7話は985年以降の設定だったため、妻の言葉がきっかけで書き始めたわけではない。現存する『小右記』に見える最古の年は、982年であるから、その時彼はすでに3年ほど日記を書いていた計算だ。そんな実資の日記への熱意を知ってた桐子が「例の日記に書けばええやん」と言ったわけである。

それにしても、実資、リフティングめっちゃ下手やったな。
多分打球も下手。

身分関係なしの「打球」

身分差別がないことは良いことかもだが、今回のメインイベントだった平安貴族のスポーツ、「打球」イベントはかなりのフリーダムさだった。
散楽師がトップ貴公子たちに混ざって競技を行い、左大臣家の姫様と下級貴族のまひろや桔梗まで同じ場に座って打球を見学できるとかすごすぎる。
桔梗が源倫子と横並びだったし。

打球をプレーしている青年貴族たち、カッコ良かったかな。
あたしは、んーーーーー普通でした。

清少納言(桔梗)は大好きだが、あのちょっと勝ち誇った満月みたいな顔でにらみながら微笑むのは辞めてほしい。目が笑ってない。まひろと性格的な違いを出そうとするあまり、ナゴンが嫌な女になってきているようで悲しい。あたしのナゴンはそんなんじゃない。

逃げた猫のこまろを探していたまひろは、打球を楽しんだあとに道長、公任、斉信そして直秀らが着替えをしていた更衣室での会話を耳にしてしまう。彼ら、特に公任や斉信は、婚姻するということは自分たちの家柄や家格をキープするための手段であり、恋文を送る相手とは火遊び程度のように考えているらしい。
道長はその話に加わらなかったが、まひろは、同じ場にいる道長も同じ考えだと思ったろう。
道長に送られた恋文もそういう遊びなんだと思ったのか。
あとでその文を焼いていたけど、いつのまにそんなに道長を好きになったのかなぁ。実はあたしはその点がちょっとピンときていない。

ところで、まひろが大雨の中を追いかけていた猫のこまろ。
もう行方不明ということでいいですか。野良猫ですか。

はろぉこまろ

注目したいひとびと

その1 直秀

まひろと道長が一緒にいる場面で直秀が現れた時に言った言葉。
「邪魔しちゃった…?」(←あえて関西弁に翻訳しないよ)
直秀の絶妙なひと言がツボだ。
もはや直秀は視聴者の心を掴んでいる。道長よりもね。
ええ、そうですとも。

軽業はできるし、頭は切れるし、凄腕の盗賊。
ちょっと影はあるし最っ高やんか。

何度でもいう。マンガだったら最強のモテキャラだ。
直秀ファン出てきそう。

精一杯きつね顔の直秀描いたんだよ。笑うなよ。
でもまひろが書いたというこの芝居、全然おもしろくなかったです。えへ。

そして、どうやら道長は腕の傷から直秀の正体(盗賊)に気づいたらしい。
直秀よ、どうして打球に参加しちゃったの? 
あんたはそんなのに参加する性格とは思わんかったけど。
お金でももらったんだろうか。出る理由が謎だ。
そして打球のあと、公任や斉信のボンボンたちによる女談義を聞いて何を考えた?

盗賊だが義賊。
前にも言ったが、あたし的には直秀の将来が花山天皇の次に心配。
道長は、1028年に糖尿病で死ぬまで当分心配ない(断言)。
でも、オリジナルキャラの直秀はその行く末がわからない。
歴史本読んでも答えはないのだ。胸騒ぎがして仕方ない。

その2 百舌彦


百舌彦は見ている

いっつも黙って道長にくっついて回り、ご主人さまの私生活をよおく知っている彼が何思ってるんだろうと思ってたら、やっぱり気にしてたんだ。
まひろに恋文を送った道長に対して
「ずーっと気になっててんけど、ダメやったん?」
と尋ねる直球勝負。
「ええねん。フラれてん!」
と道長も意外にあっさり白状した。

百舌彦はこれからも道長の秘密を共有する従者として長く活躍してほしい。

嫌いな人がいる

ちょっと言っていいかな。
あたしは、藤原兼家とか道兼は嫌な奴らだが嫌いじゃない。
彼らは「ドラマの中の嫌われ役」だ。
あれはあれでエンターテイメントであり、需要がある。
実は自分としてもワルは好きなんです。

でーもーさー。藤原為時が嫌いだ。
まひろの父である。

かねてより藤原兼家に命じられて間者として花山天皇の側について動向を探っていた為時。
だが彼は、
「帝はお気持ちが弱られてはります。帝は私を心から信じてはりますねん。そやさかいに、もうわては間者として帝のそばにはよう居いしまへんねや」
だってさ。

ちゃうやろ。ほんまに帝のことを考えてるというより、自分が居心地悪いのが耐えられないから辞めたがってるだけではないのか。

あんたは、自分の妻が藤原兼家の息子に殺されたのに、それに目をつぶり、娘に軽蔑までされながら兼家に雇われてたんだよ。
なのに、居心地悪くてスパイ辞めますて、何だよ。根性がゼロである。
ただの頭でっかちの学者であって、保守の人。
ちょっとイライラする感じ、しませんか。
ドラマの中でのことであって、史実とはかなり乖離してるとは思うが。

さてさて、観るほうは言いたい放題だが、脚本家の先生は大変だと思う。
毎週楽しんでます、大石静先生。

重要なお知らせ
今回の「藤原行成豆知識」はお休みします。
上の投稿文が長すぎた。