"Go Tell the Crocodiles" Rowan Moore Gerety (New Press)

『クロコダイルに言ってくれ』
ローワン・ムーア・ジェレティー(ニュープレス社)

「大事なことは、ここじゃみんな端っこで起きてんのさ」あるラッパーが著者にそう言った。この本で描かれたモザンビークの姿を垣間見始めたころだった。
 国際機関が経済成長をご機嫌に報告するのと、ここでの実際の日常生活は食い違っていることが多い。
 僕らが出会ったのはこんな人たちだ。
 六年生で学校を中退し、地方から首都マプトに出てきてコーンマフィンを売っている子供。ソマリア内戦の兵役経験者で、密入国したあと密輸業者になった男。ピッツバーグ出身のモーテルのオーナーには、ベトナム戦争で戦い、ジンバブエのムガベ政権の下で働いた経験がある。
 表向きに語られる話ではなく、個人の物語に焦点を当てることで、この本はこの国における人びとの歴史を描き出している。

The NewYorker [June 4&11, 2018]

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