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パミール旅行記4 〜カザフスタンからタジキスタン(ドゥシャンベ)へ〜

日本を出発した私は、韓国を経て無事にカザフスタンのアルマトイに到着した。人生初の○○スタン諸国入国である。ここで一泊し、翌日のフライトでタジキスタンの首都ドゥシャンベへと飛ぶ予定である。

(前回までの話)
パミール旅行記 1 〜序章〜
パミール旅行記 2 〜準備編〜
パミール旅行記 3 〜日本からカザフスタン(アルマトイ)へ〜
(記事一覧)
タジキスタン・パミール旅行記

アルマトイ空港周辺の朝

ホテルの朝食

2022年8月10日、人生初のカザフスタンでの朝を迎えた。

ホテルでの朝食後、近くにある「Ramazan」というペルシア語文化圏的な名称のスーパーマーケットに行き、イヤフォンが無いかチェックすることにした。

天気は曇り空。ホテルを出て地図アプリを参考に「Ramazan」を目指し、特に迷うこともなく到着できた。

スーパー「Ramazan」。「Ramazan」は、日本では一般に断食月として知られているイスラム教の聖月「ラマダーン(Ramadan)」のペルシア語圏における呼称である(中央アジアは文化的にペルシア語の影響が強い)。「Ramadan」の「d」の音は、イスラム初期には「d」と「z」と「r」の混ざったような独特の音で、アラブ人にしか発音できないとも言われている音だったが、ペルシア語に入るとよくある「z」の音に合流した。現代標準アラビア語では「こもったd」というアラビア語独特の音で発音され、引き続きアラブ人にしか発音できない音と言われることもあるがそこまで難しくないと思う。

スーパー「Ramazan」の入口には、店内でのマスク着用を要請するステッカーが貼られていたが、店内ではお客も店員も誰もマスクをしていなかった。

スーパー内を一周すると、出口付近でイヤフォンが見つかった。安価であり、クレジットでの支払いも可能だったので購入(テンゲはまだ持っていなかった)。スーパーを出ると、小雨が降っていたが、ごく僅かであり、あまり濡れることなくホテルに戻ることができた。

スーパー「Ramazan」近くの道
ホテル近くの道。主要道路から少し横道に入っている。
宿泊したAlmaty Transitホテル

チェックアウト後、アルマトイの空港へ。

ホテルから空港への道。昨夜はここを空港からホテルへと向かった。
アルマトイ国際空港。向かって右側にはロシア語で空港名が書かれている(向かって左側ではカザフ語)

飛行機の出発までやや時間があるが、荷物もあるし、どこかに出歩けるほどの時間でもないので、飛行機の時間まで空港内で待った。空港では10ドル分ほどテンゲに両替し、コーラを購入した。

アルマトイ国際空港にて。最近あちこちでよく見かけるやつ。
空港内のベンチにはソーシャルディスタンス関係のステッカーが貼られていたが、誰も気にしていない模様。

空港でのチェックインにはワクチン証明またはPCRが必要だった。ワクチン証明の提示で特に問題なくチェックインを済ませることができた。

出国手続き後エリアでは、時間もお昼を過ぎていたので、軽食コーナーでチーズ入りクロワッサンと果物ジュースを購入して食べた。クレジットも使えたが、先ほど両替したテンゲの現金があるのでテンゲで払った。

出国手続き後エリアで軽い食事。あまりお腹が空いていなかった。
出国手続き後エリアの様子。広告はLG等のものがあったが、日本企業のものは私の気付いた範囲内では見当たらなかった。最近は国外に出る度に、日本の存在感の低下を感じている気がする。
ドゥシャンベ行きのソモン航空の飛行機

ドゥシャンベへのフライト

ドゥシャンベ行きソモン航空216便の出発時刻になり、飛行機に搭乗した。アルマトイに到着した時のアシアナ航空は機内では全員マスク着用だったが、今回はマスクを着用している乗客はほとんどいなかった。

