夜風あき

人生で幾多ある節目の記録 学部4年生(5年目)

夜風あき

人生で幾多ある節目の記録 学部4年生(5年目)

マガジン

  • 大学嫌い

    現在学部四年生。一年生を二回やった。入学から現在までの記録。ADHDグレーゾーン(2021年診断済)、双極性障害の診断を受け、やっと卒業が見えてきた。 これだけは言える。退学はするな。

  • 一日二万歩旅

    4年ぶりに連絡を取った友人。今ではほぼ毎週会って、一日二万歩を目安に散歩旅をしている。その旅の記録。

最近の記事

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いつか、夜中歩いて海辺の朝日を見に行く散歩旅をしようよ

数年前、高校を卒業した。 「また会おうね」「元気でいてね」と口々に言い、卒業式を終えた。 ほとんどの人と疎遠になった。私の生活の中には高校のみんながいて、思い出す日が多くあったけど、どうせ私を思い出す人なんていないだろ、と半ばひねくれて誰とも連絡を取らずにいた。 そして今年、同窓会があった。来れない人ももちろんいて、7割くらいのクラスメイトが集まった。私はやはりひねくれていて、同じくひねくれている友達と食事に行き、同窓会の終わりにひょっこり顔を出すことにした。 何を思われるか

    • 大学嫌い#5

      インターネットで困っていることを調べると、検索結果には「ADHD」と出てくる。当時の私は発達障害についてあまりにも無知だった。発達障害の診断って多くの人が当てはまるというし、生きづらいと感じるまでだらけてなまけて逃げ続けてきた人間が私、だとしたらどうしよう。でもなにかこの生きづらさに名前がついたら、私はいくらか生きやすくなる。そう信じて診断を受けに専門機関に赴いた。 診断内容はくもん(塾)の幼稚園児がやるような内容だった。様々な試験を行い、その結果から発達障害か否かを診断す

      • さめた真夜中の街

        友人が「海辺の朝日を見に行く旅をしよう」と言ってから数か月たった。 ついに、それを遂行するときが来た。 秋の入口、少し肌寒くなった10月の金曜日。 私と、友人と、同級生(男)で朝日を見に行こうと約束した。 終電で出かけ、電車に揺られて歩き始める駅を目指した。 金曜日の夜ということもあり、酔っぱらっている人が多く乗っていた。 私は大学生活の中で飲み会というものを体験したことが無かったので、 金曜日の夜を謳歌している自由な大人たちがうらやましいと思った。 途中の駅で友人と合流

        • バイブルがいくつかあって#1

          誰しも、人生を歩むうちにぴたっとくる1冊に出会うと思う。出会うまで、それはどんな作者か、フィクションかノンフィクションか、エッセイか、漫画か絵本かもわからない。その本に出会って読み終えてみて、あなたは妙に納得したり、人生観が変わったり、この人生の歩み方で間違ってなかったと自分自身を肯定したりすることが出来るだろう。 私にもバイブルと言える本がいくつかある。そのなかの1つが、「ごはんのことばかり100話とちょっと(著:よしもとばなな/朝日新聞出版/2009年発行)」である。ご

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        いつか、夜中歩いて海辺の朝日を見に行く散歩旅をしようよ

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        • 大学嫌い
          5本
        • 一日二万歩旅
          4本

        記事

          26時の静けさ 後編

          私は鬱になる前、進級や友人、バイト、人間関係、お金のことなど毎日いろんな思考を持ちながら大学の講義を受けていた。落ちこぼれることを常に怖がり、いわゆる意識が高い学生になっていた。意識を高く保つには多くのエネルギーが必要である。自分を愛す余裕も無くなり、鬱状態になってしまった。進級できず、友人とも一方的に疎遠になり、学費を1年多くかけて大学に行く私の価値がわからなくなってしまった。人の顔色を窺うようになってしまった。家族も、他人にも。 「死は救済」 鬱になると誰もが行きつく

          26時の静けさ 後編

          26時の静けさ 前編

          大学1年生。華々しい人生の始まりとも思える時期に、私は鬱状態になった。外に出られず、もちろん大学にも行けずに一日中自宅のベッドで過ごした。不眠に悩み、でも何かしないと本当に社会から取り残されてしまうと思い、バイトには行っていた。バイトの終わり、帰宅時間は5分ほどだったが毎回泣いて帰っていた。鬱なので頭の中の整理が出来ず仕事の質はとても低かった。何もできなくなってしまった。無価値な人間になってしまったように思い込み、さらに仕事の質が下がった。寝たくても寝れず、朝4時に寝て6時半

          26時の静けさ 前編

          犬を飼った話

          中学3年生の時、うちに犬がやってきた。少し大きめの。柴犬より一回り大きいゴールデンレトリバー。賢くて物覚えはいいけれど、たまにアホなところがたまらなく愛おしい。家族で犬を飼うことは両親の念願の夢だった。 犬って、生まれてすぐに売りに出されて、数週間で大きくなるうちに値段がどんどん下がっていく。ペットショップ業界の是非はまた今度書くとして、私たちは今の愛犬がいるペットショップに足しげく通った。最初はかわいい子がいる、しかもメスだしおとなしくておっとりしてる、と、まだやわやわな

