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認知症と秋 そして冬 火の用心と酉の市の思い出

⬛︎認知症と秋 そして冬

認知症の父の冬は、父よりも周りの人が気をつけないといけないことがたくさんあるので、、、 
認知症の親を持つ家族達に参考になれば幸いです。 
タバコとコーヒーが大好きな認知症の父は冬になると益々大変な事に。 
遅く起きた朝。全然起きてこない。喉が乾いてやっと起きてくる。ゆっくり起き上がって向かう先はコーヒーを買いに。暖かいコーヒーが呑みたいが為に缶コーヒーを温める為キッチンへ向かう。キッチンにあるやかん、もしくは鍋に缶コーヒーを入れてガスの火をつけたままどこかへ去ってしまう。これが危ない。 
カタカタカタカタカタカタカ………..
火をかけた事に気づかずにやかんや鍋を空焚きしたまま、こちらが気づいて慌てて火を消す。 
火を扱っている時位はじっとしていてほしいのに、つけたままどっかに行ってしまうのが本当に厄介だった。 
何度も何度も父にコーヒーを温めている事、忘れないで!って言ってるのにすぐ忘れてしまう。 
こんな事が毎日起こるので冬は厄介である。やかんか鍋のカタカタ言う音を聞いてあれ?ってなったり、煙が上がっているのを見て慌てて消したりと普段使わない火の素をつかうようになるので注意が必要だ。 
電気ポットを使用するように促すが、缶コーヒーしか飲みたくないのだそうで、一切使ってくれなかった。 
コーヒーも自分でつくればいいのに缶コーヒーかコンビニのコーヒーに限定され、それ以外は飲まないので厄介だ。冬は毎日コーヒーを温める為にやらかすので、火の元の安全の為、目が離せない。  

⬛︎父の居ないはじめての冬
 
布団からあまりにも出ない。寒いから益々引きこもっている。引きこもっていると言ってもテレビをひたすら観ているだけなのだが、、、 
火の元が気になるので部屋に行ってみたらなんと! 
寝ながらタバコを吸っているではないか、、、
流石に危ないから注意を促す。 
近くに消化器を置いておく。よく見ると布団の中からライターや焦げた服なども出てきた。これは困った。 
なるだけタバコはベランダで吸うように促したが寒くなると部屋の中で吸ってしまう、、、 
それも起き上がるのも面倒だから布団の中で、、、 
うちはたまたま運が良く、火の用心の願掛けを毎年済ませたり、大事故には至らなかったが、タバコを吸う認知症の人の場合は冬場は注意が必要。毎年秋、冬になる度に神経を尖らせ、 
父の部屋の火の元をチェックしていたが、、、、  
父は今年の夏、蝉がけたたましく鳴る頃に息を引き取った。 
そんな訳で今年はじめて父の居ない静かな秋を迎える事になった。 
父と一緒に出かけた酉の市。毎年行っていたが、
コロナで行けなかった年から行けなくなり、、、 
酉の市が復活した年から父が行けなくなりなんだか寒さも相まって寂しい。 
父に買ってもらった酉の市までの道のりや一緒に買いに行った時のこととかは鮮明に覚えている。父は前夜祭が好きでいつも早い時間から行きたがる癖がある。夜がまだ青みがかっている空の下で、酉の市の神社へいつもより足取り軽く歩いている。ガキの頃から一緒に良く歩いた新宿の街。昔路面電車があった道はどこだ?!と言いながら歩く父。 
今歩いている道が路面電車があった道だよ、 
と教えるとえ?そうなの?そんなはずはない、と大体の事は否定してくる。鳥居のある出入り口のある方向に行こうとすると、父は違うと断り自分の歩きたい道があるようで大きく遠回りしながら鳥居の前にゆっくり辿り着く。たくさんの熊手が飾られる出店の中からキラキラした金色のお神輿や七福神の居る熊手を手に取りご祝儀も渡して三三七拍子!幸せを込めて手を合わせた。



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