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タジキスタン・パミール再訪記5 〜アルマトイ(カザフスタン)→ドゥシャンベ到着〜

アルマトイ(カザフスタン)での一泊後は、いよいよ今回の目的国であるタジキスタンの首都ドゥシャンベへのフライトである。機中からは、最終目的地のパミールの山々も見ることができるはずである。

朝のスマホ

2023年4月23日(日)、アルマトイでの朝は、外がまだ暗いうちに目が覚めた。

二度寝できる気がしなかったのでスマホをいじっていると、ベッド(私は上段だった)と壁の隙間からスマホを下に落としてしまった。下のベッドの大きめの体格の兄ちゃんは眠っており、起こしたり体の上から手を伸ばしたりするのは気がひける。ベッドの下からも手が届きそうにない。とりあえず外がもう少し明るくなって下の兄ちゃんが目を覚ますのを待つことにした。

それなりに待った後で、下の兄ちゃんが目を覚ました気配がした。ベッドを降り、兄ちゃんにちょっと失礼と伝えてスマホを無事回収できた。

スマホでタジキスタンで使えるSIMについて調べていると、「Airalo」という世界各国向けのeSIMのサイトを見つけた。タジキスタン向けのeSIMは「Sarez Telecom」という名前で、調べてみたところ情報はほとんど無くどうも正体のはっきりしない小さな会社のようだったが、他の国のeSIMについては評判も悪くないようなので、試しに購入してみることにした。名前を冠しているサレーズ湖周辺で使えるのかどうかは分からないが(何となく使えない気がする)、少なくともドゥシャンベ市内でなら使えるだろう、とその時は思っていた。

スマホでは、今の宿から空港へのバスの経路や、近くにあるATMも、それぞれオフラインアプリで調べておいた。

宿から空港へ

朝食は無しのプランなのでそのまま宿を後にし、まずはバスを乗る予定のバス停の近くにあるATMへと向かった。クレジットカードでテンゲ引き出しを試み、無事に2000テンゲほど入手。ただし、この2000テンゲは結果的に使わなかった。

朝、宿の前の道
宿の近くの道にて。昨日の夕方はにぎやかだったが、今は休日の朝ということもあってか、人の気配はあまり無い。
2000テンゲを入手したATM

バスを途中で一度乗り換え、空港に無事到着。空港のレストランは多分高いので、空港到着までにどこか朝食が食べられそうなところは無いかと思ったが、見つけられなかったので空港で食べることにした。

空港方面に向かうバス車内より。アルマトイも山がきれい。

空港のレストラン

チェックインを済ませて空港のレストランに向かうと、レストランのスタッフのお姉さんの一人が、どうも去年アルマトイに来た時に空港のPCR検査所の受付をやっていたお姉さんと似ている気がする。お姉さんも私を見るとなんだかニヤニヤしている気がする。同じ人だろうか。カザフスタンに来る日本人はあまり多くはないだろうし、ロシア語を話す日本人となると更に少ないだろうから、あちらもこちらのことを覚えているのかもしれない。

レストランのお値段は、予想通り?やや高め。マンティ(タジキスタンではマントゥ)を注文したが、無いとのことだったのでメニュー表で近くにあった、似た雰囲気のヒンカリを注文した。ヒンカリという料理名は聞き覚えがあるもののどこの料理なのか忘れていたが、ジョージア(サカルトヴェロ)料理だった。

アルマトイ国際空港にて。よくあるあれ。
空港のレストランで食べたヒンカリ。いろいろなペッパー類をかけて味を楽しんだ。
飛行機搭乗前、アルマトイの山々を望む。
ドゥシャンベ行きのエア・アスタナ機に乗り込む人々
さらばカザフスタン

ドゥシャンベへのフライト

アルマトイからドゥシャンベへの飛行機は、進行方向左側の窓際の席を予約しておいた。パミールの山々が見えるであろうと期待して選択した席である。

飛行機の窓からの眺めは、パミールに着く手前の山々もかなりの山々だった。座席のモニターの地図、スマホの位置情報(機内モードでも一応使えていたが、反応はかなり悪い)を参考に、窓から見える光景がどのあたりなのかを探った。パミール高原と思しき場所に差し掛かり、ホログの方角を探ろうとしたが、ホログがどこかは結局分からないような、何となく分かるような……

