明石 白(歴史ライター)

日本史専門ライターです。noteでは日本の歴史に関連することもそれ以外も書いています。…

明石 白(歴史ライター)

日本史専門ライターです。noteでは日本の歴史に関連することもそれ以外も書いています。文調は、ニュートラル、シリアス、コミカルなどさまざまです。書くまでが長い人。方向音痴。よく寝ます。虫を見るのが好きですが、触れません。

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仏の笑顔とは。【ぶつぶつ仏像①】

仏像ってさ、 奥が深いんだけど、素人が見て単純に面白いことも沢山ある。 見仏を趣味としてる人にとってはジョーシキでも、 仏像についてよく知らない人にはちょっとした発見だったりね。 ここでは、仏像について何も知らない人にも楽しめそうな、 単純で面白いことだけぶつぶつ言います。 今日登場するのは、十一面観音。 こんなの。 頭にぐるりと沢山の顔がついてます。 十一面観音は、 頭にある11面の顔で360度に気を配り、 苦しんでいる人を見つけて救済しようとする熱心

    • 「光る君へ」うろ覚えレビュー《第14話:星落ちてなお》

      ■乳母という職業前回の「うろ覚えレビュー」で、あたしは、失職した藤原為時の家に仕える惟規の乳母・いとがやつれもせず丸々としているため、一体どうやって食べてんのか知りたいと書いた。そしたら、14話でいと本人からストレートな回答が返ってきて(ドラマの中でね)びっくりだ。 「私、食べへんでも太ってしまう体質でございますねん。なん言うたらええんでっしゃろか、居場所があらへんといいますか・・・」 そう。食べなくても太る人だったのです。 そしてそれが理由で為時に暇乞いをした。 それにし

      • 「光る君へ」うろ覚えレビュー《第13話:進むべき道》

        ■はじめに今回のお話では、前回からすでに4年の歳月が経っている。 4年て意外と長い年月なんですよ。 ウソだと思うなら、猫に聞いておくれ。 生まれた猫は1歳半で人間の二十歳に同等とされるほど成長し、そこからさらに1年ごとに4歳年を取るっていうからね。 人間の数え年どころではないスピード感の老いである。 例えば、倫子ん家にペットとして買われていた唐猫のこまろなんだが、前回の時点で生まれて1年ほど経っていたとするなら、4年経った第13話では既に36歳らしいよ!  結構いったなぁ、

        • 毛利元就の辞世 戦国百人一首97

          毛利元就(1497-1571)は、安芸国(現在の広島県)の吉田郡山城を本拠地とする国人から始まって中国地方を統べる西国の雄となった戦国大名だ。 元就といえば、彼が死の床についているときに、3人の息子に告げた「三矢の訓」の逸話がよく知られている。 「三矢の訓」とは、毛利元就が長男の隆元、次男の元春、3男の隆景の3兄弟に矢を使って厳しい戦国の世を生き抜くための術をを教え諭した話だ。 一本ならすぐに折れる矢も3本束ねれば簡単に折れないとし、3兄弟に3本の矢のように力を合わせ、毛

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          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第11話+12話:まどう心+思いの果て》

          ■はじめに今回は、11話と12話が一緒くたの「うろ覚えレビュー」となってしまった。ということで、語りたいことは山程あるのだが、ちゃきちゃき進めよう。 今回はドラマ中の耳に残るセリフ(関西風変換つき)を切り口に。 ■源倫子「必ず夫にしますさかいに」どうだろう。この人、源倫子の成長ぶり。 当初はただの良家のお嬢さん、天然丸出しだったのだが、どうしてどうして平安時代の貴族としての常識もたしなみも身につけた女性になったじゃぁありませんか。 父親が失職したまひろは、新天皇の摂政・藤原

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第11話+12話:まどう心+思いの果て》

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第10話:月夜の陰謀》

          陰謀の前半 「プレゼンテーション」安倍晴明のアップから始まった10話「月夜の陰謀」。 花山天皇を早く退位させて、孫の懐仁親王を帝位につけたい兼家に、彼が「策はありまっせ。わての秘策、お買いにならはりますか?」と言って「陰謀」のアイデアを出した人物だ。 安倍晴明はなかなかのビジネスマンだわ。 陰謀を決行するべき佳き日がすぐに迫ってきた。 兼家の計画は完璧だ。 決行のための役割を息子たちそれぞれに振り分け、内裏の見取り図まで用意して、動線を明確に説明して指示もバッチリ。 道隆は

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第10話:月夜の陰謀》

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第9話:遠くの国》

          遠くの国9話のタイトルは「遠くの国」。それは何を意味するか。 「鳥かごを出て、あの山を越えていく」 義賊で散楽師の直秀は言った。 山を越え、海を越えたかの国に思いを馳せていた。 そして今回、直秀は逝ってしまった。一番遠くへ行っちゃった。 きっとそれが「遠くの国」だ。 藤原道長が暮らす東三条殿に盗みに入った直秀と彼の散楽仲間たち。 捕縛され、道長の命により検非違使に身柄を拘束された。 道長は、自分が口を利けば直秀たちを軽い刑罰程度で放免できると考えていたし、直秀とその仲間た

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第9話:遠くの国》

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第8話:招かざる者》

          こまろのその後行方不明の野良猫になったと思われた、源倫子のペット猫こまろ。 薄汚れ、野性味をまし、スレた感じで都の散楽一座のところにでも居着いてしまったかと思われたが、全くそんなことはありませんでした。 8話ではしれっと倫子のもとに戻っていた。これがドラマというものです。 倫子はこまろについている紐をちゃんと持ってくださいね。 実は猫を追いかけ回しては、それがきっかけで藤原道長との結婚話が少しずつ進んでいる倫子。 すでに彼女は道長のことがまんざらでもない感じだ。道長の反応が

