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「光る君へ」うろ覚えレビュー《第8話:招かざる者》

8話のタイトルなんですけど。
うろ覚えなもので、さっきまで「招かざる」だと思ってました。
藤原道兼がまひろの家にやってきたことを言っていると。道兼はそこそこ嫌われてはいるから、「招いてもないのに突然来やがって」的な意味かと。
ほほう、キツい言われようだなと思ってたら、本当は「招かざる」だったんよね。あー、そうか。
これって藤原道長の東三条の屋敷に入った盗賊の直秀のことですね。
すいません、皆さんご存知ですね。

こまろのその後

行方不明の野良猫になったと思われた、源倫子のペット猫こまろ。
薄汚れ、野性味をまし、スレた感じで都の散楽一座のところにでも居着いてしまったかと思われたが、全くそんなことはありませんでした。
8話ではしれっと倫子のもとに戻っていた。これがドラマというものです。
倫子はこまろについている紐をちゃんと持ってくださいね。

実は猫を追いかけ回しては、それがきっかけで藤原道長との結婚話が少しずつ進んでいる倫子。
すでに彼女は道長のことがまんざらでもない感じだ。道長の反応が楽しみ。
2人の婚姻まであと1年。

9割フィクション!?

ドラマを視聴しておられる賢明な視聴者の皆さんはすでにお気づきだろう。ドラマではまだ歴史的な大事件などは起きていない。
またーりとまひろと周辺の人々の紹介や彼らの社会における立ち位置、関係性について説明されているような状況だ。
あたしたちが心を奪われるまひろと道長との関係、安倍晴明の妖しさ、紫式部対清少納言の対比や我らが直秀の存在だって全てフィクションだ。
現状、あたしたちが一喜一憂しているのは、ドラマの中のフィクション部分にあたる。
史実に沿っているのは、主要人物の名前と位や役職などの設定がほとんど。文句を言っているのではない。
大河ドラマってめっちゃエンターテイメント。

ハート泥棒直秀の罪

大部分がフィクションだとして、その先頭を切って活躍している架空の人物こそ、直秀だ。

我らが直秀は、今回また女性ファンの心を鷲掴みにした。

道長などの青年貴公子たちのように、恵まれた未来を望むべくもない直秀は、自分を取り囲む状況に閉塞感を感じていたのか、都を去るつもりだとまひろに告げた。
ドラマの中で彼以外誰ひとりとして都の外のことなんか考えちゃいない。
だが自分だけを頼りに生きてきた彼は、
「しょせん都は山に囲まれた鳥かごだ。海の向こうには彼の国がある」
と都の外、日本の外に思いを馳せる。

この絵では表現できてないが、きゅんきゅんの場面。

そして、
「一緒にいくか?」(いつものように関西弁には翻訳しないです)
とまひろに問う。
平安時代にテレビはなかったので直秀は気づいていないが、実はこの言葉によってテレビ前で甘く瞬殺された女性視聴者は少なくない(ネット調べ)。

そして、
「行ったろかなぁ」(←関西弁)
とふわふわ答えるまひろに対しすぐさま
「行くわけねぇか」
って直秀が。
笑うんだよ。

女には惚れないはずの直秀のまひろへの思いがこぼれちゃったか。
そして、まひろの中の道長の存在を知っている彼は自虐で笑ったのか。

そんな直秀は、ストーリーの最後に盗みに入った道長の屋敷でつかまり、盗賊の一味であることがバレた。
彼が道長宅で屋敷の構造を尋ねているとき、道長もあたしも直秀が盗みに入る可能性を考えてたけどね。
仲間を助けるために捕まるなんて。
取り押さえられた彼は、道長の前で顔をさらされた。


緊迫感のない捕まった直秀。
自分で描いてなんだが、こんな直秀は知らん。

敵意さえ感じさせるような上目遣いの直秀の鋭い視線。
本人はそれどころじゃないが、色気さえ感じさせられる表情。
盗賊の正体を知った道長は一体どういったリアクションを…?
と思ったら、これだった。

道長の顔。なんか汚かった。

道長の表情に驚愕。
驚いているのでもなく、怒ってるのとも違う。
嫌悪感が顔になったような顔。
「汚い…」
そう思っちゃいました。
こりゃ、次回どうなることか。直秀の運命は?

