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いつか、夜中歩いて海辺の朝日を見に行く散歩旅をしようよ

数年前、高校を卒業した。
「また会おうね」「元気でいてね」と口々に言い、卒業式を終えた。
ほとんどの人と疎遠になった。私の生活の中には高校のみんながいて、思い出す日が多くあったけど、どうせ私を思い出す人なんていないだろ、と半ばひねくれて誰とも連絡を取らずにいた。
そして今年、同窓会があった。来れない人ももちろんいて、7割くらいのクラスメイトが集まった。私はやはりひねくれていて、同じくひねくれている友達と食事に行き、同窓会の終わりにひょっこり顔を出すことにした。
何を思われるかな、びっくりするかな、今来てどうするのなんて呆れられるかな、いろんなことが頭をよぎり、やっぱり帰ろうか悩んでいるうちに同窓会が終わったようで、クラスメイトがエレベーターから降りてきた。
みんな、目を丸くして私を見た。囲まれた!と思った次の瞬間、みんな次々に「元気だった⁉」の一言を口にした。担任の先生がおそらく一番「死亡説」を信じていた。最も驚いた表情をしていたから。

すごく嬉しかった。これを承認欲求と呼ぶのはなんとなく好きじゃない。クラスメイト一人一人の生活の中に少しだけ私が存在していて、あの時と変わらない面々がそこにいたことにいたく感動した。つい大声になって「元気だよ!!!!」と答えた。そのクラスメイトの中の一人は、何故か涙を流していた。

数か月後、この私と会ってなぜか泣いた子と旅行に行った。この話はまた今度。それから週1で会うようになり、いろいろなところに出向いた。

とある日、彼女はぽつりと言った。
「いつか、夜中歩いて海辺の朝日を見に行く散歩旅をしようよ」


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