アルマトイ→ドゥシャンベのフライト機内より。ビシュケク(キルギス首都)か?
キルギス・中国国境付近の山々?
山と谷。多分まだキルギス・中国国境あたり。ところでこのスマホのカメラで撮った写真は、どうも実際とは違った発色になっている。カッコ良い発色と言えばカッコ良い発色かもしれないが、時々微妙に思うこともある。
このあたりはもうタジキスタン側パミールか? 左奥の谷になっている部分がムルガブ方面のような気が何となくする。
手前の川はヴァフシュ川。奥の谷のどれかが、ホログ方面のパンジ川の谷かもしれない。
パミール高原の山々もそろそろ終わり。フライトも到着地が近づいてきた。
緑に覆われた丘と家々、雪を頂いた山。特に緑が美しく(この写真ではややくすんだ色になっているが、実際は新鮮な緑色だった)、昨年夏に来た時とは全然違う印象を受けた。なんだか写真や映像でよく見るスイスの光景に似ている気がし(※私はスイスは未訪問)、「中央アジアのスイス」という言葉が思い浮かんだ(なお、「中央アジアのスイス」は通常はキルギスのことを指すらしいが、山に関して言えばタジキスタンのほうが本場ではないか、と個人的には思っている。スイスもキルギスも未訪問なので比較は難しいが。。。)。
ドゥシャンベには西側に回り込んでから着陸態勢へ。ドゥシャンベ西部の貨物ヤードが眼下に見えた。
ドゥシャンベ上空
ドゥシャンベ国際空港に到着。ターミナルビルの「フルードゴーヒ・バイナルミラリイ・ドゥシャンベ(ФУРУДГОҲИ БАЙНАЛМИЛАЛИИ ДУШАНБЕ)」というタジク語(タジク・ペルシア語)表記に、ペルシア語好きとしてはホームに来たような感じがした。

ドゥシャンベ到着

ドゥシャンベの空港到着後は、特に他の人よりゆっくりしていたわけでもなく、何かに手間取ったということも無かったが、なんだかんだで入国審査では最後尾に並ぶことになってしまった。入国審査を終えたのは最後の一人かそのあたりだった。前回は入国審査後のターンテーブルで荷物がなかなか出てこなかったが、今回は既に出てきていてターンテーブルから降ろされていた。荷物検査の人も、仕事終わり的な雰囲気を漂わせていた。

空港では、今朝購入したAiraloの「Sarez Telecom」のeSIMでネットに接続しようとするが、どうもこうもうまくいかなかった。ひょっとしたら最初はWiFiが必要なのかもしれない、と思い、とりえあえずは今日の宿に行って、それでも駄目なら現地SIMを購入することにした(なお、AiraloのeSIMは容量があまり多くないので、元々現地SIMは購入する予定でいた)。

前回はパミール出身の友人のAさんが空港まで迎えに来てくれたが、今はAさんはタジキスタンにはいない(他の知り合いも今はドゥシャンベにはいない)。海外は基本的に一人旅の私にとって、現地で一人でいろいろ対処することは慣れたことのはずだが、何となく「はじめてのおつかい」の気分がした。

空港から宿へ

今日の宿は、パミール行きのタクシー乗り場のすぐ横にあり、空港からは歩いて行く予定である。ホテルを予約する時にレビューで「空港から歩いて行ける距離」と書いてあり、「パミール行きタクシー乗り場ってそんなに空港から近かったの?」とその時初めて気付いた。それまでは、ドゥシャンベの空港のターミナルビルは空港の南側(パミール行きタクシー乗り場を含むドゥシャンベ中心部方面とは反対側)だと、去年実際に現地に行っているにもかかわらず思い込んでいた。実際にはターミナルビルは空港北側で、パミール行きタクシー乗り場(及び今日の宿)は本当にすぐ近くである。

ドゥシャンベ国際空港ターミナルビル

空港から出て歩いてしばらく行ったところで、両替をしていなかったことに気付いた。宿に着く手前のどこかで両替しようと思ったが、両替できそうな場所は発見できなかった。宿がある程度近づいてきたところで、何かが喉に入ったのか、急に激しく咳が出るようになった。今回もまた病気か、と思ったが、宿に着く頃にはやや落ち着き、その後は収まった。

ドゥシャンベの宿にて

ドゥシャンベ駅東側の線路を歩いて渡り、去年の夏以来となるパミール行きタクシー乗り場の入口ゲートを懐かしく感じつつ、今日の宿に到着した。

パミール行きタクシー乗り場すぐ隣なので、ひょっとすると宿の人はシュグニー語話者かもしれない、と少し期待していたが、宿の受付の人が他のスタッフと話している言葉はいったい何語なのかさっぱりわからなかった。タジク語でもシュグニー語でもない言語の可能性もあるが、単にドゥシャンベ訛りのタジク語という可能性も十分にある(前回も最初はドゥシャンベっ子のタジク語がタジク語に聞こえなかった)。

とりあえず私は日本語訛り(語彙面ではおそらくイラン訛り)のタジク語で受付の人とやりとりをし、受付を済ませた。受付の人からは「タジク語が話せる人」と認識されたようである。案内された6人部屋のドミトリーは、窓の外に線路が見え車両が佇んでいるという、鉄オタの私としては嬉しい部屋だった。

宿のドミトリーのベッド(上段)より

宿にはWiFiがありネットに接続できたが、AiraloのeSIMは相変わらず使えないままだった。

部屋でしばらく休んだ後、両替がしたかったので、どこで両替が可能か受付の人に聞いたところ、この場で可能とのことだった。両替はレート通りの100ドル1091ソモニ。商業目的では恐らく不可能な優良レートである(夜に再度100ドルの両替をお願いしたところ、今度は1090ソモニだった。リアルタイムでレートが変わったのだと思う)。昼食もまだだったので、タジク料理のレストランが無いか聞いたところ、日曜日なので多分閉まっているが駅方面に100mくらい歩いたところにあるとのことだった。

ソモニの現金を入手した私は、宿を出て駅方面へと向かった。まずは昼食と現地SIMの購入である。

(続き)

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