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心にある表現の芽を花咲かせよう!狂言、演劇をベースにした2時間のワークショップに行ってきた。

こんにちは!伊勢亜希子です。
久しぶりの投稿となった今日のテーマは「表現」。
先日参加した「表現の芽をはぐくむ会」をレポートします。
表現と言っても形はいろいろ。
このワークショップは狂言普及活動家・福富英里子さんと「無名塾」所属の現役俳優・円地晶子さんとの姉妹が共同主催し、狂言、演劇など6種類の表現を2時間で楽しめる充実感と達成感がおすすめポイント!
参加者も個性豊かでした。4月から始まる高校生活に胸を躍らせる女の子、定年後は演劇にチャレンジしたいと夢見る男性、親子で参加する人、無名塾に興味があって参加した人…初めて顔を合わせる同士がひとつになった2時間は、ある種の感動を覚える時間でした。
10代から70代までがひたむきに「表現すること」に取り組んだ時間をご紹介します!
(撮影協力:深瀬将之氏)

30秒笑いの時間

3月20日の14時30分。
表現の芽をはぐくむ会は、「30秒笑い」で幕を開けました。
参加者全員で円になって、とにかく30秒間、思い思いの形で「笑う」。面白いことがあろうとなかろうと、ひたすら笑い声をあげるのがミッション。ウォーミングアップにして、究極の自己開示です。


そんなに、いきなり笑えるものかな?それにちょっと恥ずかしいかも…。
少し不思議な気がしていましたが、「さあ、笑ってください!」の声を合図にみんな一斉に笑い声をあげ始めます。私も、最近あった面白い出来事を思い浮かべて、周りの笑い声につられながら自然に手を叩いて笑っていました!恥ずかしさやさっきまでの疑問はどこかへ飛んで行ったかのように、「笑う自分を演じることに集中していた」のがとても印象に残っています。

他己紹介の時間

笑い声をあげて自分を解放した後は、「他己紹介」。ペアを組んだ相手のインタビューをしたあと、全員に向けて相手のことを紹介します。
自分のことではなく、相手の事を語るから「他己」紹介です。
名前は?どこに住んでいるの?身近な人のことで、最近嬉しかったことは?
ほぼ初めましての相手のことをいろいろ聞いて、「○○さんはこんな人」を自分の言葉で表現すると、まだあまり知らない人のことを身近に感じられました。

シアターゲームの時間

シアターゲームって何それ?と思った人も多いでしょう。特定のワンシーンを切り取った静止画を再現して演じるゲームです。
今回のお題はこちらの2つ。
「人気アイドルに群がるファンと、制止するセキュリティ」
「崖から落ちそうになる子どもを止めようとする大人たち」


グループに分かれて役柄を指定されて演じるのですが、どんなふうに表現するかは自由。
「熱狂的なファンって、こんな風に強引に握手を求めるかな?」「崖からおちそうになる子どもって、こんな風に動くよね」
全員でワイワイと話し合いながら、思い思いの構想を描きました。
そうして作られたワンシーンは、この日初めて取り組んだとは思えないほど、躍動感のある静止画。セリフや説明などを加えずに、シチュエーションを伝えるとても高度な表現の時間でした。

狂言の時間

シアターゲームで体と頭を動かした後は、日本の伝統的な表現「狂言」を教わりました!


「柿山伏」という伝統的な演目を、講師の福富英里子さんが実演してくれる贅沢な時間でした!「笑う演技」「動物の鳴きまねをする演技」など型が決まっているのが、狂言の特徴。
伝統芸能だから敷居が高そう、難しそう、というイメージでしたがその印象が覆されたのが印象的です。初めて見る人でも世界観にしっかり入り込めました!
狂言のせりふ回しを実際に体験してみると、さらに身近に感じられます。現代とは違う伝統的な表現の世界、新鮮でおすすめです。

演劇の時間

ここまでいろいろな表現を学んだ集大成として、実際に演劇をやってみよう!のコーナー。
演目は「ばあばは、だいじょうぶ」(作・楠章子/画・いしいつとむ/童心社 刊)。
大好きなおばあちゃんが年齢と共にどんどんいろいろな事ができなくなりわからなくなってしまう姿を、孫である「ぼく」の目線で描いた心温まる作品です。


作品全体を6つの場面に分け、グループに分かれて1場面ずつ演じていきます。
セリフの入れ方や演出、小道具の使い方などはすべて自由。
どんなふうに伝えたら見ている人の心に響くのか、グループのメンバーと真剣に話し合い劇を完成させます。実際に演じる場面になると、本当に登場人物の気持ちが入り込んでしまい「この登場人物ならこうするだろう」と自然に考えて動けるのです。この点は自分でもびっくりでした。
参加者全員が真剣に考え、向き合った舞台はみんなの表現に対する熱意がつまった宝物。
講師の方が私たちの舞台を評して一言、「もう少しこうしたら、と思う瞬間が普段はあるんだけど今日に関してはそれがない!全くいうことがない」。
また現役の演出家の方がワークショップを見に来ていたのですが、「演出に取り入れてみようと思う場面がいくつかあった」と誉め言葉を贈ってくれたのも、嬉しい瞬間でした。
プロでなくても、アーティストでなくても、どんな人の中にも表現の種があって、その種が花を咲かせる可能性があるという証!

予祝の時間

ワークショップの締めくくりとなったのが、「予祝」の時間。
自分の願いや夢が叶ったという「体」で、みんなの前で発表します。
「(まだ先の話だけど)高校に進学して、自分の進路がみつかりました!」
「(今は心配なことが多いわが子だけれど)成長して手がかからなくなりました!」
自分の内なる願いと未来の理想像をのびのび表現し、おめでとう!と拍手で祝いあうあたたかな時間で、表現の芽をはぐくむ2時間は幕を閉じました。

誰の、どんな心にも表現の芽が眠っている。
大切に育てればいつか花ひらく。
表現の可能性と多様性、懐の深さを存分に感じられる楽しい時間でした!
表現に興味がある人はもちろん、「わたしは目立つの苦手だし、表現するってキャラじゃないんだよね」と思っている人でさえもここでは全員が演者になれる。
ひとりでも多くの人に、演じること・表現することの面白さが届きますように!

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