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中小企業診断士による事業承継事例へのツッコミ

事業承継の事例として掲載されていた事例

ヤフーで取り上げられていた記事(早稲田大学ビジネススクール教授の記事)を見て、現場で見ている人間にすると、「ツッコミどころ多いやろ」という内容だったので、ちょっと書いてみようと思いました。

あとは事業承継ネタは前回書いた記事のアクセスが良くって、結構探されているんだなぁという若干の色気もあったりしますが・・・

記事の要約としては

  • 継ぐ気がないパターンがうまくいく

  • 「知の探究(仕事に関係のない:遠くのものを見る)」が必要

  • 「親の家業を継いであげたい」は一番よくないパターン

  • 取引先に子供を修行に生かせるのは絶対にダメ

まぁ、上記自体は否定しないです。正直、そりゃぁその方がいいよねというのは現場感覚でもよくわかります。

記事の事例

記事で事例として取り上げられているのは以下でした。

  • 「サンワカンパニー」:後継者が関学→伊藤忠商事

  • 「三星毛糸」:後継者が慶応→三菱商事・ボスコン

  • 「由紀精密」:後継者が東大→SOLIZE

  • 「DG TAKANO」:後継者が神戸大→ITベンチャー創業

事例で取り上げられている人は凄い人たちだと思います。発信も沢山されているので、すぐに名前も出てきますし、調べられました。

三星毛糸の後継者の岩田さんはnoteもされています。

ただ、こんな人たちいるか?
そもそも、継がなくても成功できる人達でしょ?
というのが本音です。

まぁ、教授の記事自体が外で「知の探究」をしている人が継いだほうが良い、イノベーションが起きるという内容なのですが。

事業承継事例は再現性がない

基本的に記事に取り上げられるのは大体以下のパターンです。

  • 成功事例

  • ちゃんと対応してくれる

  • 独自性がある(他に真似しているものがない)

上記の要素がないと事業承継の記事にはなりにくいです。

上記の事例以外にも事業承継で出てくる記事はいっぱいあります。
ただ、プロフィールを見ていくとちょっと違うんですよね。

事業承継として取り上げられやすい事例は確かにカッコイイですし、国として目指す形なんでしょうけど、そんな事例ないです。

仕事で事業承継に関わることは多いですが、後継者候補になるのはピカピカじゃなくて、どちらかというと学歴もそこまでじゃない方が多いです。

傾向としては以下の通りです

  • すごくいい子

  • 自信がなくて、強いリーダーシップもない。

  • 親の目もあるので、思うようにはできない。

  • 好奇心が弱く、知識が偏っている。柔軟さがない。

まぁ、親とけんかをせずに、会社にいる時点で上記のことを満たせないと難しいんですけど・・・

事業承継に必要なこと

中小企業の事業承継に必要なことは結局のところ、「覚悟」なんですけど、そのための最低限として、「ある程度の利益」が出る事だったりします。

「ある程度の利益」は私が使っているのは、
役員報酬+当期利益=1000万円 ですね。

もちろん「ある程度の利益」は瞬間風速ではなく、2年~3年連続で出ているのが理想です。

そうなると組織もできていないといけないですし、営業も仕組みになっていることが必要だと思っています。

財務面については大した問題だとは思っていません。資金繰りで困るレベルは流石にNGですが、月商1~1.5か月分の現預金があれば問題ないですし。

ただ、経営者保証ガイドラインについては大切ですが、個人保証をするぐらいの覚悟がないと経営者なんか務まらないとも思っていたりします。

なので、やっぱり事業承継する上で、
組織(ヒト)・営業(モノ)・財務(カネ)は整えておく必要があります。

事業承継支援の自分のやり方についてはいつかまとめたいと思います。これも再現性がないと言われちゃいそうですけど・・・

書いた理由

facebookで知り合いが怒っていたので、記事を読んでみましたけどツッコミどころが多すぎて、じゃぁ自分もという気持ちで。

記事は事業承継と言いながら、実際はイノベーションの話なんですよね。事業承継の方が注目されるんでしょう。

まぁ、中小企業診断士に流れてくる事業承継の問題は儲からないってのが基本なんで、ちょっと言いたいことを。

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