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ことばの恐怖とフロリダ効果【触れる言葉は選ぼう】

最近「しんどい」を連呼している自分に気づいた。
言霊、という言葉もあるように、言葉は僕らが思って以上に影響力を持っている。
故に、発する言葉には注意が必要だ。

今日はイデオモーター効果を例にあげつつ、接する言葉について考えてみよう。

イデオモーター効果とは

イデオモーター効果はプライミングの一種である。

プライミングは聞いたことがあるだろうか。
先行刺激(プライム)によって、思考や行動、認知バイアスに影響が出ることだ。

例えば、事前に体に関する英語をいくつか聞いていると、「Flog」よりも「Hair」に対する反応速度が上がるなどの影響が見られる。

中でもイデオモーター効果は、言葉、そしてそれに連なるイメージによって起こるプライミングのことである。

有名なのはフロリダ効果だ。

心理学者のジョン・バルフらがニューヨーク大学の大学生を対象にして行った実験で明らかにされたものである。

実験では学生たちに丹後セットの中から四つの単語を使った短文を作るように指示した。
このうち一つのグループに対しては、「フロリダ・忘れっぽい・シワやシミ・ハゲ」などアメリカにて高齢者をイメージしやすい単語が多めに混ぜられている。

そしてその後、別の課題を実施すると言って、別の教室に学生たちを移動させた。
実はこの時の移動速度、つまり歩行速度を計測していたのだ。

結果は、高齢者をイメージしやすい単語で文章を作っていたグループの歩行速度が他のグループの学生よりも遅くなっていたのである。

これは、「フロリダ」や「忘れっぽい」から「高齢者」をイメージした学生たちがそこからさらに高齢者の歩きの遅さなどをイメージしてしまい、それが実際の行動に影響を与えたのだ。

ちなみに、このグループの学生たちに実験で使われた単語群が「高齢者・老人」につながる共通性があることに気づいたかを聞いたところ、誰もその共通線には気づいていなかった。

イデオモーター効果は、無意識下において言葉が行動に影響を与えていることを明らかにした。俺も直接的な言葉からだけではなく、言葉からさらに連想されるイメージによっても行動は影響を受けるのだ。

冒頭で「しんどい」を連呼していたことに触れた。
僕はこの「しんどい」からイメージを膨らませ、実際に体力を消耗してしまっているのかもしれない。

言葉には大きな力がある。
そして僕らは僕らが思っている以上に言葉によって影響を受けているのである。

触れる言葉に注意する

僕らは日々多くの言葉に触れている。
周りの人の話し声、本、テレビ、 Twitter、 Facebook、 また自分の発する言葉など。

そしてそれらの言葉に無意識に大きな影響を受けているのだ。

ネガティブな言葉からはネガティブな影響、ポジティブな言葉からはポジティブな影響を受けている。

したがって普段から触れる言葉に気をつけなければならない。

あなたが Twitter で売れている言葉たちは、あなたにとって望ましいものだろうか。
もしあなたの行動にネガティブな影響を与えてしまうものが多ければ、何らかの対抗策を考える必要があるだろう。

言葉が変われば心が変わる
心が変われば行動が変わる
行動が変われば習慣が変わる
習慣が変われば人格が変わる
人格が変われば運命が変わる

心理学者ウィリアム・ジェームスの言葉だが、いろいろな所で使われていて、もう誰の言葉かよくわからなくなってきたものだ。

何度も言うが、言葉というのは僕らが思っている以上に強力だ。
相手を傷つけるとかそういう話ではない。

自分に対して、どれだけ言葉が影響を与えているのか。
おそらく僕らはそれを正しく認識することはできないのだろうが、その努力はすべきだろう。

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