          犬を飼った話

          大学嫌い#4

          2年生になった。 私は大学に入ってからというもの自分の歩んできた人生が他人より数歩、いや数十歩以上離れていることに気づき始めていた。もちろん背中を追いかける形で。できないこと、苦手と思うことが二十歳を越えてもできるようにならなかった。電車に乗っていて降りる駅を何度も間違えたり、課題を計画的に進めて提出することが出来なかったり、感情のコントロールが難しかったりといった例が挙げられる。今までの学生生活では「なんとなくだらしないなこの人」で済んでいたことが、大学に入ってから浮き彫り

          大学嫌い#4

          『北北西に雲と往け』を読んで

          5月中旬、祖母を亡くしてすぐのことである。私は自分の心の修復に躍起になっていた。早くこの心の痛みを何とかしなければ、私は祖母を亡くした悲しみや苦しみにこの先しばらく浸ることになってしまいそうで、大学の単位が危機に面しており早く健康な精神状態にならなければと焦っていた。 幼少期、亡くなった祖母からクリスマスプレゼントやお年玉の代わりとして本が贈られた。学生時代の趣味が読書だった私は、病んだ精神状態を慰める手段として読書以外の方法を思いつかなかった。 一口に本と言っても、沢山の

          『北北西に雲と往け』を読んで

          人生がはじまる時に

          8月下旬、週1で会うようになった友人が急に言った。 「いつか、夜中歩いて海辺の朝日を見に行く散歩旅をしようよ」 私は快く返事ができなかった。夜中歩くなら、男性が1人いる必要がある。今の日本で、夜中に女性だけで歩くなんて自殺行為だ。曖昧に返事をすると、友人は「練習したくね?」と付け加えた。賢い女である。自分達の徒歩の実力を測ろうというのだ。これにはすぐに合意した。私たちは何かと海辺の太陽を見るのが好きなので、鎌倉から江の島まで歩くことにした。距離にしておよそ7.2㎞、1時間

          人生がはじまる時に

          大学嫌い#3

          大学が嫌い。 大学に出向けなくなった当時を今振り返ると、大学のキャンパスというものは私には不向きすぎる。とにかく広くて頭の中に地図が描けないし、講義室がどこだか誰に聞いてもわからないし、昼食時は食事の匂いがたちこめて気持ちが悪くなるし、電車に長い時間乗らないと行くことが出来ない。電車は乗り間違えるし、講義室は覚えられなかった。履修登録は命がけだ。今でもそうだ。結局、コロナ禍という今までにない新しい生活スタイルが登場するまで、私は戸惑いながら大学に通った。これは「大学ってそうい

          大学嫌い#3

          君を知る旅

          2023年7月。大学の前期も終わり、人生最後の夏休みが始まる。今までできなかったことをして、夏休みを充実したものにしたい。 考えてみると、今までの夏休みは実習ばかり行っていた年が1年とそれ以外はコロナで外出自粛だったので、それらしい外出をしてこなかった。 「旅行行かない?」 高校卒業後、約4年連絡を取っていなかった友人に突然、私からLINEを送った。友人はもう社会人として働いているし難しいかと思ったが、快諾してくれた。歓喜。幼少期から私は何かとコンプレックスをこじらせていて

          君を知る旅

          大学嫌い#2

          大学進学は、敷かれたレールの上をただ進むだけのことだった。特殊な高校に通っていたこともあり、進学以外の道は選択肢に入れられず視野に入れないような進路指導をされた。これは文句を言いたいわけではない。 私の通った高校は推薦の枠がおそらく他の高校より多く、もちろん成績順に行きたい大学へ出願することが出来た。将来実現したい職業によって大学を選んだ。もちろん私も例に漏れず、推薦を勝ち取るために成績が良くなるように励んだ。そして推薦で関東圏内の大学へ進学した。 「大学って人生の夏休みだ

          大学嫌い#2

          大学嫌い#1

          大学入学当時、私は希望に満ちた学生だった。大学生活は人生の夏休みと聞いていた。沢山の友人や私と気が合う恋人、そして教授に恵まれると信じて疑わなかった。でも今ではそのすべてが妄想であり、ほとほと私は人付き合いの苦手な人間なのだと知っている。 前提として、幼少期から学生時代までの話をしよう。 まず保育園、石ころと花を摘んで遊ぶような子供で、服はいつも姉のおさがりだった。おさがりって親は助かるのかもしれないが、着させられる当事者としてはとんだ迷惑である。姉は体が大きく、私は生まれ

          大学嫌い#1

          初投稿

          こんにちは。夜風あきです。 2023年5月、泣けて泣けて眠れない夜が何度もありました。 秋の夜長、時には感傷的になることもあるかもしれません。 そんな夜のお供になれたらと思います。