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18歳で選挙権を得たあなたへ

今回の参議院議員選挙から、全国約240万人の18・19歳が新たに選挙権を得ることになりました。

初めて選挙権を得て、胸を膨らませている人もさぞかし多いことでしょう。

学校では高校生たちが積極的に政治に参加できるように「主権者教育」も行っているそうですね。

「選挙に必要な知識をバッチリ身につけて、もう準備は万全。あとは実際に選挙に行って投票するだけだ。」

そう思っている人も多いことでしょう。

しかし、ちょっと待ってください。あなたは肝心の「政治」の中身についての話はちゃんと聞きましたか?

中身というのは、ありきたりの「建前」のことではありません。表面上ではほとんど語られることがない「本音」の話です。

もしかして、あなたは学校の先生や政治家、マスコミやその他の大人たちの話をそのまま素直に信じていませんか?

もしそうなら、あなたは残念ながら「何も知らされない」まま選挙に向かおうとしていることになります。

残念ながら、政治についての本音の話は表だってあなた方にされることは決してありません。ここではまず何故そうなっているのか、根本的な原因についてお話していきましょう。

先生たちの本音

高校生たちのみなさんからすると、学校の先生は何でも知っている物知りな大人のように見えているかもしれません。

授業中に、突然「近代憲法の目的とは?」と訊かれ、たじたじしているところに、「近代憲法で一番欠かせないのは基本的人権だ!。これがないと憲法とは呼べない!」などとズバリと言い切れられたら、誰でもフムフムそうなのかと頷きたくなります。

しかし、もうすぐ選挙を迎えるあなたは、先生たちの話の中にはピンとくるものが何もないことに薄々気づいていることでしょう。

みなさんはご存じないかもしれませんが、これから誰かに投票しなきゃいけないときに、「近代憲法」だの「基本的人権」だの考えて投票している大人はこの日本では一人もいないのです。やはり、その人の掲げる政策や公約などが重要であって、みんなそれを吟味しつつ投票するのです。

ではなぜ、学校では候補者の政策を吟味する方法を教えないのでしょうか?

一言でいうと、それは自分の身が危険になるからです。

例えば、ある社会科の先生が各政党の掲げるメリット・デメリットについて教えるとしましょう。先生本人は公平に話したつもりでも、受け取り方はさまざまなです。

「あの先生は○○党の支持しているようだ」、「授業で△△党のことを批判していた」などと、あらぬ噂話が広がりかねません。

事実でなくても噂が広がれば教頭先生や校長先生から真偽を問いただされます。場合によっては無実放免になるかもしれませんが、一度貼られたレッテルはなかなか取れません。場合によっては左遷されたり、辞職に追い込まれたりする危険だってあるのです。

そんな訳で学校の先生たちは候補者の政策を吟味する方法など核心的な話は一切しません。

先生たちから語られるのは「近代憲法」だの「基本的人権」だの表向き立派そうなことだけで、本当に選挙に必要な話はされないのです。

「とりあえず当たり障りのない話でごまかしておこう!」

これが学校の先生たちの本音です。

政治家たちの本音

イギリスのEU離脱を受けて、政府閣僚からは疑問の声が次々と上がりました。

麻生財務大臣「ルールとして、代議員ではなくて直接、投票に及んだというところはいかがなものか」
馳文部科学大臣「だったら国民投票する意味あったのかなと。離脱して次のシナリオが本当に描けていたのかなと。非常にポピュリズムに走りすぎたのではないのかなと」

「ポピュリズム」とはあまり聞き慣れていない言葉ですが、一般的には「大衆に迎合して人気をあおる政治姿勢」のことを意味します。

簡単に言えば「一般民衆の意見を尊重することで人気を得る政治手法」というところでしょうか。

たしかにイギリスのキャメロン首相は国の重要な問題を「代議員」ではなく、「国民」による直接投票で決着する方法を選択しました。

「政治」においては代議員による間接民主政治が基本原則であることを考えると、これは極めて異例なことといえます。

しかし、「政治」は国民の意見を取り入れ、国の政策に活かすことも守るべき基本原則です。

麻生氏や馳文部氏の発言は一理ありますが、うがった見方をすれば「政治に疎い国民は大事な問題に首を突っ込むな」と言っているようにも聞こえてしまいます。

ちなみに、若い人にはあまり知られていませんが、実は麻生氏は3世代にわたって政治家を務める名門出身の出です。自民党の若手として注目される小泉進次郎氏は、なんと4世代目です。その他にも2世代目にあたる政治家がゴロゴロいる状況です。