飛行機は離陸時に一回やり直しをしたようだった。飛行機の遅れが気になった。ドゥシャンベでは、知人のAさんが空港に私を迎えに来てくれることになっていたが、この飛行機にはWiFiは無く遅れても連絡が取れない。また、16時までにドゥシャンベのOVIRに到着すればパミール・パーミットを当日取得できる可能性がある、という情報をどこかで見ていて、淡い期待もしていたので、そちらも気になった。しかし、飛行機に乗ってからはトイレにも急に行きたくなってしまい、主にはそちらの理由で早く飛んで水平飛行になって欲しかった。

ソモン航空216便機内
窓の外を望む。多分ドゥシャンベからそんなに
離れていないタジキスタン国内。

今回の飛行機にはスクリーン的な設備は無かったので、正確な現在位置は不明だったが、何となく感覚的にドゥシャンベが近づいてきたのではないかと思われる頃になると、飛行機はやたらと旋回を始めた。タジキスタンは世界屈指の山岳国であるので、山を避けるためだろうか。正確な理由は不明である。

ドゥシャンベ到着

飛行機は約30分遅れでドゥシャンベに到着した。

入国審査ブースの前には、水色のマスクと防護服的なもので身を固めた係員が机と椅子を並べて座っていた。「サローム・アレイクム!」と挨拶し、ワクチン証明の提示したところ、そのままOKとなり先に進んだ。至ってスムーズであった。

入国審査ブースでも、まずは「サローム・アレイクム!」と挨拶し、入国審査のお姉さんにパスポートと電子ビザのプリントを渡した。ひととおり手続きをしてもらった後に、入国カード的なものを書く必要があるが持っているかと指摘され、「ナドーラム(ありません)」と答えると、入国カードの紙を渡された。いったん審査ブースを離れて適当な場所で入国カードを記入し、元の審査ブースに戻って他の人が並んでいるところを「メーバフシェード(すみません)」と少しお邪魔させてもらって提出すると、そのまま入国OKとなった。

入国審査前後は、私にとって初のタジク語実践会話の場にもなった。断片的かつ必要最小限とはいえ、コミュニケーションを取ることができて割と嬉しかった。

ここまでは順調に進んだが、預けた荷物が出てくるのに時間がかかった。入国が順調だったので、その分長く感じただけかもしれない。

荷物待ちの時間に、時々開く出迎えエリアへの扉の向こうで、誰かマスクをした人がこちらに向けて手を振っていた。空港に私を出迎えに来てくれている予定のAさんではないか、と思ったが、最近かなり悪くなってきた私の視力では確信が持てなかった。スマホからAさんに連絡しようと思い、フリーWiFiが無いか電波状態をチェックしてみた。空港内には一応Free WiFiが2種類あるようだが、ひとつは電波は来ているようだが何故かつながらず、もうひとつはタジキスタン国内での電話番号が必要なようで、いずれも使えなかった。

15:40頃に荷物を受け取り、出迎えエリアに出て無事マスク姿のAさんと会うことができた。やはり、さっき手を振ってくれていた人がAさんだった。

「サルェーム、ツァラング・トゥ・アーウォール?(こんにちは、ご機嫌いかがですか?)」
「クルグ、ウズム・ソーズ。トゥッ・ツァラング?(ありがとう、元気です。あなたはどうえすか?)」
「ソーズ、ヌェーミ・フゾーイ(元気です、おかげ様で)」
「ラッ・バシャンド。アズ・トゥ・ウィントーユム・ラパス・フシュ(良いですね。お会いできてとても嬉しいです)」

我々はまず、シュグニー語で挨拶をした。Aさんはパミール出身で、私のシュグニー語の先生でもある。挨拶の後は、私のシュグニー語力不足もあり、英語での会話となった。

ドゥシャンベ国際空港は、アルマトイ国際空港よりも更にマスク率は低かったが、そんな中、Aさんは例外的にマスクをしていた。コロナではない病気(多分私は子供の頃にかかって免疫ができている)にかかっており、体調不良とのことだった。そんな中、わざわざ空港まで迎えに来てくださったとは、申し訳ない。Aさんが無事に早期回復されることを願った。

我々はドゥシャンベ国際空港から外に出た。まず向かうはOVIRである。

(続く)

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