「人はいずれ別れる定めだ」
直秀は言っていた。胸騒ぎが止まらない。

道兼被害者説と加害者説。

今回8話のもう一人の柱となる人物は藤原道兼だろう。
ついに成長したまひろと、彼女の母を殺した彼が対峙した。

なんか腑に落ちない。
なぜ道兼は急にまひろの父親である藤原為時に近づいたのだろう。
「(天皇の秘書的役割の)蔵人くろうどでも右大臣の子は(天皇に)嫌われる」と漏らしてみたり、彼が父親の兼家から虐待を受けていたことを告白したりして。なぜか無邪気に為時の家にまでやってきたりして。
あれれぇ。道兼ってこんなに素直な人でしたっけ?
本当は可哀想なバックグラウンドを持つ人だったから、性格にも歪みができてしまった悲しい人、という説で行くのですか。

あたしの性格が悪いと言われそうだが、藤原兼家と道兼が口裏を合わせ、兼家は息子の道兼を嫌っているというひと芝居を打ってる説ってどうだろう?

為時は前回、もうこれ以上花山天皇の状況を兼家に報告するスパイはできないと兼家に断っていたのだ。
そこで兼家は、為時の代わりに道兼を花山天皇に近づけるため、わざと父親に嫌われた息子を演じさせて、為時と懇意になり、為時が口添えして道兼を花山天皇に近づけしてくれるよう利用したのでは…?
そんなこと考えるのは性格悪いか。
明石白ではなく、もはや明石黒だろうか。

ひとときのあいだ仲良しになる2人

だってぇ、この先道兼は大芝居を打って花山天皇と親しくなり、天皇を陥れる事件を起こすことになるんだもん。

ま、そんな疑惑の、そして不思議な道兼の行動のひとつが為時宅への訪問であった。まひろの母であり為時の妻を殺した男が、その家族の住む屋敷に遊びにやってきたのだ。
客人である道兼に琵琶を弾くまひろ。
話題はまひろの母親のこととなった。だが、まひろは母親が道兼に殺されたことはおくびにも出さずに無難に会話を終える。頑張ったね。

べーん、べーん、べーん。
え。それだけ?

だが、あたしはその結果をうすうす予想はしていた。
道兼が母を殺したことは、一度まひろが道長に思い切りぶちまけたときに、道長の考えが彼女に寄り添ったものだったために、ガス抜きができている。
もちろん恨む気持ちは消えなくても、大人になった彼女は、道兼と正面から対峙することを我慢できた。賢明といえるだろう。

まひろに語りかける道兼は、似合わないくらい優しげだ。
あたしゃ、どうもあれは本当の道兼じゃない気がするんだけど、違うんかな。やっぱり虐待を受けて性格がクズ的になっちゃった可哀想な男なのか。

まひろには少しがっかり。琵琶のことは全く知らないのだが、もっとすごいバチさばき(?)を見せてくれると思ったら、そういうことはなかった。
べーん、べーん、べーん。
って感じ。
で、お次も、べーん。
その次も、べーん。
こういうのが琵琶の曲なの?
「平家物語」を語る琵琶法師の琵琶はもっと激しいイメージだったので。
あれって上手いの?

べーん。べーん。べーん。

藤原行成豆知識
何度でも言いたいが、藤原行成は将来道長が政界のトップに立ったとき、天皇にも信頼され、道長にも頼られためちゃくちゃ切れる官僚となる。
行成は、道長が平安貴族社会で頂点を築く上において、政治的には藤原公任や藤原斉信よりも重要な役割をはたした影の功労者だ。
行成が打球に加わらなかったのも、公任や斉信との立ち位置の違いをしめしたのかも。それともホントに腹痛か。

重ねて言うが、行成は花山天皇とは祖父を同じくする。また、現在ドラマで問題となっている天皇の側近藤原義懐よしちかは実は行成のおじさんである。