このまま続けば、何世代にもわたって政治家を続ける名門出身の政治家が増えていくことは間違いないでしょう。

彼らからすれば、政治についてとやかく首を突っ込む人たちは邪魔な存在です。

「国民にはできるだけ政治に疎いままでいてほしい。」

これが政治家たちの本音なのです。

大人たちの本音

昨年9月、安全保障関連法案をめぐって安保法案に反対する人々が国会議事堂を埋め尽くしました。「戦争反対!」と声高に叫ぶ人々の映像を覚えている人も多いことでしょう。

しかし、今、日本の安全保障問題を取り上げて熱く語る人はいません。あのとき見せた熱気はいつの間にかどこかに消え去って、舛添氏の不正にやっきになったり、イギリスのEU離脱の結果生じる経済的デメリットにやきもきしたりしています。

要するに、みなさんの大先輩である大人たちの大半は、一時的な盛り上がりのときだけ同調し、それが収束すれば、何が問題だったかすらケロリと忘れてしまう。そんな人たちが大半なのです。

あなたはそんな大人たちに腹を立てているかもしれませんね。

「東京都知事に舛添氏を選んだのはあなた方でしょ。それを棚に上げて批判ばかり繰り広げるなんて。なんて無責任でいい加減な人なんだ!」

あなたが腹を立てるのも無理はありません。責任は無責任な大人たちの方にあるといえるでしょう。

しかし、一応彼らのために弁解しておけば、かつてはあなた方と全く同じように年上の大人たちに憤りを感じていたのです。

そればかりか、「自分はあんな金のことしか考えないような、腐りきった政治家は決して選ばない。もっとクリーンな政治に変えてやるぞ。」と、意気込んでいた人が大半なのです。

ではなぜ、彼らはどうしようもなく無責任でいい加減な人になり果ててしまったのでしょうか?

それは一言で言うと、ほんとどの人が「仕事」中心の生活を送っているからです。あなた方もなんとなく知っているかもしれませんが、通常の会社では週に一日8時間以上、あるいはそれ以上の労働が課せられます。

それを5年、10年、20年という長い間続けていれば、、たいていの人は身も心もボロボロになって疲れてしまいます。

そしてそんな人にとって最も重要なのは、もちろん「政治」の話ではなく、やはり「余暇」や「趣味」なのです。せっかくの休みですから、なるべく楽しく過ごしていたいというのが本音です。

「政治」なんて小難しい話は後回し。だから「アベノミクス」なんてこれっぽっちも分からないけれども、なんとなく経済が良くなりそうだから自民党でいいかな、なんて軽々しく考えてしまう人が多いのです。

もちろん、そんな人たちでも、ときには「このままで本当にいいのかな」と不安に思うこともあります。多くの人がデモに参加しているところを目の当たりにすると、「自分もやらなきゃ!」と思って、いそいそと出かけていきます。でも、それは自分の心の底から必要だと思ったことではないので、すぐに冷めて再び趣味や娯楽に没頭します。

スポーツ観戦、旅行、スマホ、ゲーム、ドライブ、ファッション、釣り、競馬など、現代では、お金さえあればあらゆる娯楽を楽しむことができます。

激しい労働と、それを緩和してくれる強烈な娯楽。

この二つは見事なくらいにうまく噛み合って、多くの大人たちを虜にしているのです。

最後に

ここであなた方に知ってほしいのは、いつかあなたもそんな大人たちの仲間入りをするということです。

これはいくらあなたが拒否しようとしても避けられない現実でしょう。

日本では老後のためのまともな社会保障を受ける条件として会社組織に属すことが課せられています。

だからたいていの人たちは会社に入って嫌々ながらも働き続けるのです。そしてボロボロになるまで働き続けるうちに、もはや「政治」のことなんて他人まかせになってしまうのです(政治家にとってはむしろそっちの方が有り難いのかもしれませんが)。

「そんなのおかしい!」

あなたはそう思うかもしれませんが、これが今あなたのいる日本の現状です。

あなたが今、日本を本来のあるべき姿に変えていきたいと思うなら、まずはこうした日本の現状をしっかりと知っておくべきです。

大部分の人たちが政治に無関心にならざるを得ない現状をいかに変えていくべきか?

この日本を変えていくための第一歩は、この難問に立ち向かうことから始まるのです。





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