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第8話:招かざる者》

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第7話:おかしきことこそ》

          本音で生きてる人々華々しく貴族たちが生きていた平安時代。身分の高い者たちは、戦国時代のようにわかりやすく弓や刀で戦うことは少ないが、代わりに陰謀や策略でが張り巡らされていた時代だ。藤原兼家などを代表として、表と裏の顔を使い分けて、腹を探り合いながら生きている貴族たちは多かった。 そんな中、少ないが清々しいくらい本音で生きている人もドラマに登場する。それが7話でもよくわかったので、代表として2人の名前を挙げたい。 その1 花山天皇 寵妃だった藤原忯子が身ごもったまま子供ご

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第7話:おかしきことこそ》

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第6話:二人の才女》

          漢詩の会道長にとって「大きい方のお兄ちゃん」である藤原道隆。実は彼は大の酒好きで知られるが、ドラマ内でも嬉しそうに酒を飲んでいた。 そんな彼が、自らの政治的立場を強固にするために若い有望な貴族たちの囲い込みを狙ってウケのよさそうな漢詩の会を催した。 そこでは達筆の藤原行成、多才な藤原公任、モテたと言われる藤原斉信、そして藤原道長など新進気鋭の青年貴族たちが揃い、漢詩を披露したのだった。 そしてこの男たちの漢詩の会に、まひろと桔梗も加わったのである。 第6話では桔梗、つまり

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第6話:二人の才女》

          安王丸と春王丸の辞世 戦国百人一首96

          安王丸(1429-1441)と春王丸(1431-1441)は、父親が自害したあと捕らえられ、京への護送途中に殺害された兄弟だ。 父は第4代関東公方足利持氏(1398-1439)で、亡くなった際の足利安王丸は13歳、足利春王丸は11歳。 1441年のことである。 まだ元服前の兄弟たちが何に巻き込まれていったのか、その経緯から説明しよう。 室町幕府の4代将軍は足利義持だった。 そのあとを継いで5代将軍となった息子の足利義量だったが、彼は早世した。残された父親の義持は、そのあと

          安王丸と春王丸の辞世 戦国百人一首96

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第5話:告白》

          直秀がかっこいいんだが。第4話でまひろは、五節の舞いの舞台の真っ最中に自分の母を殺した藤原道兼の弟が「三郎」であり、その人が藤原道長だということを知った。 第5話では、ついに2人はお互いが何者なのかを知った上で顔を合わせることとなった。 そのまひろと道長の二人が満月の夜に落ち合う手引きをしたのは、平安京のルパンこと直秀だ。 例の散楽師兼盗賊である。 一度は手引きすることを断ったくせに、結局はまひろと道長の密会を実現させてくれた。なんだかんだと言って、2人に優しい直秀。身分

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第5話:告白》

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第4話:五節の舞姫》

          花山天皇が突っ走る。ドラマですから。ギアをあげてきている彼が即位し、花山天皇となった。 ドラマの中に表現されているような天皇の奇矯な振る舞いについては、残された説話を参考に創作されたものだ。 アレ、つまり「花山天皇が即位の際、神聖な高御座に女官を引き入れてことに及んだ」というのもそのひとつ。 もしかしたらその即位シーンがあるかもしれない、そしたら一体NHKはアレをどのように表現するのかと期待半分心配半分で、やっぱり期待していた。 が、ドラマにその場面はなく、代わりに源雅信がア

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第4話:五節の舞姫》

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第3話:謎の男》

          実資、朝廷の正義。藤原実資がいい味だしてきていて、観察するのが楽しい。 ロバート秋山の顔がテラテラとしていて、落っこちそうな目玉とぽってりした口の存在感が気になって仕方ない。 今回実資は、平安朝名探偵よろしく藤原兼家と次男の道兼(つまり道長の兄)の画策で、円融天皇に毒が盛られていることをもう少しで見つけそうだったんだが。 やばいと思った道兼が毒を盛るのをストップさせたせいで天皇も健康を回復し始め、実資も毒が盛られた説は勘違いだったかと、案外あっさりと引き下がってしまった。ロバ

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第3話:謎の男》

          弘智の辞世 戦国百人一首95

          弘智(?-1363)は厳しい修行の末に即身仏となった。 「即身仏」をご存知だろうか。 途中で投げ出すことを許されない修行を絶命するまで行い、自らの身体をミイラにして生前の姿を保ちつつ、仏として未来永劫祈り続ける僧のことだ。 弘智法印の即身仏は、新潟県寺泊野積西生寺に現存するが、それが日本で見られる20数体ある即身仏のうち最古のものとなる。「法印」とは、僧の最上位を示す称号だ。 「松」が風に揺れる墨絵が描かれることがあっても、その風の音まで絵として見ることはできない。ある

          弘智の辞世 戦国百人一首95

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第2話:めぐりあい》

          めぐりあい1 藤原道長とまひろ第2話というのは、第1話ほどのセンセーショナルさはなく、どちらかといえばこのドラマに登場する人物の立ち位置を説明するのが目的のような。 ストーリーらしいストーリーはまだない様子だ。 ちゃんと登場人物ひとりひとりの性格や立場の違いを説明しておかないと、ほとんどが「藤原姓」の人々だから、区別がつきにくい非常にややこしいドラマになっちゃうからね。 ついに大人になった道長とまひろ(将来の紫式部)が再会。 そのきっかけは、なんとまひろのスっぽ抜けた履物が

          「光る君へ」うろ覚えレビュー《第2話:めぐりあい》